ビーーーッ
勝者が決まった合図が鳴り響いて、操縦席に背中を預ける
怜
……ふぅ…
ウィーン
怜
戻りました
澪
ん
芽衣
お疲れ様
芽衣
今回も防衛成功だね
怜
はい
怜
……
いつもなら僕を元気づけるあの声が聞こえてこない
夏樹くんは会社の用事でしばらく学園には来られないからだ
怜
……
澪
寂しいの?
怜
えっ?
澪
夏樹の事
怜
……
怜
やっぱり…
怜
転校してからずっと一緒だったので…
怜
少し…
芽衣
あら、でももうすぐ会えるんじゃない?
怜
え?
芽衣
ほら、12月のシェアリングパーティーあるでしょ?
怜
!それって西園寺グループの…!
澪
そう
澪
アンタももちろん行くわ
澪
次は私の婚約者としてね
芽衣
だから夏樹にはその時に会えると思うわ
怜
やっ…た!!
怜
な…夏樹くんとお話したいこと沢山、あるん、です!
芽衣
私も
澪
ふーん…
芽衣
あ、私先生に呼ばれてたんだった
怜
!立会人ありがとうございました!
芽衣
いーえ
芽衣
じゃ、ごゆっくり〜
ウィーンと扉を開けて芽衣さんは出ていった
怜
(夏樹くんに会える…決闘勝ってる…ってことと…最近澪さんと仲良しだってこと…)
夏樹くんに会えたら話そうとしていたことを考えていると後ろからギュッと抱きしめられた
澪
ねえ
怜
!は…はい…!!
澪
…私は…?
怜
へっ…?
澪
私の事は放っておいていーの?
怜
っ!
怜
よ…よくない…です!
振り返ってギューッと抱きしめると澪さんは嬉しそうな声で「苦しい」と呟いた
カタカタカタカタカタカタ
柊生
計画は次のシェアリングパーティーだ
柊生
分かったな?
夏樹
はい、父さん
次のシェアリングパーティー その日が作成決行の日
柊生
ヤツを殺せば……
柊生
今グループ内貢献度が1番高い我が社が全ての資産を手にできる
柊生
そうすればこれからは俺達の時代だ
口元をニヤつかせる父を見つめグッと手に力を込める
柊生
そうだ、お前はこれを
夏樹
え?
机の上に置かれたのは一丁の拳銃
夏樹
!これ…
学園の仕様とは違う
柊生
実弾だ
夏樹
な…何故…これを…
柊生
藤堂 怜
夏樹
!
柊生
ヤツも邪魔だ
柊生
ヤツが居なければお前が婚約者だったのに
柊生
お前が始末しろ
夏樹
っ………
柊生
返事は?
夏樹
………は…い…
拳銃を手に取って弾を確認する
夏樹
(そんなこと…したくない…っ…)
きっと彼は来るだろう 澪の婚約者として
地獄のようなパーティーに
コツ、コツ、コツ
夏樹
………はぁ…
昔は心優しい父だった
そう、凄く、尊敬してたんだ
なのに、会社が流れに乗っていって、欲が出て、利益を更に更にと求め始めた
あの優しかった父はもう、いない
でも、俺はずっと期待してしまってる
昔の父に戻ってくれる事を
夏樹
……父さん…