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窓際族の私に。

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後輩の鯉登音之進君

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2023年10月20日

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◯◯

(やっと半日が終わった…。
)

やれやれと思いながらお弁当を広げていると。

鯉登

◯◯先輩、隣良いですか??

◯◯

いいよ。今日は皆と一緒じゃないんだね。

鯉登

大勢といるのは疲れますから。

後輩の鯉登君は、人の上に立つに相応しいカリスマ性がある。入社直後から頭角をあらわし、出世街道を突っ走っている。

それにあやかって媚びへつらう人や疎む人に毎日囲まれて過ごすのは、本当に疲れることだと思う。

◯◯

そうだよね、疲れるよね…。

鯉登

でも先輩といる時は別です。沈黙も苦じゃないし、ただ一緒にいるだけで落ち着くんです。

◯◯

それは…。

理想のカップルにおける定義だよ…!!

◯◯

私が“話しかけるなオーラ”出してて地味だし、一緒にいても得しないって思われてるからかな。

鯉登

先輩そんなオーラ出してたんですか??

◯◯

いや出してるつもりないんだけど…、出してるのかなぁ。昔から第一印象は根暗な不思議ちゃんで通ってるから。

鯉登

俺はそんな風に思ったことないですよ。皆知らないだけなんです。◯◯先輩が素敵な人だってこと。

◯◯

あ、りがと…。

鯉登君は、“相手が好意を寄せてしまうような言葉”をさらっと言える人だ。自分も幾度となく好きになりそうだったのを必死に抑えてきた。

でもついに限界が。仕事続きで疲れ果てた私の心にさっきの言葉は奥深く刺さってしまった。

◯◯

鯉登君はさ、なんで私のこと気にかけてくれるの…??

彼は顔を赤くして、こちらを見るが、真剣な顔で。

鯉登

いつも裏方に徹して自分の本心を出さないし、そのくせ使命感が強くて1人で全部抱えて無理してる。
そんな先輩がほっとけないんです。今だってほら、目に涙が…。

◯◯

いや、これはその…。

鯉登

ここ最近の先輩、残業続きであまり休めてないですよね。その仕事、俺にも手伝わせてください。

まさかの申し出に、言葉が出なくて口だけが魚のようにパクパクしてしまう。

◯◯

て、手伝ってほしいとか、手伝わせてほしいとか、今までしてこなかったしされてこなかったから…。お願いしてもバチ当たらないよね…。

鯉登

当たりませんよ。むしろしない方が罰当たりです。

◯◯

じゃあ改めて、手伝ってください。お願いします。

鯉登

分かりました、任せてください!!

鯉登君の笑顔が、私のストレスで凝り固まった身体を和らげた。

方言混じりで楽しそうに話す姿が、私を前向きにさせてくれる。

食後、デスクに戻ると部長に呼ばれて、鯉登君と一緒に外回りに行くようにとお達しを受けた。

鯉登

先輩と外回り行くのは初めてですね。

背が高くて体格もいい鯉登君。手をあげると目立つからかすぐにタクシーも捕まる。

◯◯

このお得意様、気難しいところあるけど鯉登君がいるならいけそうだね。

鯉登

気難しいとは…??

◯◯

男尊女卑なところあるの。私にだけじゃなくて、その会社の中でも。

鯉登

それはいけませんね。

急にスイッチが入り、どす黒オーラを纏いだす。

◯◯

あ、あんまり強く丸めこんじゃ駄目だよ。

鯉登

任せてください。

いつもの無敵スマイルなのに、どす黒オーラは纏ったままだ。

そして見事、こちらの利権を勝ち取った。

鯉登

◯◯先輩、時間余っちゃったので、一緒にお茶しませんか。

◯◯

いいよ。

鯉登

カフェか喫茶店、どこにしましょう??

仕事中だけど、2人で相談しながら歩くのはデートみたいで。意識してしまうのはきっと私だけ。

◯◯

この喫茶店にしない??

鯉登

いいですね!!入りましょう。

今だけは“好き”になってもいいよね。

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