TellerNovel

テラーノベル

アプリでサクサク楽しめる

テラーノベル(Teller Novel)

タイトル、作家名、タグで検索

ストーリーを書く

マキナルの恐怖双書“まがまが”

一覧ページ

「マキナルの恐怖双書“まがまが”」のメインビジュアル

マキナルの恐怖双書“まがまが”

3 - マキナルの恐怖双書“まがまが” 第3話 -セメント漬け少女3-

♥

7,147

2018年10月05日

シェアするシェアする
報告する

エリカ

コウタくん、どうしてッ?

エリカ

助けを呼びに行ってくれたんじゃないの

コウタ

…………

エリカ

ねえッ!?

オダマ

コウタさんはなあ、テメーみたいな卑しい女子高生とは違うんだよ

エリカ

何だとー

オダマ

コウタさんは小学生じゃねーんだよ

オダマ

テメーと同い年、17才だ

エリカ

ええっ!

オダマ

芝居をしていただけなんだよ

オダマ

オマエと直に話したかったんだとよ

エリカ

(何なの?コイツら、ヤバい!)

オダマ

コウタさんは5年前、心に大きな傷を負った…

オダマ

それから身体の成長が止まってしまったんだよ

エリカ

…!

5年前

深夜、車を運転するオダマ

オダマ

ふう~取引先の接待ですっかり遅くなっちまった

オダマ

かなり酒、飲んじまったが、まあ大丈夫だろうよ

オダマ

うわあああッ!危ねえッ!

キキキーッ

ガシャーン

オダマ

いってぇぇぇ!

オダマ

車が急に飛び出して来やがった!

オダマ

オダマ

何だ何だおいおいおい!

オダマ

冗談じゃねぇぞ!

エリカ

エリカ

オダマ

ひでぇ事故だった

オダマ

潰れた車内に夫婦と子供がいたよ

オダマ

夫婦は即死状態だった

オダマ

子供は生きていたが右足を失った──

オダマ

それがコウタさんだ

エリカ

!!

オダマ

懲役を食らったオレは出所したら真っ先に養護施設へ行ったんだ

オダマ

女房にも息子にも逃げられオレは孤独だった

オダマ

凄まじい孤独だよっわかるかあ?ええ?

オダマ

そんなオレが魅入られたように施設に行ったのさ

オダマ

あの事故で交通遺児となったこの方に詫びるために…

オダマ

オレは驚いた…!

オダマ

小学生のようなコウタさんがいた!

オダマ

コウタさんは5年間まったく成長していなかったのさ

コウタ

…ボクの肉体は成長をやめてしまった

コウタ

両親と右足を失くした悲しみでね

オダマ

身体の成長は止まったが、この方の頭脳は異常に成長し続けた!

オダマ

オレよりずっと頭がいい、分析力もある

オダマ

オレの事業を手伝ってくれた!

オダマ

オレの支えになってくれたんだよぉ

オダマ

オレの会社がデカくなったのはコウタさんのアドバイスのおかげさ

オダマ

何よりオレを赦すと言ってくれた!

オダマ

こんな…こんなオレをっ…!

オダマ

コウタ

そうじゃないよ、おじさんが頑張ったから会社は成功したんだよ

オダマ

いやいやコウタさん

コウタ

──でもね

コウタ

若い女にうつつを抜かすおじさんは嫌いなんだ

オダマ

いやそれは…

コウタ

それもボクと同い年の女なんて汚らしい

コウタ

さっきこの女と喋ったけど、おじさんが夢中になる要素なんか見当たらなかったなあ

コウタ

そもそも妻や子供に逃げられ孤独になったおじさんを救済したのは誰?

コウタ

道を指し示したのは誰なの?

オダマ

コウタさんです!コウタさんっ

コウタ

だったらさあ、こんな女サクッと始末して早く帰ろうよ

エリカ

何よアンタたち!

エリカ

異常な関係よ!狂ってる!

エリカ

オイ!小学生の成りした17才!

エリカ

バカにするのもいい加減にしろ!このオッサンが勝手に熱上げたんだろうが

エリカ

アタシは被害者よ!

コウタ

…うるさいなぁ…うるさい

コウタ

デリカシーがなさ過ぎてボク、イライラしちゃうな

コウタ

だよね、おじさん?

オダマ

わかりましたわかりましたコウタさんっ

オダマ

コイツどうします?

コウタ

この女はボクのおじさんを惑わした

コウタ

家族を失くしたボクの痛み、悲しみ

コウタ

キミにわかる?

