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【連載中】罪と罰-Sin and Punishment-

第6話 - 罪と罰-Sin and Punishment-6

2024年02月07日

#ミステリー

#ファンタジー

#サスペンス

#恋愛

#創作

KIO EIGHT

７月７日午後４時５０分

網井炎（あみいほむら）

九十九。

九十九周（つくもあまね）

網井さん！

網井炎（あみいほむら）

また一人でやらされてんだ？

九十九周（つくもあまね）

あー…。

九十九周（つくもあまね）

まあ、一人のが気楽ですけどね。

網井炎（あみいほむら）

…そうやって、

網井炎（あみいほむら）

すぐに強がる。

九十九周（つくもあまね）

…やめてください。

九十九周（つくもあまね）

っていうか、どうしたんですか？

九十九周（つくもあまね）

また探し物ですか？

網井炎（あみいほむら）

うーん。

網井炎（あみいほむら）

そう、探し物。

網井炎（あみいほむら）

誰かに見つからないように、

網井炎（あみいほむら）

大切にしまってたんだけどね。

九十九周（つくもあまね）

は…？

九十九周（つくもあまね）

え、私物ですか？

九十九周（つくもあまね）

網井さん…、

九十九周（つくもあまね）

何してるんですか…。

網井炎（あみいほむら）

…いやいや。

網井炎（あみいほむら）

俺のモノじゃないよ。

九十九周（つくもあまね）

え？

網井炎（あみいほむら）

まだ…ね。

網井炎（あみいほむら）

そういう約束でしょ？

九十九周（つくもあまね）

…網井さん。

九十九周（つくもあまね）

何を言ってるのか…よく分かりません。

九十九周（つくもあまね）

なんか、

九十九周（つくもあまね）

変ですよ…？

網井炎（あみいほむら）

…そうかな。

網井炎（あみいほむら）

…

網井炎（あみいほむら）

……いや、

網井炎（あみいほむら）

そうだよな。

九十九周（つくもあまね）

…何か、

九十九周（つくもあまね）

あったんですか…？

網井炎（あみいほむら）

…うん。

網井炎（あみいほむら）

……いや、

網井炎（あみいほむら）

大丈夫…。

九十九周（つくもあまね）

…

九十九周（つくもあまね）

……

九十九周（つくもあまね）

…私でよければ、

九十九周（つくもあまね）

話してください。

網井炎（あみいほむら）

…

九十九周（つくもあまね）

網井さんはいつも私を気にかけてくれました。

九十九周（つくもあまね）

昔も今もです。

九十九周（つくもあまね）

だから、

九十九周（つくもあまね）

私で役に立てるなら、何でも言ってください。

網井炎（あみいほむら）

…

網井炎（あみいほむら）

……

網井炎（あみいほむら）

………九十九は、

網井炎（あみいほむら）

優しいね…。

網井炎（あみいほむら）

ずっと、変わらない。

網井炎（あみいほむら）

俺は、その魂に惚れた。

九十九周（つくもあまね）

…あ、みい…さん…？

網井炎（あみいほむら）

…九十九、

網井炎（あみいほむら）

……ごめんな。

九十九周（つくもあまね）

…え…！

愛する人を愛して、愛されたいーーーー

（俺にも…、）

（…そんな、美しい欲望があれば、）

（…この渇きが、）

（満たされるのだろうか…？）

今…

君の目に、

俺はどう見えるだろう。

網井炎（あみいほむら）

…九十九。

網井炎（あみいほむら）

……周。

網井炎（あみいほむら）

……流石に、意識を保てなかったか。

網井炎（あみいほむら）

まあ、当然だな。

網井炎（あみいほむら）

これは、森羅万象を統べるモノ。

網井炎（あみいほむら）

本来、脆弱なヒトの器では受け入れることはできない。

網井炎（あみいほむら）

…でも。

網井炎（あみいほむら）

周…。

網井炎（あみいほむら）

お前は違う。

網井炎（あみいほむら）

俺がお前の望みを叶える…。

網井炎（あみいほむら）

そのために、準備してきた。

網井炎（あみいほむら）

そして、その神聖な魂を…

網井炎（あみいほむら）

永遠に…。

網井炎（あみいほむら）

…これは、君の望みを…

網井炎（あみいほむら）

願いを叶えるためでもある…。

網井炎（あみいほむら）

…。

網井炎（あみいほむら）

あの日…。

網井炎（あみいほむら）

…君は俺に願った。

網井炎（あみいほむら）

俺は、その願いを叶えて君を手に入れる。

網井炎（あみいほむら）

…それでいい、

網井炎（あみいほむら）

…それでいいはずなのに…。

網井炎（あみいほむら）

…。

網井炎（あみいほむら）

……。

網井炎（あみいほむら）

…あまね…。

