拓海の家
拓海
(終わらない…終わらない!)
拓海
(やばいよ…美月さん来ちゃう!)
俺は小説家の拓海だ。
今は割とヒットした作品の最終回を書いているのだが…
ラストがうまく書けない!
早くしないと編集担当の美月さんが来るって言うのに!
拓海
あー…もうこれでいいや!
カチカチ
拓海
はぁ…終わった〜
拓海
でもありきたりな作品になっちまったな…
ピンポーン♪
拓海
あいてまーす!
ガチャ
美月
先生!小説は書き終わったんでしょうね!
拓海
ま、まぁ…
美月
じゃあ今すぐ私が会社でチェックしてきます!
美月
この原稿ですね!じゃ!先生は次の作品のアイデアでも考えておいてください!
拓海
お、おお…よろしく
美月
あーあとこの話だけ
拓海
ん?
美月
私子供産むからしばらく仕事休むので
拓海
ええ!?あ…おめでとうございます…
拓海
じゃあ俺の編集担当は!?
美月
別の人に1週間来てもらいます!
美月
そのあとは私の編集者友達がやってくれるから
美月
明日から来てくれるみたいだから、ちゃんと挨拶してくださいね!
拓海
ガキじゃねぇんだから…
拓海
わかったよ
美月
じゃ!また!
美月
次の作品のアイデアでも考えておいてください!
拓海
はーい
ガチャ
拓海
(子供か…)
拓海
(俺も早く結婚して子供欲しいな〜)
拓海
(ってか新しい編集担当って誰だろ?)
拓海
(美月さんみたいな怖い人じゃなきゃいいけど…)
次の日
拓海
よし、次の作品はこんな感じの流れで…
ピンポーン♪
拓海
ん?
拓海
はーい
ガチャ
湊
拓海さんの家であってますか?
拓海
えぇ…
湊
今日から美月さんの代わりに編集担当になった湊です
拓海
ど、ども…
拓海
(男!?今まで女性が編集担当だったけど…男は初めてだ…)
拓海
と、とりあえず中入りなよ
湊
はい
拓海
湊くん若いけどいくつ?
湊
24ですけど。
拓海
(うわっ、わかっ…)
拓海
(俺と3歳も違うのかよ…)
拓海
お茶とか飲む?
拓海
今からいれるよ?
湊
結構です
湊
早く仕事終わらせて帰りたいんで
拓海
……っ!
拓海
(生意気だな…)
拓海
あっそ
湊
昨日書いていただいた小説なのですがいくつか直しがあるのでそこを直してください
拓海
はいはーい
拓海
(うわ…めっちゃ付箋貼ってある…)
拓海
これ湊くんがチェックしたの?
湊
はい、
拓海
(たしかにこの文章はおかしいか…)
拓海
(ここも誤字脱字しまくりだ…)
拓海
(ん?最後のページのところになんか書いてある)
つまらない
拓海
……っ!
拓海
湊くん!これは!
湊
はい
拓海
「はい」じゃなくて
湊
本当の事書いただけですよ
湊
途中まで面白かったのに最後のページだけ手抜いてる感じがあって
拓海
だからって……
湊
先生ならもっと面白い小説書けますよね?
湊
俺、先生の作品全部読んでますけど今回の作品はありきたりで好きじゃないです
拓海
う、
拓海
(これは1人の読者の意見…)
拓海
わかったよ…
拓海
じゃあ湊くんが納得できるような小説をかいてやる!
湊
え?
拓海
湊くんが面白いって思う小説を書くから覚悟しておけよ!
湊
あ、はい
拓海
…………
湊
じゃあ直しよろしくお願いします
湊
俺は帰ります
湊
失礼しました
拓海
………
ガチャ
拓海
うーーーーーー!
拓海
むっかつくー!!!!
拓海
これでもない!
拓海
これでもない!
拓海
あーーー!小説が書けないー!!!
3日後
湊
バカなんですか?
湊
3日間休み無しで小説書いて熱出すとか
拓海
うるさいなー…
拓海
湊くんに今回の先生の作品好きです〜って言わせてやりたいんだよ
湊
そーなんですか
拓海
(相変わらず生意気なやつだな)
湊
冷えピタ貼りますよ〜
拓海
はーい
拓海
(うわ、こいついい匂いすんだけど…)
拓海
(って何考えてんだばか!)
拓海
あ、そこに直した原稿置いといたから
拓海
後で確認しといて
湊
こんな時まで仕事の話ですか、、、
拓海
だーかーらーお前に今回の…
湊
好きですよ
拓海
……っ!
湊
先生顔赤いですね?熱上がりました?
湊
それとも俺が先生の作品じゃなくて先生の事を好きって言ったかと思いましたか?
拓海
はぁ!?違うってば…!
