コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
葬儀が終わった。
叔母
知っている、落ち着く匂い。
奏
叔母
当時はそんなことを言われて、信じていた。
ママはいつも、あまり知られてないブランドの香水を付けていた。
叔母
奏羽
リビングには、いつもの匂いがしていた。
ママとパパの使っていた座布団、テーブルに置かれた私たちのコップ。
叔母
奏
叔母
そんな話をしていたのは覚えてる。
それからは12歳くらいまで記憶が飛んでる。
七回忌の帰り。
今も網膜に焼き付いている。
奏
叔母
奏
叔母
叔母
奏羽
奏羽
タタッ
叔母
キキーーッ
ドンッ!!
暴走したトラックに轢かれ、奏羽は
植物状態になった。
医者
叔母
医者
叔母
叔母
奏
"奏羽"はまだ生きている。
唯一の、肉親。
叔母の強い希望により、生命維持は今も続いている。
…私だ
奏
父も、母も、妹も。
みーんな私の傍から消えていく。
…そんな中、とある報告が来た。
…"妊娠"。
長い不妊治療の末、叔母が妊娠した。
二人で名前を考え、産まれるときを楽しみにしてた。
…それと同時に、不安もあった。
私じゃなくてこの子が先に死んだら?
叔母が私のせいで居なくなったら?
…そんな考えがあった。
それでも、叔母の子供は元気に産まれてきた。
今でも、そんな考えが頭によぎる。
奏
朱菜
奏
奏
奏
奏
"朱菜"。
私の妹であり、従姉妹でもある。
無邪気に笑って、元気に遊んで。
この家の太陽みたいな存在。
そんな朱菜だけは、絶対に失いたくない