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僕の恋人は記憶喪失

第7話 - 同じ気持ち

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2024年10月30日

#類司

#prsk_bl

#記憶喪失

べーーー

杏

司先輩…！

杏

えっ、なんで…

杏

というかその怪我…！大丈夫なんですか！？

司

え、えっとお…

司

る、類っ…？

類

ああ、大丈夫だよ

類

悪い人じゃあないさ

杏

へっ？

類

…白石くん、実は司くんは――

杏

きっ、記憶喪失…！？

杏

ちょっ、本当なんですか…！？

類

ああ、本当だよ…

杏

そんな…

杏

えっと…その怪我は大丈夫なんですか？

類

…まだ完全には治っていないよ

類

今日は特別に外出許可を貰えてね、それで学校へ来たんだ

杏

そうだったんですね…

杏

というか神代先輩も…！！

杏

なんで司先輩の病院教えてくれなかったんですか！？

類

ああ、その事は…

杏

私もですけど、冬弥なんか心配しすぎでずっーと上の空だったんですよ…！

杏

神代先輩も、冬弥のこと見かけてたりしてただろうし分かると思いますけど…

類

…すまなかった

類

寧々たちに口止めをしていたのも僕だよ…

類

…本当、申し訳なかったと思ってる

杏

…それなら、早く会わせてあげた方がいいかもですね

類

…ああ、そうだね

杏

…司先輩

司

…？

杏

…私は白石杏です。司先輩の、学校の後輩です！

司

…白石。すまない、何も覚えていなくて

杏

ううん、気にしないでください

杏

久しぶりの学校、楽しんでくださいね！

司

…ああ、ありがとう

類

…それじゃあ白石くん、僕たちはそろそろ行くね

杏

はい、神代先輩も…あんなこと言っちゃってすみませんでした

類

…ううん、謝らないでくれ

類

委員会、頑張ってね

杏

はい、ありがとうございます…！

類

司くん、それじゃあ僕は行くけれど…大丈夫かい？

司

えっ？

司

類、どこへ行くのだ…？

類

…ああ、そっか

類

司くん、僕と司くんはクラスが別なのだよ

司

それじゃあオレ、ひとりなのか…

類

…嫌なら無理はしなくても大丈夫なんだよ？

司

…いいや、大丈夫だ

類

…

類

分かった

類

君のクラスメイトも、きっと分かってくれるはずだから…

類

何かあれば人に頼るんだよ？

司

ああ、分かっている

司

…でも、類

類

？

司

…何かあった時は、やっぱり類がそばにいて欲しい

類

司くん…

司

…すまんな、無理言って！

司

オレは大丈夫だから、類は何も心配するな！

類

…無理はしないと、それだけ約束してくれ

司

もう、いくらその約束をするんだか（笑）

司

…けど、分かった

司

約束するよ、類

類

…うん、ありがとう

類

それじゃあ、僕は行くね

類

…司くんも、頑張って

司

ああ、類もな！

2-A 教室前

司

（…ふぅ、緊張するな）

司

（廊下には人が居なかったが…中はかなり賑わっているようだな）

司

（…大丈夫だ）

司

（…類もああ言ってくれていたし）

司

（…よし）

ガラッ

扉を開けると、クラスメイト達は一斉にオレの方を見た

司

（うっ…クラスメイトたちの視線が突き刺さる…）

男子生徒

は？！司！？

司

…！？

司

（うぅ、なんで緊張してるんだあ、オレ…）

オレは、不慣れながらも片手で車椅子を回し教室に入った

男子生徒

…ちょっ、天馬！？

司

へっ…

男子生徒

久しぶり…！！！

男子生徒

ホント…心配してたんだぞー！？

司

（…いい人そうだ）

司

あ、あはは…すまない

女子生徒

えっ、天馬くん！？

女子生徒

確か事故に合ったって…

男子生徒

車椅子って、もう怪我とか…大丈夫なのか？

司

ああ、今は…

女子生徒

えっ、でも…見る限りひどそうだよ？

司

これは少し大袈裟なだけだ（笑）