拓海
ってか俺男を恋愛対象なんかに見てないし
湊
俺は好きですけど
湊
先生の作品も
湊
先生のことも…
拓海
はぁ!?何言ってん
チュ
拓海
んっ…
拓海
やめっ…
拓海
(やばい熱のせいで体がうごかない…)
湊
熱あるんでしょ?動かない方がいいですよ
湊
今は僕に先生をください
拓海
ばかなことを…っ…んっ…
拓海
(なんだろう…)
拓海
(逃げたいはずなのに)
拓海
(別に嫌じゃない…)
湊
じゃあ熱、早く下げてくださいね
拓海
あ、あぁ…
湊
帰りますね、さよなら
拓海
うん、気をつけろよ
ガチャ
拓海
(結局キ、キスは1分で終わって…)
拓海
(それ以上はしなかった…)
拓海
そ!それ以上!?
拓海
何考えてんだよ!い、今は熱を下げることに集中!
拓海
俺…男が好きなのかよ…
次の日
湊
直しはなくなりましたね
湊
最後のシーンもいい感じでした
湊
このまま小説にしますね
拓海
お、おう!
湊
じゃあ帰ります
拓海
え!?
拓海
(まだ家に来て10分しか経ってないよ!)
拓海
(いやいや…帰っていいんだよ…)
拓海
(まだいて欲しいとか考えちゃダメなんだって!)
拓海
そ、そうか
拓海
(でも…あと2日なんだよな)
拓海
(これが終わったら会えなくなるかも…)
ギュ
湊
え……
拓海
帰らないで……
拓海
…………
拓海
ん?
拓海
ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙!俺なにやってんの!?
拓海
マジで気にしないで早く忘れて!
拓海
こんなおっさんからのバックハグなんてトラウマものだよね
拓海
もうおれの存在をなくしてくれても…
湊
ふっ、
拓海
おまえ!今ちょっと笑ったな!
拓海
湊くんって笑うのか!?
湊
先生落ち着いてください
拓海
湊くんが笑った…
拓海
3回会ったけど初めて見たな
拓海
珍しいもの見っ
ギュ
拓海
うわっ!
湊
俺先生のこと好きって言いましたよね?
湊
キスもしましたよね?
湊
そんな人にバックハグして
湊
俺が何もせずに帰ると思いますか?
拓海
えっ…
どん!
拓海
うわっ!
拓海
(ベッドに押し倒されて……)
湊
……
拓海
……
拓海
(近い…っ…)
拓海
……
拓海
(…やっぱり湊くんかっこいいな…)
拓海
(最初は生意気だなって思ってたけど)
拓海
(看病してくれたり付箋でチェックしてくれたり…真面目で優しいんだよな)
拓海
(俺…俺は…)
拓海
なぁ?湊くん
湊
なんですか?先生
拓海
俺…湊くんのことが好っ…ムッ
拓海
(手で口を抑えられて…)
湊
先生?俺から言わせて…ちゃんと…この前は中途半端だったから…
湊
先生…好きです…
湊
先生の作品を初めて読んだのは1年前でその時に面白いなって思って
湊
作者を調べたら先生の顔写真が出てきて…
湊
一目惚れしちゃいました…
拓海
ひ、一目惚れ!?
拓海
(俺なんかに!?)
湊
そして編集担当の仕事について少しでも先生との距離を縮めようと思って
湊
まさか先生の編集担当になれるとは思ってなかったですけれど…
湊
先生は俺のこと好きですか?
拓海
えっ……!
湊
嫌い…ですか?
拓海
いやいや!好き好き!大好き!
湊
え?
拓海
ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙!俺また変なこと言ってるぅー!
拓海
めっちゃ恥ずい…っ…
湊
可愛い
拓海
え?
湊
好きですよ…先生
5年後
拓海
湊!この原稿のチェックお願い!
湊
分かりました〜
拓海
(あー!疲れたー!)
チュ
拓海
うわっ!
拓海
ほっぺにすんなよー!
湊
口が良かった?
拓海
そっ!そういう事じゃなくて!突然ちゅーされたらびっくりするだろ…
あの後俺の編集担当は変わらず湊にやってもらうことになった
俺が変えないで欲しいと美月さんにお願いしたからなんだけど…
そして湊は俺の編集担当だけではなく
俺の「恋人」になった
拓海
湊もちょっと休憩しなよ?
拓海
ほら隣においで
湊
はい!
拓海
湊はさ、俺の作品の中で何が好きなの?
湊
うーん…
湊
1番最初に読んだ作品も好きだし…
湊
最近出した作品も好きだけど…
湊
初めて俺が編集担当したあの5年前の作品が1番面白かったですよ!
拓海
あの作品湊最初つまらないって言ってたからな!
湊
そうでしたっけ?笑
拓海
そうだよー!笑
湊
でもあの作品があったから今俺たち付き合えてるんじゃないんですか?
拓海
たしかにな!
拓海
さぁ!
拓海
仕事再開するかー!
湊
拓海くん
拓海
ん?
チュ







