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第114話『夏の準備は、静かに進む』
朝から蝉の声が強く、窓の外は完全に夏だった。
空は高く、雲は薄く、昨日までの静けさが嘘みたいに、世界はきちんと前へ進んでいる。
リビングには、エアコンの低い音と、ページをめくる乾いた音だけがあった。
テーブルいっぱいに広げられた浴衣のカタログを前に、なつが腕を組む。
なつ
すち
すちがマグを置きながら、淡々と返す。
すち
なつ
即座に返してから、なつはページを適当にめくった。
なつ
みこと
みことがくすっと笑う。
みこと
なつ
なつは言い切りつつ、渋めの赤色の浴衣の写真で指を止めた。
なつ
すち
すちはどこか納得した顔で頷き、自分のカップを手に取る。
すち
不意に振られた名前に、らんは少し遅れて顔を上げた。
らん
すち
すち
みことが覗き込む。
みこと
らん
らんは正直に答えた。
らん
ページをめくりながら、指が一箇所で止まる。
淡い桃色の浴衣。
らんは、無意識にそこを見つめてから、ぽつりと零した。
らん
問いは、曖昧だった。
誰に向けたのか、自分でも分かっていない。
一瞬の間。
すち
最初に答えたのは、すちだった。
すち
みこと
みことも頷く。
みこと
らん
らんは少し笑って、またページを見下ろす。
でも、どこか納得しきれない。
喉の奥で、言葉が引っかかったまま。
――本当は、もう一声、欲しかった。
そんな感覚だけが残る。
なつが、それに気づいたわけでもなく言った。
なつ
みこと
みことが軽く言う。
みこと
その“また”が、当然のように使われたことに、らんは少しだけ救われた。
らん
予定が、未来に置かれていく。
何事もないみたいに。
話題は自然と、夏祭り当日のことに移っていった。
みこと
なつ
すち
くだらなくて、平和で、少し先の話。
この日常が続く前提で進んでいく会話に、誰も疑問を持たない。
らんは、その輪の中で笑っていた。
ちゃんと、今ここにいる。
それでも。
ドアを開けるとき、ほんの一瞬だけ後ろを見る癖が抜けない。
誰かに呼ばれた気がして、振り返ることがある。
夜、布団に入る前、空いたスペースに目がいく。
でも、そこには何もいない。
らん
小さく呟いて、らんは電気を消した。
夏祭りは、まだ先。
浴衣も、まだ決まらない。
名前も、まだ戻らない。
それでも、日常は何事もなかったように進んでいく。
第114話・了
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𝙉𝙚𝙭𝙩 ︎ ⇝420
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