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2 - ライフパトロール 後編 -秘密-

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217

2022年06月08日

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壮太

おい

壮太

そっちも無視すんな

壮太

おいって!

あこ

…そうだよ

あこ

壮太は

あこ

壮太は…

あこ

ミィを病院につれていく途中で車に轢かれて…

壮太

まじかよ

壮太

…いざ自分の死因を知るとショックだな

壮太

ミィはどうなるんだ?

あこ

壮太が守ってくれるから轢かれずにすむよ

あこ

それに事故現場に駆けつけた人がたまたま獣医だったの、それで…

壮太

そうか

あこ

だから、今日はミィを連れて病院には行かないで

あこ

わかった?

壮太

わかった

壮太

行くよ

あこ

はあ?なんで!

壮太

ミィ、すげー苦しんでる…このままじゃここで死ぬ

壮太

俺が助けてやらなきゃ

あこ

自分が死んでもいいっていうの?

壮太

いいさ

壮太

どうせ、悲しんでくれる人はいない

壮太

ミィだけが俺の味方なんだ

壮太

助けてやりたい

あこ

壮太…

あこ

今何時?

壮太

なんだよ急に

あこ

お願い、教えて…私、もう…

あこ

21時は過ぎた?

壮太

は?どういうこと?

壮太

今は…21時02分だけど

あこ

よかった

あこ

ありがと

あこ

大好きだよ

あこ

大好き

壮太

なんだよ急にしおらしくなって…

あこ

秘密を隠してる

あこ

読んで

あこ

ごめん

壮太

秘密?読む?

壮太

おい?

壮太

あこ

壮太

待て、ミィが

目を離したのは一瞬だったはずだ

でも、その一瞬で…ミィは動かなくなった

ぐったりとしたその体を抱えて病院へ走る

でも、助からなかった

その代わりに、俺は生きている

医者は「あと少し病院に来るのが早ければ」と言った

俺は「どうしてあと少し早く来れなかったか」知っている

あこだ

全てを知っていたあこに足止めをされていたに違いない

だから俺は車に轢かれなかった

その代わりに、ミィを救うはずの獣医がやってくることもなかった

そして同時に…あこからのコンタクトは途切れた

俺を救うという任務を終えたからなのだろうか

さよならぐらい、言わせてほしかったのに…

壮太

あこ

壮太

…やっぱ返事なしか

壮太

お前との生活、結構楽しかった

壮太

こんな風に思えたのいつぶりかわからないぐらい

壮太

だから…急にいなくなったりするなよ、馬鹿

壮太

それに「秘密を隠してる」「読んで」ってなんだよ

壮太

なあ…

俺は何度も読み返したあことのやりとりにもう一度目を通す

そしてあることに気がついた

壮太

なんだ、これ…

あこからのメッセージ

それを縦から読む

すると…

壮太

そんな

あこが、ミィの命よりも俺を救うことを優先した理由

ミィが死ぬのと同時に、あこと連絡が取れなくなったわけ

『私の着信を無視するなんて何事!?』

『たく、しょうがないなあ』

『壮太!起きて!』

『はいはい、しゃきっとして!』

『みんな起きてる時間だよ。てか今日はバイトの面接なんでしょ?』

『いつまで寝てんの?起きろーっ!』

『壮太はねぼすけだなあ』

『うんと夜遅くまでゲームなんかするから起きられなくなるんだよ』

『たらたらしないで早く支度して』

『…帰りにミィの餌、買ってくるの忘れないでね』

『知ってるよ、もちろん』

『なんでも知ってる』

『なんでもね』

『言ってあげよっか?』

『デパートの屋上で拾った元捨て猫』

『今は壮太のたったひとり、ううん、一匹の相棒でしょ』

『きみたちは眠る時もずっと一緒』

『てかそのマンション、本当は動物禁止みたいだけど…黙っててあげる』

壮太

わたしはみい

壮太

そうた…

壮太

しなないで

壮太

いきて

手のひらに、ミィのふわふわとした毛並みが蘇る

甘えたような鳴き声

いつも俺に寄り添ってくれた、相棒

壮太

ありがとう

壮太

お前を絶対に忘れないよ、ミィ

壮太

お前に救ってもらった命を無駄にしない

それから俺は、今まで続けていた怠惰な生活を改めた

諦めていた就職活動を始め、小さな企業ながら正社員になった

そこで出会った女性と結婚もした

ミィが救ってくれた命で、精一杯生き切るために

そして…

壮太

久しぶりだな

壮太

昨日、子どもが生まれたんだ

壮太

女の子だよ

壮太

今名前を考えてるんだけど…

壮太

「あこ」って名付けようと思うんだ

壮太

今度は俺が守るよ、この命に代えて…

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