司

完治はしていないが…今は痛みも何も特に無いから、大丈夫だ

女子生徒

そっか…

男子生徒

病院、入院してたんだろ？

男子生徒

もう退院出来たのか？

司

いや、今日は特別に…

司

（…どうしよう、記憶が無いことやっぱり言っておいた方がいいよな？）

男子生徒

どうしたんだ？

司

い、いや…なんでもない！

男子生徒

…ま、何かあればすぐに言えよな

男子生徒

不便なことも多いだろうし、手伝って欲しいことがあればなんでも言えよ？

司

あっ、ああ…すまないな、ありがとう

男子生徒

いいっていいって！

司

（…大丈夫そうだし、この事はまた後で言おう）

2-B

類

…

クラスメイト

――おい、神代！！

類

わっ…どうしたんだい？

クラスメイト

どうしたも何も、天馬来てるぞ！？！？

類

ああ…司くん

クラスメイト

はっ？？お前知ってんのか？

類

…まあ

クラスメイト

なんだよー

クラスメイト

というか、あいつ大丈夫なの？

クラスメイト

俺もチラッと見たけど、車椅子じゃなかった？

クラスメイト

結構怪我酷そうじゃね？

類

まあ、完治はしていないからね…

クラスメイト

お前詳しくね？

クラスメイト

…あっ！まさかこないだ言ってたお見舞いっての、天馬の事なのか！？

類

気付いていなかったのかい？

クラスメイト

いやあ、確かにそうだよな

クラスメイト

そっかあ、それでお前は…

クラスメイト

てか、やっぱりお前は天馬の入院先の病院知ってたんだな？

類

いや、まあねえ…

クラスメイト

仲良かったもんなー

クラスメイト

隣のクラスの奴ら、見舞い行きたいけど病院分かんねーってよく言ってたよ

類

…そうだね

クラスメイト

？

クラスメイト

天馬、ひとりで大丈夫なのか？

類

…どうだろうねえ

クラスメイト

まあでも、天馬の事だし大丈夫か

類

…

類

（司くん、上手くやれているだろうか…）

授業中

司

（…全く分からん）

司

（というかこのノート…オレが使っていた物なのか）

司

（咲希のやつ、こんな物まで…）

1枚1枚、ページをめくっていく

司

（…オレ、こんな独り言までノートに書いて…）

司

…

司

（授業を受けて、ノートを書き…）

司

（…この頃のオレは何を感じていたのだろう）

昼休み

類

とりあえず…午前中はどうだったかい？

司

…うーん

司

意外に大丈夫だったな！

類

おや、本当かい？

司

ああ、クラスの人たちもみんないい人だったし…

類

フフ、それなら良かったよ

類

…記憶喪失の話は？

司

ああ、話した

司

最初は言っていなかったのだが…やはり話していると噛み合わない所が出てきてしまってな

類

おや、そうだったんだね

司

けど…心の準備が出来ていたからか、今朝みたいにはならなかったよ

類

本当に？

司

ほ、ホントだっ…！

司

…多分

類

ふふ、結局自信ないんじゃないか（笑）

司

もー…！いっ、いいじゃないか別に！

類

ああ、良いよ（笑）

類

…そうだ

類

司くん、青柳くんにはまだ会っていなかったよね？

類

探しにいかないと――

彰人

ちょ、冬弥…！

冬弥

司先輩…！！

司

あ…

冬弥

司先輩…

司

…えっと

類

…司くん。青柳くんに、東雲くんだよ

司

…青柳さん？

彰人

は？

冬弥

司先輩…？

司

…えっと、すまないな

司

…オレ、記憶ないんだ

冬弥

…えっ？

冬弥

記憶が…？？

彰人

んだよそれ…

彰人

記憶喪失ってことかよ…？

司

…すまん

類

…

彰人

…神代センパイ

彰人

…なんで司センパイの入院先の病院教えてくれなかったんすか？

類

…君たちが心配してること、白石くんから聞いたよ

彰人

オレ達も司センパイが今日学校に来てること杏から聞いたんでそれは知ってます

彰人

それで、なんでなんすか？

彰人

草薙にも聞いてみたりしたけどダメだった

彰人

あんたが口止めしてたんすよね？

類

…ああ、そうだよ

