テラーノベル
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夜の空気は静かだった。
月も雲に隠れて
東京のネオンが霞んで見える
高層ビルの谷間に埋もれるように存在する
誰にも知られない廃ビル
その屋上に1人の女が立っていた
○○
○○
通信機にそう呟いた瞬間
背中から強い風が吹いた。
黒いジャケットが揺れ
腰まである長い髪が靡いた
私の名前は…無い
いや…
コードネーム“エル”
それが私の人生だ
静かに
だけど確実に
彼女の長い任務は終わった
背後の扉が軋む音と共に開いた
ジェイ
ジェイ
ジェイ
気だるそうな声と共に現れたのは
ボサボサ頭にゴーグルを乗せた男
“ジェイ”だった
彼は天才ハッカー
ここ数年はエルと数々の任務をこなしてきた
肩肘をつかないラフさと
解析能力では右に出る者がいない男
○○
○○
ジェイ
○○
○○
○○
○○
ジェイ
ジェイ
ジェイ
ジェイ
○○
○○
○○
ジェイ
ジェイ
ジェイは小さく笑いながらエルの隣に立つ
その横顔には
ほんの僅かな寂しさが滲んでいた
ジェイ
○○
ジェイ
ジェイ
その言葉が終わる前に
爆発のような声が響いた
アイ
エルもジェイも無言で振り返った
階段をバタバタ駆け上がってきたのは
鮮やかな赤いジャケットを羽織った
小柄な女の子
アイだった
○○
アイ
アイ
○○
アイ
アイ
アイ
○○
アイ
アイ
全力の拒絶にアイはへたり込みそうになる
しかし持ち前の勢いで立て直し
両手を合わせて拝むポーズを取る
アイ
アイ
アイ
ジェイ
アイ
アイ
○○
エルは興味なさそうにアイを見下ろす
けれどアイは1歩も引かず
タブレットを取りだして
一枚の写真を表示した
そこに映っていたのは
スーツ姿の茶髪の男
整った顔立ち、少し睨むような眼差し
アイ
アイ
アイ
アイ
アイ
アイ
○○
アイ
アイ
アイ
○○
アイ
○○
エルはキッパリと言い捨て歩き出した
アイは地面に正座したような体制で後を追う
アイ
アイ
ピタッと自分の足が止まるのが分かった
○○
アイ
アイ
アイ
アイ
ほんの一瞬…エルの目が僅かに輝いた
○○
アイ
アイ
○○
そこはジェイがゆっくりと口を開いた
ジェイ
ジェイ
その声は珍しく低く
冷めていた
振り返るとジェイはゴーグルを回しながら
ため息をついていた
ジェイ
ジェイ
ジェイ
ジェイ
ジェイ
空気が一瞬で冷えた
けれどもエルは静かに目を細めた
○○
ジェイ
○○
○○
ジェイは黙った
アイは「さすがエル先輩!」と勝手に盛りがってる
やがてエルはジェイに向かって一言だけ言った
○○
○○
○○
ジェイ
ジェイ
ジェイ
○○
○○
その夜私は1人
街の中のネオンに消えていった
知らない誰かのフリをして
知らない誰かに近づく
それはもう何度もやってきたことで
慣れている。
ただひとつ違うのは
今回は遊びだということ
そう自分に聞かせた
だけどこの遊びが…
あんなに心臓をかき乱すものになるなんて
この時の私は…
何も
何も知らなかった
コメント
4件
きゃー!!新作ですか?! やばいめっちゃ楽しみすぎる スパイ?!ですか?!こうゆう系の作品好きすぎて自分で作っちゃおっかなって思ってたので本当に見れて嬉しいです🥺 ゆっくりでいいので続き楽しみにしてます‼️‼️
めっっちゃ雰囲気好きです🥹🎀 神作すぎます🍒🎶