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彼女の瞳に映る人。#3

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彼女の瞳に映る人。#3

1 - 彼女の瞳に映る人。#3

♥

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2019年03月16日

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〝嬉しかったんだ。僕は。〟

〝あなたを笑顔にできて。〟

〝ほんの少し胸を張った僕を〟

〝優しく見つめた彼女の顔は〟

〝いとおしかった。〟

三国

──私を、仕事場まで連れていってくれませんか

葉山

えっと、それはどういう?

三国

そのままです

三国

私を、葉山さんの仕事場まで連れていってください

葉山

僕の仕事場に? なぜです?

三国

理由なんてありません

三国

ただ、以前から見てみたいなって

三国

葉山さんが仕事をしているところ

葉山

なんにも面白くないですよ

三国

やっぱり、お邪魔ですか?

葉山

いえいえ、そんなことはありませんが……

葉山

小説を書くだけの場所ですよ

葉山

三国さんは、その間、何をなさるんですか?

三国

小説を読みます

三国

以前の『彼の瞳に映る人』を。

葉山

……じゃあ、行きますか

展望台

三国

わぁ✨

三国

本当、素敵な場所

三国

夕日が綺麗です

葉山

ここ、平日は誰も来なくて

葉山

集中できるんです

葉山

あとは……

葉山

なにか、思い出せそうな気がして

三国

なにか?

葉山

はい

葉山

記憶が曖昧な時期がありまして

葉山

凄く、大切な人がいたんですが

葉山

……その人を思い出したくて

葉山

どうしても、どうしても

葉山

だから、ここにいるんです。毎日

葉山

いつか、思い出せる日が来るかもしれないと思って。
そのせいで、ヒット作もないんです。

三国

──

葉山

すいません、訊いてもいないことを

葉山

忘れてください

三国

……葉山さんは、少し変わっていますね

三国

不思議な雰囲気があるというか……。

葉山

それを言うなら、三国さんもでしょう

葉山

始めに逆ナンとおっしゃいましたけど

葉山

三国さんは、そんなことをするような人では

葉山

ないと思うんです

葉山

僕の独断と偏見ですけども

三国

私も普段はナンパなんてしませんよ?

三国

どうしてあのときだけそんなことをしたのか

三国

どうして勇気を持てたのか

三国

我ながら恥ずかしいです

三国

でも

三国

葉山さんなら、大丈夫だと思っていたんですよね

三国

なぜか、安心していました

三国

うふふふ。私ったら、また変なこと言って

葉山

──実は僕もなんです

葉山

普通、というか、今までの僕なら

葉山

誰かに声を掛けられたら

葉山

一言返して逃げていたんです

葉山

でも不思議なことに

葉山

三国さんには違いました

葉山

どこかホッとして

葉山

居心地がよくて

葉山

……も、もう一度会いたいと思って

葉山

今だって

葉山

ほんと、何でだろうって……。

三国

本当に忘れちゃったんだね((ボソッ

葉山

え?

葉山

なにか、言いました?

三国

いいえ

三国

ほら、葉山さん、お仕事しないと

葉山

ああ、はい。

葉山

……?

葉山

三国さんは、お仕事はないんですか

葉山

平日なのに

三国

ありますよ

三国

グラフィックデザイナーの仕事をしてます

三国

本や雑誌のデザインです

葉山

あれ、以外ですね

葉山

本にはあまり興味はないと言っていたのに

葉山

わりと僕に近い間柄だったんですね

三国

そうですね

三国

いつか一緒にお仕事できる日が来るかも

葉山

僕もそんなことを考えていました

三国

……私たち、なんだか似ていますね

三国

これなら私がナンパしてまで葉山さんに声を
掛けた理由、少しわかるかも

三国

うふっ

三国

葉山さん……そろそろ訊いてもいいですか

葉山

はい?

三国のケータイ プルルル……

三国

あ、すいません

三国

……もしもし

三国

はい、はい。そうなんですか

三国

ええ、分かりました

三国

すぐに行きます

三国、電話を切る

葉山

急用、ですか

三国

はい。取引先でトラブルがあったみたいで

三国

来たばかりで申し訳ありませんが

三国

仕事に戻ります

葉山

全然、平気です

葉山

今日はありがとうございました

三国

こちらこそ

三国

……では、また。

葉山

はい

三国

……大切な人がいたとおっしゃいましたけど

三国

きっといつか思い出せますよ

三国

それから

三国

『彼の瞳に映る人』

三国

私はとっても気に入っていますから

葉山

…………え?

三国

失礼します

 やはり、不思議な女性だ。

僕が書いた小説を

 愛読してくれているとは──。

続く

葉山

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三国

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