暗黒街の銃声

ドゴッ！！

バキィ！！

ガンッ！！

ドカッ！！

ひぃっ！！なんて怪力なんだよ！！

全部素手で……！！？

おい…こいつまさか……

あの連続殺人の……！！？

た、頼む！命だけは……

うわあああああああああ！！！！！！

ぎゃあああああああああ！！！！！！

痛＂い＂ぃぃぃぃぃぃぃ！！！！！！！！！

も＂う＂や＂め＂て＂く＂れ＂ぇぇぇぇぇぇ！！！！！！

ｷｬﾊｯ……

キャッハハハハハハ！！！！！！！！

〜ニュース速報〜

＂次のニュースです。昨夜、〇〇町(＝暗黒街)の廃ビルに× × × 組と見られる複数人が無惨な遺体で発見されました＂

"警察は、暴力団の× × × 組はおそらく、廃ビルで集会をしているところを何者かに襲撃を受け殺害されたと推測しています。"

暗殺組織"IBUKI"に所属する殺し屋、神楽リリアが身支度をしながらテレビを見ている。

"調査によると、犯人は凶器を使わず素手で殺害したと推測しています。"

〜暗殺組織 IBUKI本部〜

暗殺組織 IBUKIの店長がリリアに標的についての資料を見せながら言った。

リリアは今朝見たニュースで出た連続殺人事件の犯人のことを言った。

すると店長は悩むように言った。

何言ってんだ店長とでも言いそうな顔をして店長を見るリリア。

そう言ってリリアは部屋を出た。

〜屋上〜

(ビクッ！！)

突然リリアの背後から女の声がした。

バッと振り向いたら、赤いジャケットを羽織ったハーフアップの髪型をした先日、自分の相棒になった女。百峰桃音がイタズラっぽく笑って立っていた。

※詳しくは第2話「無表情人斬り」にて。

リリアは屋上から去っていった。

〜ヤクザのアジト前〜

リリアはヤクザのアジトである大きくて古い倉庫に来た。

入口のシャッターの前に見張りが2人いるのを確認した。

リリアは人を殺しそうな気配を変わり、日本刀を出し刃を抜く。

バッ！

ザシュッ！ ズバッ！

リリアは眉を一切動かさない無表情で見張りを斬り捨てた。

さすがは暗黒街に「人斬り人形」と勝手にあだ名をつけらた殺し屋だ。

しかし本人はこのあだ名を全くもって気に入ってはいなかった。

〜倉庫の中〜

そう言って1人のヤクザがシャッターを開けた。

ｶﾞﾗﾗﾗﾗｯ

ザシュッ！

開いた瞬間、そのヤクザを斬った。

血しぶきを吹き散らかしながらその場で倒れる。

リリアは何も言わず、獲物を狙うようにヤクザ達を見つめる。

ヤクザ達は各自のエモノ(武器)を取り出し、リリアへ飛びかかる。

ザシュッ！

ズバッ！

ズバッ！

その一言を言って、斬り捨てた。

ガンッ！

突然、後ろからヤクザが鉄パイプでリリアの背中を殴ってきた。

その場に崩れ落ちるように膝をつくリリア。

リリアは思った。 やっぱり相棒の桃音と来ればよかったなと。

鉄パイプを振り上げて言いかけた 次の瞬間……

パリーン！！！

すると窓ガラスが割れ、人影が飛んできた。

ボコォ！！

バキィ！！

すると高い女の笑い声とヤクザの骨が砕ける音が聞こえた。

その女は赤い目と肩より上の短い髪に紫の大きなリボンに腰より上の短い丈の半袖のジャケット、赤が混じったピンクのへそ出しのポロシャツを着ている。ボタンは全て開いていて胸の谷間が見えている。 そして薄茶色のショートパンツとポロシャツと同じ色のスニーカーを履いている。

