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第95話『影の芽吹き』
静かだった。
静かすぎるほどに、部屋は沈んでいた。
昼下がりの光が、レースのカーテン越しに薄く差し込む。
外では蝉が、まるで壊れた機械のように鳴き続けている。
夏の音だけが、現実とのつながりを保っていた。
らんはベッドに座り、両手を膝の上で握り締めていた。
爪が食い込み、指先の色が変わる。
気づいていても力が抜けない。
胸の奥で、薄い波のような声が揺れた。
らんの影
いつもの声。
いつからか当たり前にそこに居る、もうひとりの自分。
らんは顔を上げる。
薄闇の隅に、影が輪郭を持って佇んでいた。
らん
らん
口にした途端、空気が一度止まったように感じた。
影は、静かに黙り込む。
答えを探すのではなく、言葉を選んでいる沈黙だった。
数秒。
蝉の声がうるさく響き、時間の流れを強制する。
そして影は、ゆっくりと一つ頷いた。
らんの影
らん
理解が追いつかず、らんの喉が震える。
心臓を掴まれたみたいで、息が少し乱れた。
何かが崩れ始める。
嫌な予感が形を持ち始める。
らん
らん
らん
しれっと言い切った瞬間、影の目が見開かれた。
ぎょっとした表情。
普段感情を出さない影のその反応に、らん自身も驚く。
らんの影
らんの影
らん
咳払いひとつ。
影は表情を整える。
らんの影
らんの影
らん
らん
声が大きくなった。
らんは立ち上がり、握り締めた拳をそのまま胸に押し当てる。
苦しい。
胸がちぎれそうだった。
らんの影
らんの影
らん
呟いた言葉が、重く落ちる。
こさめが泣きながら笑っていた姿が頭の奥で霞むように浮かんだ。
思い出せたはずの記憶が、また遠ざかっていくようで怖かった。
夏の蝉の声が、痛いほど響く。
らん
限界まで絞り出すように、らんは言った。
目線は床、握った拳は震えている。
自分の無力さの重さに、肩が小さく震えていた。
影は息を吐く。
らんの影
らんの影
らんの影
投げやりのようであり、諦めにも似た声音。
らんはゆっくり顔を上げる。
瞳は強く揺れながら、それでも決意を宿していた。
らん
らん
らん
影は長く深い溜息を吐いた。
それは呆れでも嫌悪でもなく――覚悟の音だった。
らんの影
静かに頷く。
その瞬間、レース越しの光が少し揺れた。
窓の外、強い風が吹き、木々を揺らす音が響く。
夏が満ちていく。
そして――同時に、何かが崩れ始める。
らんはもう一度大きく息を吸うと、ゆっくり扉に手をかけた。
こさめと向き合うために。
その背中を、影は静かに見送った。
第95話・了
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𝙉𝙚𝙭𝙩 ︎ ⇝♡230
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コメント
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このあとどうなるんだろう???🌸くん頑張れ! 投稿ありがとうございます!!続き楽しみにしてます!!!