網井炎（あみいほむら）

…どうしたら…、

網井炎（あみいほむら）

…どうしたらいいんだろうね…。

網井炎（あみいほむら）

…所詮、

網井炎（あみいほむら）

悪魔である俺には、

網井炎（あみいほむら）

損なうことで手にする術しか持ち得ないのかな…。

網井炎（あみいほむら）

…この身体は炎と化しても、痛くも痒くもない。

網井炎（あみいほむら）

冥界の炎ならば、何ともない。

網井炎（あみいほむら）

けれど、君の魂に触れれば、

網井炎（あみいほむら）

たちまちに、神の火に阻まれてしまう。

網井炎（あみいほむら）

俺は、

網井炎（あみいほむら）

君を守りたいのか、

網井炎（あみいほむら）

堕落させたいのか…。

網井炎（あみいほむら）

…もう、よく分からないんだ…。

７月７日午後9時

九十九周（つくもあまね）

あのー…。

店員

…。

九十九周（つくもあまね）

…。

九十九周（つくもあまね）

……（タバコの陳列中で聞こえてない？）

九十九周（つくもあまね）

…あのー…、すみません。

店員

…。

♫〜ピンポンパンポンピポーン…♪

店員

いらっしゃいませー！

店員

…って、なんでカウンターに弁当が…

九十九周（つくもあまね）

すみません！

店員

…え！

店員

ってわぁっ！

九十九周（つくもあまね）

え？

店員

お客さん…！

店員

いつの間に…！

九十九周（つくもあまね）

さっきから何度も呼んでるんですけど…。

店員

えぇ！？

店員

あの、そうですか…！すみません…！

店員

全然、聞こえなくて…！

九十九周（つくもあまね）

…いえ、別に大丈夫です。

九十九周（つくもあまね）

あの、お会計…。

店員

あ！そうですよね！

九十九周（つくもあまね）

（私って、影が薄いのかな…。）

７月７日午後９時３０分

九十九周（つくもあまね）

（…網井さん。結局、何しに来たんだろう…？）

九十九周（つくもあまね）

（雑談して帰っていったけど…。）

九十九周（つくもあまね）

（息抜き…だったのかな…？）

九十九周（つくもあまね）

…。

九十九周（つくもあまね）

……。

九十九周（つくもあまね）

……雑談…？

九十九周（つくもあまね）

…って、あれ…？

九十九周（つくもあまね）

私…。

網井さんと、何を話したんだっけ…？

周…ごめんね。

周…、大丈夫。大丈夫だ…！

（羽澄さん…？）

（…。）

（……これは、）

（…ゆめ…、なのかな…。）

俺が…、

もとに戻す…！

（戻す…？）

（何のことなのか…よく分かりません。）

（…。）

（……でも、）

（…温かい…。）

（…これは、）

（涙…？）

（羽澄さん…、泣いてる…？）

７月８日午前０時３分

九十九周（つくもあまね）

…羽澄…さん…？

九十九周（つくもあまね）

…。

九十九周（つくもあまね）

あれ…？

九十九周（つくもあまね）

…ここ、どこ…？

網井炎（あみいほむら）

…おはよう。

九十九周（つくもあまね）

え…？

九十九周（つくもあまね）

何で…網井さんが…！

網井炎（あみいほむら）

何でって、言ったでしょ？

網井炎（あみいほむら）

君との約束を果たすまで、

網井炎（あみいほむら）

ずっとそばにいるって。

九十九周（つくもあまね）

やく…そく…？

網井炎（あみいほむら）

そう。約束。

網井炎（あみいほむら）

今の君は混乱してるからね。

網井炎（あみいほむら）

俺の魔術が解けて、

網井炎（あみいほむら）

尚且つ、膨大な情報を受け取った直後だからね。

網井炎（あみいほむら）

でも、直ぐに情報が整理されて、

網井炎（あみいほむら）

君はこの世界を統べる力を手にする。

九十九周（つくもあまね）

…何を言ってるの…？

網井炎（あみいほむら）

周…。

網井炎（あみいほむら）

俺は君になら、

網井炎（あみいほむら）

支配されても構わない。

九十九周（つくもあまね）

…こわい…。

九十九周（つくもあまね）

こわいよ…、網井さん…。

網井炎（あみいほむら）

はやく思い出して。

九十九周（つくもあまね）

思い出す…？

網井炎（あみいほむら）

…君を幸福にするために、

網井炎（あみいほむら）

君の記憶に蓋をした。

網井炎（あみいほむら）

だけど、その蓋はもうない。

網井炎（あみいほむら）

君が望めば、何もかもが思いのままだ。

九十九周（つくもあまね）

…。

九十九周（つくもあまね）

……あ

網井炎（あみいほむら）

…大丈夫。

網井炎（あみいほむら）

俺は君に危害を与えたりしない。

網井炎（あみいほむら）

だって君は、

この上ない、極上の魂なのだから。

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