インターハイ予選。
青葉城西VS烏野
運命の1戦が静かに始まった。
観客席。
夜空は胸の鼓動を抑えるように手を握りしめていた。
(勝ってほしい。けど勝ち負けだけじゃない。)
(彼が自分らしくプレイしてくれることが、)
(何より大事。)
及川はコートの中央で冷静にチームを見渡していた。
けれど、その視線の奥には、
夜空と交わした言葉が息づいている。
『大丈夫。貴方は貴方のままで強いよ。』
(俺はもう逃げない)
どれだけ背負っていても、ひとりじゃないと知っているから。
試合は激戦だった。
日向のスパイクは容赦なく、
何度も青葉城西の守備を打ち砕く。
第三セット、デュース。
(最後の一点…)
及川は顔を上げた。
視線の先_観客席に夜空の姿がある。
彼女の瞳が真っ直ぐ彼を見ていた。
_ ト ス 。
_ ジ ャ ン プ 。
_ ス パ イ ク 。
だが、ボールはラインを割っていた。
及川 徹
会場が静まり返る。
青葉城西、敗退。
ロッカールーム。
誰もが黙っていた。
そんな沈黙を破ったのは及川だった。
及川 徹
及川 徹
及川 徹
その言葉に誰かが涙を落とした。
(俺は負けた。けど何かを失ったわけじゃない。)
帰り道。
夜空は静かに及川の隣を歩いていた。
天音 夜空
及川 徹
そう言って笑う彼はとこか青年のようでそれでいて大人びて見えた。
夜空は1歩、彼の前へ出て振り返る。
天音 夜空
天音 夜空
天音 夜空
及川 徹
及川は眉をひそめた。
夜空は首を振って、静かに笑った。
天音 夜空
天音 夜空
その言葉に及川は微笑んだ。
及川 徹
2人は手を繋いだ。
未来はまだ見えない。
でももう怖くない。
この手を離さなければ、
どんな"さよなら"もきっと始まりに変わる。
その先に、君がいるなら_
さ よ な ら を 知 ら な い 君 へ 〜 f i n 〜
コメント
11件
あのー稲荷崎やってくれませんかね? 無理ならいいけど💦 お願いしやす
書くのうますぎ
最高すぎる