エリカ

…………

コウタ

ボクはね、このおじさんにゆっくりと時間をかけて復讐することにしたのさ

オダマ

えっ?

コウタ

コウタ

一発で殺してしまうなんてつまんない

コウタ

ボクがこの男を支配して完全にコントロールする

オダマ

ちょっコウタさん、何を…

コウタ

思考して行動する能力を奪い、気づかないうちに自由を奪い、ボクに依存していくようにしたんだ

コウタ

その為には魔法のような奇跡も起こさなきゃいけない、投資と株でこの男の会社を大きくしてやったのさ

コウタ

欲望が満たされるようにね

オダマ

うう…

コウタ

骨抜きにして言いなりにするのに何年もかかったよ

コウタ

この男はボクの言うことしか信じない

コウタ

そう、廃人のように生きるしかないボクのオモチャなのさ!

オダマ

な…コウタさん…

エリカ

(怪物…!この子、狂ってる…)

コウタ

最近のおじさんは目に余るものがあったよ

コウタ

夢見てるみたいな顔でエリカという女のことを語るんだ──

コウタ

たかが出会い系アプリで知った少女のことを…

コウタ

背伸びして遊んでばかりの女子高生の何がいいの?

コウタ

ギャアギャアやかましくて、似合わない厚化粧、目が痛くなるようなファッション

コウタ

自分をよく見せることしか考えず、そのくせスマホの画面を通してしか世界を見られない──

コウタ

エリカさん、キミ、さっきボクを『怪物』呼ばわりしたよね?キミの方がよっぽど怪物じゃないの?

エリカ

ハッ!どういうこと?頭の中で思っただけなのにっ!

オダマ

コウタさんはなあ!人の頭ン中が覗けるんだよ!

エリカ

ええっ!?

オダマ

何でもお見通しなんだよ!だから逆らえないんだ!

エリカ

そんなことって…

オダマ

隠し事もできないんだよ!

エリカ

…………

エリカ

ううッ、やかましい女の何が悪いんだよっ

オダマ

なんだとーテメー

エリカ

着飾ってチヤホヤされて何が悪い?

エリカ

それで得するなら誰だってそうするよっ、女の子なら誰だって!

エリカ

何で苦しい思いして生きなきゃなんないの?アタシは世界中が泣いてたって最後まで笑ってたい!

エリカ

誰よりカワイイって言われたいし、誰よりチヤホヤされたいの!

エリカ

どんなことしたって生き延びてやるからなっ見てろっ!

コウタ

ふうん、そんなに生きたきゃ、ホラッ

ゴトッ

コウタ

エリカ

キャッ!お、斧?

コウタ

それで自分の足を切り落とせたなら逃げてもいいよ、解放してあげる

コウタ

もうキミのことは追わないと約束するよ

エリカ

なッ

コウタ

それでボクとおんなじ義足になるよね?フフフッ

オダマ

その前に出血多量で死ぬかもなーッワッハッハハーッ

コウタ

今のキミに与えられた唯一生き残るチャンスだよ?さあ手に取れよ

エリカ

うう…バカにしやがって!クソヤローッ!

オダマ

わわっ、この女っ本当に手に取りやがった!

エリカ

バカヤローッうわあああああっ!

少年A

ねえちゃん、やめなッ!

エリカ

!?

オダマ

誰だっ!?

少年B

足なんて切ることないよ、さあ、それ置いて

オダマ

…何だよガキ2人じゃねーか!ビビらせんじゃねーよ、まったく

オダマ

少年A

『大切なことは、目に見えない』

少年B

──『星の王子さま』?

少年A

そう、作家でパイロットだった男が書いた話だ。アイツはそう書いてた

少年A

だとしたら「粗末なことは、よく見える」のかなあ?トオヤ?

少年B

そうだね、クヌギ

少年B

ここでは、とてもよく「見えてる」ものだね

少年A

ふう、長い旅をしてきた甲斐があったぜ

続く…

マキナルの恐怖双書“まがまが”

作品ページ作品ページ
次の話を読む

この作品はいかがでしたか?

7,147

コメント

0

👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!

チャット小説はテラーノベルアプリをインストール
テラーノベルのスクリーンショット
テラーノベル

電車の中でも寝る前のベッドの中でもサクサク快適に。
もっと読みたい!がどんどんみつかる。
「読んで」「書いて」毎日が楽しくなる小説アプリをダウンロードしよう。

Apple StoreGoogle Play Store
本棚

ホーム

本棚

検索

ストーリーを書く
本棚

通知

本棚

本棚