キミに会いたい。

太陽くんが退院して3日

退院したばっかりのせいで忙しいのか

なかなか太陽くんは来てくれなかった

でも、これでいいんだ。

太陽くんは生きる人 私は死ぬ人

あんなに純粋な太陽くんを

傷つけたくない

太陽くんが退院してから頭痛が酷くなった

今までは話すことが楽しくて、痛さなんか何も感じなかった

私の病気は

移植しないと治らない病気

つまりドナーが必要だということだ

バタッ

意識が遠のいていくなか

山本さんの声が聞こえてきた

目の前の視界が真っ暗になっていって

もう死ぬのかな、って思った

『亜美！起きろ！』

『亜美！目を覚ませよ！』

誰かが私を呼んだ

懐かしくて聞き覚えのある温かい声

その時一筋の光が見えた

私はそこに導かれて目が覚めた

そこにいたのは

私の大好きな人だった

私は何も言えず

ただぽかんとしているだけだった

前、私は山本さんに

1人で抱えられなかったから

太陽くんのことが好きということを伝えた

だから山本さんなりの優しさなんだろうと思った

病気のことを言えば太陽くんを苦しめてしまう

太陽くんが好きって気持ちも

私はあと少しで亡くなってしまうという事実も

言えば傷つけてしまうだけ

あんな純粋な太陽くんにあんな苦しい顔をさせてしまうなんて

とても胸が張り裂けそうだった

泣きたくないのに涙が止まらない

ほんとは今すぐ言いたい

『好きだよ』って。

ほんとはとても嬉しい

でも一緒にいれば太陽くんは傷ついてしまう

苦しんでしまう

だから離れる

そう言って優しく抱きしめてくれる

なんて温かいんだろう

そう言って優しく包んでくれる山本さんの腕の中はとても安心した