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朝の蝶屋敷には、活気が戻っていた
柱稽古の為に隊士たちが集まり 炭治郎を始めとした面々が修行に明け暮れる
鬼殺隊が最後の総力戦へ向けて 動き出しているのが肌で感じ取れる程だった
芙梛は訓練に疲れて倒れ込む隊士たちに水を運び 傷の手当てをしていた
けれどその瞳は、どこか遠くを見つめている
芙 梛
鬼としての命令か
人間としての時間か
そのどちらにも寄りきれないまま 彼女は宙ぶらりんのまま蝶屋敷にいた
そこへ無一郎がやってくる
時 透
芙 梛
芙 梛
時 透
無一郎は表情を変えずに言う
けれど、芙梛は分かっていた
彼は明らかに、以前よりも距離を詰めてきていた
芙 梛
そう言って二人で無言のまま水を運び続ける
しかし、無一郎の口から不意に落ちた一言が 静寂を破った
時 透
時 透
その言葉に芙梛の足が止まる
芙 梛
時 透
時 透
時 透
無一郎は、彼女の目を真っ直ぐ見ていた
逃げ場も、隠し場所も、ないように
時 透
時 透
芙梛は唇を噛み締めた
その優しさが、何よりも嬉しくて
そして辛かった
無惨の命令
禰豆子を連れてくるという指令
まだ果たせていない鬼としての義務
そして、無一郎の真っ直ぐすぎる眼差し
彼女の中で崩れかけてた何かが 静かに悲鳴を上げてる
芙 梛
彼女はそう、ぽつりと呟いた