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母ちゃんの顔が見たくて地下室を飛び出した
財布も鞄も持たずに来てしまった
あったのはポケットの中の千五百円だけ
頭の中はぐちゃぐちゃで
涙が止まらなくなっていた
じいちゃん
そんなことはわかっていた
わかっていたけど
それでも俺は母ちゃんを助けたいと思った
過去を変えたら未来が変わる
それでもし母ちゃんを助けることができたら……
母ちゃんは今よりもっと幸せになれるはずだ
今日は珍しく天気が良かった
俺が母ちゃんに会いに行く日はいつも曇りだった
こんなにも苦しい気持ちなのに
電車の窓から見えるのは
明るい空に浮かぶ大きな雲
明日夢
明日夢
みなみ
明日夢
明日夢
明日夢
こんな時に会いたくなかった
こんな涙でぐちゃぐちゃな顔
みなみさんには見られたくなかった
みなみ
みなみ
明日夢
明日夢
みなみ
みなみ
明日夢
みなみ
明日夢
明日夢
この状況を説明することなんてできなかった
タイムマシーンのことは話せないし
それを使って過去を変えようとしているなんて言えない
明日夢
明日夢
タイムマシーンが使えなかったら意味がないのに……
今、病院に行ったって何にも変わらないのに……
みなみ
明日夢
みなみ
明日夢
言えない……
委員長に真実を告げることはできない
でもダメだ……
委員長を目の前にしてかなり動揺している
涙もずっと止まらなくて
何度、拭っても溢れてしまって
明日夢
明日夢
これが精一杯だった
しつこく聞かれるかと思ったけど
委員長は俺の言葉に黙って頷いた
みなみ
みなみ
委員長の問いかけに
明日夢
何とか声を絞り出して答えた
委員長は俺のことを心配して付き添おうとしてくれたけど
巻き込みたくなかったから断った
でも電車は最寄りの東柳下駅に到着してしまい
委員長と二人で電車を降りる
このまま彼女を一人で帰すわけにはいかない
だから一度、柳駅まで送ってまた来よう
そう思ったのに……
みなみ
明日夢
明日夢
みなみ
明日夢
明日夢
明日夢
みなみ
みなみ
みなみ
みなみ
本来なら俺が反対車線のホームまで行って見送るべきなのに
委員長は改札まで一緒に来てくれた
そして改札を出た俺に
みなみ
みなみ
みなみ
明日夢
突然、下の名前で呼ばれて驚いて
心臓のドキドキが止まらなくなった
やっぱり俺はみなみさんのことが好きだ
申し訳ない気持ちが溢れて
それでも手を振るみなみさんに精一杯の笑顔で答えた
明日夢
みなみさんは照れたように笑って
ホームに向かって歩いていく
もしかしたら何か用事があったかもしれないのに
俺のためにここまで来てくれた
それが嬉しくてたまらない
気がつくと涙も止まっていて
ほんの少しだけ勇気を貰えた気がした
全てが終わったらちゃんと話そう
俺が泣いていた理由
俺がやろうとしていたことも全て
タイムマシーンのことを話したら……
みなみさんは信じてくれるかな？
沼田さん
明日夢
沼田さん
明日夢
沼田さん
明日夢
沼田さん
明日夢
沼田さん
沼田さん
沼田さん
明日夢
沼田さん
沼田さん
明日夢
俺がもし母ちゃんを助けたら
今のような沼田さんとの関係はなくなってしまう
母ちゃんが事故に遭わずに無事に俺を出産して
寝たきりになることもなくなったら
沼田さんとはもう
明日夢
明日夢
沼田さん
明日夢
沼田さん
沼田さん
明日夢
沼田さん
沼田さん
頭を下げて病室へ
明日夢
明日夢
母ちゃんを助けるために
一番いい方法を考えなければ……
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