お母さんの手料理3

お母さんは泣いていた。

ダッ(走る)

私は悪くない。

あんなお弁当作るお母さんが悪いんだ。

そうだ、そうだよ

お母さんが悪いんだよ。

次の日、お母さんの手に癌が発見された。

お母さんの癌は、すでに悪化していた。

発見が遅かったらしい。

先生の話によると、手を切断しないと一週間も持たずに死ぬらしい。

お母さんは手を切断するのを選ばなかった。

お母さんは死んだ。

私はお母さんのお弁当をもう食べられない。

お母さんは、死ぬ直前、優香に渡してと手紙をお父さんに預けたらしい。

その手紙には、ヨレヨレの大人の字とは思えない汚い字で、こう書いてあった。

優香へ

美味しいお弁当を作ってあげられなくてごめんね。

お母さん、優香のこと考えてなかった。

そうだよね。

あんなお弁当、お友達の前で食べられないよね。

ごめんね。ごめんね。

ごめんね。と書いた字のそばに

涙で滲んだ跡があった。

お母さん。ごめんね