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オリちゃん
モブ女子A
モブ女子B
ざわざわした空気。 教室に入ると、あんなに威圧的だったAの席が、ぽっかりと空いている。 まるで、最初からそこには誰もいなかったみたいに。
莉子
涼香
私の指が、ポケットの中でスマホに触れる。 昨日の画面。 【このアカウントをブロックしました】 その冷たい文字が、頭の中にこびりついて離れない。 ……消した。 私が。私の指が、あの子を消したんだ。
結局、ユイちゃんは学校に来なかった。 誰も理由を知らない。 誰も、彼女の行方をつかめない。 私のスマホの中では、まだ彼女が「ブロック」されたままなのに。
オリちゃん
怖くなって、ブロックを解除しようと画面を叩く。 でも、何度押しても反応しない。 画面の中の「ユイ」という名前が、ノイズみたいに歪んでいく。
???
オリちゃん
バッ!と振り向くと、そこには窓際に座る見慣れない少女 夕日に照らされて、長い黒髪と、不気味なほど鮮やかな青い瞳が光ってる
オリちゃん
ラエ
オリちゃん
ラエ
おりちゃんはラエの青い瞳に釘付けになる その瞳は、すべてを見透かしているみたいで怖いのに なぜか逆らえない不思議な安心感があった
ラエ
オリちゃん
ラエ
ラエが細い指で指差したのは 教室の隅でユイの不在をヒソヒソ話しているリコとスズカだった
オリちゃん
ラエ
ラエがおりちゃんのスマホの上に、自分の白い手を重ねる 画面が冷たく光って、自動的にSNSのフォロワー一覧が開いた
ラエ
おりちゃんの指が、ラエに導かれるようにリコのアカウントへ動く 昨日までの恐怖が、少しずつ「全能感」に変わっていく
オリちゃん
ラエ
モブ女子A
モブ女子B
教室内はパニック一歩手前のざわめきに包まれている 先生たちも顔を真っ青にして廊下を走っていく おりちゃんは自分の席で小さくなって座っていた 心臓の音がうるさくて、周りの声が遠く感じる 本当に消えた 私が、昨日あのボタンを押したから ふと隣を見ると、転校してきたばかりのラエが 騒ぎなんて興味なさそうに、窓の外を眺めていた
ラエ
ラエの声は、騒がしい教室の中でそこだけ温度が低いみたいに響く その青い瞳が、ゆっくりとおりちゃんの方を向いた
ラエ
ラエが視線で示したのは 一人、青ざめた顔で自分の席に座り込んでいるスズカだった 紫色の髪を震わせながら、スズカがこっちを……おりちゃんを睨んでいる
涼香
スズカが立ち上がり、ゆっくりとおりちゃんに近づいてくる クラス中の視線が、一気に二人へ集まった
夜、リビングには重苦しい空気が流れている テレビのニュースでは、自分と同じ制服を着たユイとリコの写真が映っていた
オリちゃんの母
オリちゃんの父
おりちゃんは震える手で膝を抱える スマホは机の上に置いたままだ まるで、触れたら火傷しそうなほど怖かった
オリちゃんの母
オリちゃん
その時、机の上のスマホが震えた 通知センターに映ったのは、ラエからのメッセージ
ラエ
ラエ…… なんで、家の中のことがわかるの?
ラエ
オリちゃん
パイプ椅子の硬い感触が、織ちゃんの不安を余計に煽る 目の前には、鋭い目つきをした私服の刑事が二人座っていた
刑事
オリちゃん
刑事
刑事がゆっくりと身を乗り出して、織ちゃんの机の上のスマホに目を向ける
刑事
オリちゃん
見られたら終わる。 ブロックの履歴を見られたら、私が二人を消したことがバレる。 その時、閉まっていたはずの相談室のドアが 音もなく、すーっと開いた
ラエ
刑事
ラエは刑事の言葉なんて無視して 真っ直ぐに織ちゃんの横まで歩いてくる その青い瞳が、不気味なほど鮮やかに光った
ラエ
ラエが刑事の肩にそっと手を置く その瞬間、刑事の表情から「感情」が消えた
ラエ
刑事
刑事が織のスマホに手を伸ばしたその瞬間! 相談室のドアが勢いよく蹴破られる
涼香
紫色の髪を振り乱したスズカが、息を切らして立っていた その目は充血していて、織とラエを交互に睨みつける
涼香
刑事
オリちゃん
涼香
スズカが織に掴みかかろうと突進する 刑事も慌てて止めようとするけど、ラエがその間に割って入った
ラエ
ラエの青い瞳が、教室の温度を数度下げたみたいに冷たく光る ラエは織の耳元で、甘く、毒のように囁いた
ラエ
織の指が、ポケットの中のスマホに触れる 画面はいつの間にか、ブロックリストの「追加」待機状態になっている
涼香
刑事
どうすればいい? 私がこのボタンを押せば、全部終わるの? それとも、もっと最悪なことが始まるの――?