女は明るく元気な声で言った。

その女は早乙女ルカという名の連続殺人事件の犯人だそうだ。

膝まづいて命乞いするヤクザ。

ゴキッ！！

ヤクザの首の骨が折れる音がした。 ルカは足を大きく振り上げて思いっきり力強く、膝まづいているヤクザを踏みつけたのだ。

ヤクザはうつ伏せになった。

ダンッ！！

バキッ！！

ゴキッ！！

1度ではなく、2度…3度……首の骨が折れているにも関わらず、腕や背中など…何度でも足蹴にして骨を折る。

首の骨が折れ、激痛で声が出ないヤクザは苦しんでいる。

ルカの容赦なさに震えるリリア。

ルカに散々足蹴にされ、全身の骨が砕けたヤクザは血まみれになって息を絶えた。

ルカは冷たくなったヤクザの頭を掴んで持ち上げた。

立ち上がり刀を握りしめてルカを睨んで言う。

どうやらルカはリリアの存在に全く気づいていなかったようだ。

リリアはルカに刃を向ける。

ルカはリリアが持っている血の付いた日本刀を見て言う。そして辺りに転がっているヤクザの死体を見渡す。

警戒しながらルカに問う。

ルカは赤面で満面の笑みで言った。 まるで異常者のようだ。

ルカは血みどろになって転がっているヤクザ達の死体の方を向いて言った。

なんか嫌な予感がする…… まさか……？

……待って待って、嘘でしょ！？ ボクを殺す気！？

バッ

すると突然、ルカはリリアに殴りに飛びかかった！そして素早く避けるリリア。

明るく答えた… とんだサイコパスだな、この女。

ブンッ！

ビュンッ！

フッ！

ルカの攻撃を避け続けるリリア。

リリアに攻撃しながら目をガン開きにして笑う。

……そういえば、こいつ。殺し屋の標的になるはずの者だ。今殺した方がいいんじゃ？でも、この女は今回の標的じゃない。死なない程度に再起不能にしておくか……？

ヒュン！

リリアは刃を振りルカの両腕を斬り落とそうとする。しかし……

ガンッ！

すると鉄の音がした。

リリアの刃はルカの両腕ではなく彼女が付けてるリストバンドに食い込んでた。

……え、2kg？両腕に？ 合計4kgじゃん。

おそらく、ルカの腕にリリアの刃が届く前にリストバンドで食い止めたようだ。 なんという反射神経なんだ！

キン！

リストバンドからリリアの刃が弾かれる！

そう不安に思った次の瞬間…！

ドゴォ！

リリアの腹部に内臓の位置が動いたような刺激が走った。

ルカがリリアの腹部を力強く蹴ったのだ。

ダンッ

ルカに蹴り飛ばされ壁に背中を打って吐血した。リリアはその場で崩れるように座り込んだ。

そう言いながらこちらに向かって来る

リリアの腕の骨を蹴りで砕こう足を振りあげようとした時……！

リリアは腹部の激痛に耐えながら言った。

血を吐きながらルカを睨みつけて言った。

突然、気が狂ったように笑いだしたルカ。

満面の笑みで言う。 なんか怖い。顔や身体に返り血でベトベトで両手両足は真っ赤に染まってるから余計に怖い。 これが狂気の連続殺人鬼なのか。

……ほんとにこの女サイコパスだなぁ。今までどんな風に生きてきたのかが不思議に思えて来たなぁ。

((ビクッ！？))

突然、男の声がした。 このヤクザの組長だ。

平然とした表情で問いかける。 呑気だなオイ。

リリアに向かって歩く組長。

と言って銃をリリアの額に向ける。

引き金を引こうとしたその瞬間……！

ゴキィ！！

頭蓋骨が砕ける音がした。 ルカが組長の頭を後ろから思いっきり蹴ったのだ。

組長はその場に倒れる。

……それで今助けたの！？

リリアが驚いているその時、 唸り声が聞こえた。

ｶﾞﾊｯ…ｱ＂……ｸﾞｩ…ｱﾞｱﾞｱﾞｱﾞｱﾞ……

さっきルカに頭を砕かれたはずの組長がまだ生きてた！？

頭から出た血で真っ赤に染まった状態で険しい顔で倒れた姿勢のままルカに銃口をむける。

ザシュッ！

引き金に指がかかってない瞬間に組長の首が斬られた。

ｺﾛｺﾛｯ……

斬り落とされた首が転がり、断面から大量の血飛沫を浴びるリリア。

リリアが斬ったのだ。 それも眉を一切動いていない無表情で。「人斬り人形」と呼ばれるのもおかしくはない。

バッ！

突然ルカはリリアの所へ走り ぎゅうっとハグした！？

またサイコパスなことを言っている。 でも、なんだろう？ なんだかさっきとは違って…… 少し純粋さがあって？ ものすごく嬉しそう。

もう頭が回らなくなってきたリリア。 ほんとに…なんなんだよこの女。

ニコニコしているルカ。 サイコ感は全く感じさせない。

マジで唐突なことを聞くリリア。

にこやかな表情は変わらず驚くルカ。 声が出ない。しばらく黙り込んだ。

リリアにハグした時の嬉しさから感じさせるものが、もう1つあった。

「孤独から解放感」だ。

ルカからにはそんな感情が伝わった。

ルカは少し泣きそうな悲しい表情をした。でも口元は笑っているままだ。

君も殺し屋にならない？

思い切って口にした。

不安げなルカに優しく言うリリア。

するとルカは今までの人生で おそらく最高に嬉しそうな表情になった。

リリアも嬉しそうな表情だ。

リリアが処理班に連絡した後、 2人はIBUKI本部へ向かった。

〜暗殺組織 IBUKI本部〜

店長に任務の完了を伝えるリリア。

リリアの隣にはルカがニコニコして立っている。

突然、例の殺人鬼との対面と入社希望に驚く店長。

リリアは任務であったことを店長に説明した。

店長はしばらく黙り込んだ。 部屋はシーンと静かになった。

この時、店長は思った。

……うちで1番お淑やかな部下が凄いもん連れてきた。

〜屋上〜

フェンスの傍に桃音が立っていた。

やっぱり店長と同様、 桃音もびっくり。

リリアは任務であったことを ……(以下略)

桃音もこの時思った。

すげぇもん 持ち帰ってきたな！？

こうして桃音達に新たに狂気で愉快な仲間が1人増えたのであった。