オオタ
ケンヤ
同じ『アイカ』のルームに通っているオオタが後ろに立っていた。
中肉中背だが、少し猫背でファッションには気を遣っていない。
一目では『オタク』と言われても仕方がない風貌だった。
オオタ
ケンヤ
オオタ
オオタ
二チャッとした笑い顔を見ながら、ケンヤも笑顔を返す。
こう見えて、オオタとは仲が良かった。
声をかけてきたのは2か月前。
今日みたいに男が暴れて強制的に店を出させられ
どこにも行く当てがなくなったケンヤを誘ったのがオオタだった。
オオタ
ケンヤ
オオタ
ケンヤ
オオタ
2人は近くの居酒屋に入り、ビールを頼む。
すぐに運ばれてきたビールで乾杯をすると、乾いた喉に流し込んだ。
ケンヤ
オオタ
オオタ
オオタ
ケンヤ
オオタ
ケンヤ
ケンヤ
オオタ
オオタ
ケンヤ
ケンヤ
オオタ
オオタ
ケンヤ
ケンヤ
オオタ
ケンヤ
ニヤニヤと笑いながらケンヤは運ばれてきた卵焼きをつつく。
更に料理が運ばれてきて、酒が進んでいく。
オオタとの話は楽しかった。
共通の話題が出せる人なんて、大学にはいない。
ケンヤ
オオタ
ケンヤ
ケンヤ
オオタ
ケンヤはビールをあおり、アイカに出会った時のことを考えていた。
2年前
ケンヤ
ケンヤ
動画配信サイトでアイドル気取りの素人に
厳しい言葉を送るのがケンヤの日課になっていた。
それ以外にやることがないのだ。
ギャンブル三昧で落としてしまった単位。
もうすでに決まっている留年。
将来に希望などなかった。
ケンヤ
ケンヤ
ケンヤの嫌がらせは、留まることを知らなかった。
アカウントを止められても、別の方法で復活し
更に過激な言葉をぶつけて配信をやめさせる。
そんな、最悪の人生を歩んでいた。
しかし……
アイカ
まだ配信5回目のアイカは、ケンヤの罵詈雑言に泣きもしない。
アイカ
アイカ
アイカ
アイカ
彼女はそう言って腹筋を始めた。
「しねえよ」とうつつもりだった。
だけど、彼女は1回腹筋するごとにカメラを見て励ましてくれる。
ケンヤ
ケンヤは腹筋を始めていた。
腹筋は30回も行かずにアイカが音を上げて終わりになったが
ケンヤはなんだかスッキリしていた。
ケンヤ
アイカ
アイカ
そう言って、配信が終わった。
ケンヤ
ケンヤ
暇だったケンヤはアイカをお気に入り登録し
配信が始まるとすぐに入るようにした。
アイカ
ケンヤ
アイカ
ケンヤ
やり取りが増えて行くが、画面越しで
しかも彼女に会えるのは1時間程度しかないのが不満だった。
そんな時だった。
アイカ
アイカ
アイカ
アイカ
アイカ
アイカ
アイカ
アイカ
アイカ
アイカ
ケンヤ
ケンヤはそうコメントを残しつつ、その額を見て唾を飲んだ。
月額3000円。
それにプラス『お布施』でお金が払えるシステムだという。
ケンヤ
時給の高いバイトをリサーチしつつ、ケンヤはアイカのことを考えていた。
ケンヤ
コメント
4件
最高です! ありがとうございます✨