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一颯がクラブに入るようになってから
1週間後の練習試合の時だった……
真宮 咲久
咲久は綺麗な弧を描き、トスをあげる。
チームメイトはそれをスパイクして、点を取った。
真宮 咲久
真宮 咲久
その時、
コーチがコート内に向かって声を出した。
コーチ
真宮 咲久
真宮 咲久
真宮 咲久
コーチの隣には準備運動をしている一颯が立っていた。
真宮 咲久
真宮 咲久
コーチ
真宮 咲久
真宮 咲久
交代……
こう、たい……?
真宮 咲久
一颯はツンとした表情のまま、コート内へと入ってきた。
尾瀬 一颯
真宮 咲久
真宮 咲久
咲久はそう言い放ち、ベンチへと戻って行った。
試合は再開し、咲久はベンチから試合の様子を観戦していた。
我慢できなくなった咲久は隣に座るコーチに声をかけた。
真宮 咲久
真宮 咲久
真宮 咲久
コーチ
コーチ
真宮 咲久
コーチ
コーチ
真宮 咲久
真宮 咲久
真宮 咲久
咲久はそう自分に言い聞かせながら拳を握りしめた。
しかし、
次の練習試合
そのまた次の練習試合でも、
俺がコートに立つことはなかった
俺が長年かけて築いてきたスキルや仲間からの信頼を
アイツはたった数ヶ月で物にした。
真宮 咲久
咲久のサーブはネットに引っかかって落ちてしまった。
真宮 咲久
外は日が落ちて真っ暗になっていた。
コートの周りには何十個ものボールが転がっていた。
真宮 咲久
一颯の打つサーブは
もっと早くて
もっと強くて___
真宮 咲久
一颯みたいに__
グラッ……と視界が歪む。
真宮 咲久
咲久はなんとかバランスを保った。
ズキンッズキンッズキンッ__
真宮 咲久
こんなもので疲れてたらダメだ
もっと練習しないといけないのに
体がついて来ない……
真宮 咲久
真宮 咲久
悔しさが込み上げてきて、
咲久の目に涙が溜まった。
ガララララ……
真宮 咲久
咲久は扉が開く音の方に顔を向けた。
尾瀬 一颯
真宮 咲久
咲久は一颯から目を逸らし、腕で溜まった涙をゴシゴシと拭いた。
真宮 咲久
尾瀬 一颯
尾瀬 一颯
一颯は体育館の隅に置いてある水筒を指さした。
真宮 咲久
真宮 咲久
尾瀬 一颯
尾瀬 一颯
尾瀬 一颯
真宮 咲久
ズキンッ
ズキンッ
ズキンッ……!
真宮 咲久
尾瀬 一颯
真宮 咲久
真宮 咲久
尾瀬 一颯
真宮 咲久
尾瀬 一颯
尾瀬 一颯
一颯は顔をムッとさせて咲久から目を逸らした。
尾瀬 一颯
尾瀬 一颯
真宮 咲久
真宮 咲久
尾瀬 一颯
尾瀬 一颯
尾瀬 一颯
ズキンッズキンッズキンッ
真宮 咲久
こいつの言葉全部が
俺の脳を攻撃するような感覚__
真宮 咲久
真宮 咲久
真宮 咲久
真宮 咲久
尾瀬 一颯
尾瀬 一颯
真宮 咲久
尾瀬 一颯
尾瀬 一颯
尾瀬 一颯
尾瀬 一颯
パチンッ……
咲久は一颯の右頬を叩いた。
尾瀬 一颯
真宮 咲久
真宮 咲久
尾瀬 一颯
真宮 咲久
咲久は涙が流れそうになるのを堪えて、唇をかみ締めた。
一颯に__
君になりたい
でも……
真宮 咲久
尾瀬 一颯
尾瀬 一颯
尾瀬 一颯
真宮 咲久
一颯は右手で拳を作り、咲久の顔を殴った。
真宮 咲久
咲久は勢いのまま、床に倒れ込んでしまった。
真宮 咲久
尾瀬 一颯
尾瀬 一颯
真宮 咲久
尾瀬 一颯
一颯の言葉にカチン、ときて咲久はその場に立ち上がった。
真宮 咲久
咲久は拳を一颯に振り下げた。
一颯はそれを交わして、咲久の体にもう1発殴った。
真宮 咲久
尾瀬 一颯
真宮 咲久
咲久は悔しさで目に涙を溜めながら、
一颯にもう一度殴りかかった。
尾瀬 一颯
一颯は拳をかわした。
真宮 咲久
尾瀬 一颯
真宮 咲久
尾瀬 一颯
尾瀬 一颯
尾瀬 一颯
弱虫……__
真宮 咲久
真宮 咲久
それから
一颯とは取っ組み合いの喧嘩をして
たまたま戻ってきたコーチに見つかって無理やり引き剥がされた
俺の方から喧嘩を売ったのに
一颯は傷1つついてなくて
俺の方は顔がパンパンに腫れたっけ
その数日後、
一颯はクラブを辞めた
コーチにはめっちゃ怒られた
取っ組み合いの喧嘩をしてただからじゃない
"優秀"な人材を逃したからだ。
それから俺は
一颯になりたくて
一颯を倒したくて
バレーをしている__