彰人

っ…

彰人

なんでなんですか…！？

彰人

…別に、教えてくれたって良かったじゃないっすか

冬弥

よせ、彰人…

彰人

冬弥、お前が誰よりも心配してたじゃねぇか…！

彰人

…いいのかよ

冬弥

彰人…

類

…すまない

類

君たちが心配していることは分かっていた

類

…けれど、けれど僕は…

類

…本当に、自分勝手だった

類

…僕は、司くんに余計な心配をかけたくないと、こんなこと…

彰人

なんだよ、それ…

彰人

それじゃあ司センパイにとってオレらの心配ってのは余計だったのかよ…！

類

…違うんだ、東雲くん

彰人

何も違わねぇだろ…

彰人

…自分勝手だよ、ホント

冬弥

彰人…！少し言い過ぎだ…！

冬弥

…すみません、神代先輩

類

…ううん、いいんだよ青柳くん

類

…僕が、悪いんだ

類

東雲くんの言う通りだよ

彰人

…冬弥、もうオレ先に行ってるから

冬弥

…ああ、分かった

彰人

…司センパイ

司

…どうしたんだ？

彰人

…早く良くなって下さいよ

司

…！ああ

類

…青柳くん、本当に悪かった

冬弥

いえ、もう俺は気にしてませんので…

冬弥

俺はこうして、また司先輩に会うことが出来たから…もういいんです

類

…すまない

目が覚めてから類は、「悪かった」と謝ってばかりなような気がする

それも、全部オレのせい

謝っても謝っても足りないくらい…

きっと類もオレと同じ、そんな気持ちなんだと思う

冬弥

…司先輩

司

ああ、青柳さん…

冬弥

…冬弥で構いません

司

分かった

冬弥

…ご無事で何よりです

冬弥

…本当に、良かった

司

…

司

冬弥は…

司

オレと、仲が良かったのか？

冬弥

仲が良いというより…司先輩は、俺がとてもお世話になっていた人なんです

冬弥

昔から…とても

司

昔からって…

司

どれくらい昔だ？

冬弥

俺が幼い頃…小学校に入学する前からです

司

そんなに昔なのか…！

司

…だからかな

冬弥

え？

司

…何故だか分からないが、冬弥と喋っていると暖かいんだ

冬弥

暖かい…ですか？

司

…うん

司

…冬弥は、ずっとオレのそばに居てくれてたんじゃないか？

冬弥

…そばに、ですか

類

…

司

…でも、なんでだろうな！

司

…冬弥には、好きに、冬弥らしく生きて欲しいと思うよ

司

ってオレ…何も覚えてないのに、変だよな…いきなりこんなこと（笑）

冬弥

…いえ、ありがとうございます。司先輩

司

いや、こちらこそだ

司

…えっと、東雲さんにもまたありがとうと伝えておいてくれ！

冬弥

はい、分かりました

冬弥

…それじゃあ、俺はそろそろ行きますね

類

…青柳くん。ありがとう

冬弥

いえ、こちらこそ…

冬弥

それじゃあ、失礼しました

類

青柳くん

冬弥

神代先輩？

冬弥

まだ近くに居ますけれど、何か用ですか？

類

いいや

類

司くんの病院

冬弥

どういう事ですか？

類

○○病院

類

ここの304号室

類

東雲くんや、他に知りたがってる人にも伝えておいてくれないか？

類

遅くなってごめんね

冬弥

はい、ありがとうございます！

司

類

ん、どうしたんだい？司くん

司

…オレがずっとそばにいて欲しいって思うのは、類だけだよ

類

えっ？

司

（今思うと、咲希にも冬弥と同じことを思えるな）

司

（あの時の夢のオレは、何をあんなに心配していたのだろう）

司

（…類は、こんなにも近くに居てくれたというのに）

司

…だって類、さっき嫉妬してただろ？（笑）

類

嫉妬…！？

司

あれ、違ったか？

類

…うん、違うね

類

…全然違うよ

司

あはは、そっか（笑）

少し赤く染まっていた耳

そんな類と… この先もずっと、一緒に居られたら

…居られたら、とても幸せだ

司

（って…こんな事を思えてしまうのは、なんでだろうな）

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