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らーゆダヨ🍜
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ハイキューらぶ💞
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お手伝いさんが夕食を置いて出ていくと
静寂だけが残った
カチ、カチと時計の音が響く
〇〇はテーブルの上に置かれた夕食へ目を落とした
白い湯気が立つご飯
焼き魚
味噌汁
煮物
どれも一流料亭で出るような料理だった
〇〇
箸を持つ
ひとくち食べる
〇〇
思わず本音が漏れた
現実ではコンビニ弁当や
カップラーメンがほとんどだった
こんな暖かい料理なんて、いつぶりだろう
それなのに
〇〇
少しも嬉しくなかった
さっき見た光景が頭から離れない
楽しそうに笑う家族
豪華な食卓
そこに自分の居場所だけがなかった
〇〇
漫画では描かれていなかった
茂木〇〇の家
家族
過去
読者が知っているのは『性格の悪い』という印象だけ
〇〇
どうしてこんな性格になったのか
石森しずを嫌うのか
どうしてあんな目をされるのか
何も知らなかった
〇〇
箸を置きベッドに倒れ込む
天井を見つめる
〇〇
〇〇
漫画の世界なんてあるはずがない
なのに今
自分はここにいる
茂木〇〇として
〇〇
出来すぎた夢だ
きっと事故の衝撃で夢を見ているだけ
朝になれば病院のベットにいる
看護師さんがいて
「大丈夫ですか?」と声をかけてくれる
またブラック企業に出勤して
いつもの日常にもどる
〇〇
そう自分に言い聞かせる
それ以外考えられなかった
ベッドに潜り込み頭まで布団を被る
〇〇
そう信じながらゆっくりと目を閉じた
その夜はなかなか眠ることができなかった
朝
昇降口には生徒たちの騒がしい声が響いていた
角名は眠たそうに小さく欠伸をし
上履きを履き替える
角名
ローファーを下駄箱にしまい
扉を閉めようとしたその時だった
石森しず
控えめな声に振り向く
そこには石森しずが立っていた
石森しず
柔らかく微笑むその姿は
朝日に照らされてどこか絵になる
角名
角名は短く返した
しずは少し照れくさそうに指先をもじもじと動かす
石森しず
石森しず
角名
石森しず
石森しず
角名は一瞬だけ目を瞬かせた
角名
少し考えるように間を置いてから
口を開く
角名
角名
角名
角名
角名
その口調は淡々としていて
気負いも照れもない
しずは一瞬だけキョトンとし
小さく笑った
石森しず
石森しず
石森しず
ふわり
春風みたいな笑顔だった
石森しず
小さく手を振る
石森しず
そう言って軽い足取りで校舎へ入っていく
角名はその後ろ姿を
ぼんやりと見つめた
角名
別になんとも思わない
ただお礼を言われただけ
宮治
背中を軽く叩かれる
振り向くと
宮治がおにぎりを食べていた
宮治
宮治
角名
角名は真顔で治を見る
宮治
角名
角名
治はニヤッと笑う
宮治
宮治
角名
角名
興味があるのかないのか分からない
微妙な返事だった
角名は鞄を肩にかけ
そのまま歩き出した
宮治
宮治
角名
角名
宮治
治は苦笑しながら角名の後を追いかけた
教室の窓から差し込む朝日が
机の上を照らしていた
ザワザワとクラスメイトの話し声が響く
笑い声
椅子を引く音
そんな日常の音が
〇〇にはどこか遠くに感じられた
窓側、一番後ろの席
〇〇は頬杖を着いたまま
ぼんやりと外を眺めていた
〇〇
夢じゃなかった
朝、目を覚ましても
見慣れない部屋のままだった
見慣れない制服に袖を通し
何も迷わず学校へ来た
身体が自然に動く
茂木〇〇の記憶が
少しずつ自分に溶け込んでいる
〇〇
小さく呟く
昨日はほとんど眠れなかった
目の下には薄く隈が出来ている
夢であって欲しかった
現実は残酷だ
ここは漫画の世界
そして自分は悪役茂木〇〇
〇〇
〇〇は机に手を付き
額へ手を当てる
落ち着いて考えよう
まだ何も起きてない
原作では昨日
石森しずに嫌味をいい
初めて角名と顔を合わせた
ここから悪役としての物語か進む
でも…
まだ変えれるかもしれない
このまま進めば
私は、茂木〇〇は
最悪の結末を迎えるはず
〇〇
悪役にならなければいい
石森しずに関わらない
角名倫太郎にも近づかない
目立たないように過ごす
それならきっと
物語は変わる
今はそれしか思いつかなかった
だからまずは
茂木〇〇らしくないこと
それがこの世界で生きることだ
休み時間
教室のあちこちから談笑する声が聞こえてくる
〇〇は頬杖を着きながら
小さく息を吐いた
石森しずには近づかない
話しかけない
悪役にならなければ、それでいい
そう自分に言い聞かせる
すると教室の前方で声が響いた
先生
先生
先生
石森しず
しずは笑顔で返事をすると
両手でプリントを抱え
一人ひとりの机を回った
…こっちに来る
〇〇は思わず目をそらす
大丈夫
受け取るだけ
『ありがとう』っていえば終わる
しずの足音が近づく
そして
石森しず
柔らかい声が響いた
石森しず
1枚のプリントが差し出される
〇〇はそれを受け取り口を開いた
ありがとう
そういうつもりだった
なのに
〇〇
石森しず
しずが目を丸くする
〇〇自身も固まった
…え?
今、私
違う
そんなこと言うつもりじゃ
石森しず
しずは困ったように笑う
石森しず
石森しず
石森しず
そう言って頭を下げると
また次の席へ向かっていった
〇〇はただ
その背中をみつめていた
なんで
手が震える
今のは、私じゃない
確かにありがとうって言おうとしたのに
それなのに
口から出たのは茂木〇〇らしいセリフ
まるで
誰かに動かされたみたいに
〇〇
〇〇は握ったプリントを見つめる
避けようとしているのに
どうしても原作通りになる
昼休み
体育館裏の日陰
バレー部の数人が輪になって昼食を広げていた
宮治
宮治がパンをひとくち食べる
宮侑
角名はコンビニのおにぎりを開けながら
小さく息をつく
角名
その時だった
近くを通りすぎる女子生徒たちの話し声が
ふと耳に入る
笑い声と一緒に
その声は少しずつ遠ざかっていく
角名は何も言わず
おにぎりを1口かじった
角名
隣で弁当を食べていた侑が口を開く
宮侑
宮侑
宮治
隣で食べていた治も口を開く
宮治
宮治
治は笑って言った
角名は視線を落としたまま小さく返す
角名
興味があるようにもないようにも聞こえる
昨日、廊下で見かけた黒髪の女子が頭をよぎる
茂木〇〇
同じ学年
話したこともない
ただ1度だけ見かけた
そして今日も名前を聞いた
宮治
宮侑
茂木〇〇は性格が悪い
今のところその認識を疑う理由は
ひとつもなかった
コメント
2件
〇〇ちゃーん、😭 自分は悪役って分かってるけど、 ありがとうって言えないの、 なんかちょっとわかるかも、? 素直になって石森しずちゃんと 仲良くなってる場面見てみたい👀🐶
うわあ…第3話、すごくじわじわ来ました。主人公が「悪役にならない」と決意したのに、口をついて出たのは原作通りの一言。自分の意志とは別に“物語のレール”に乗せられてしまう感覚、めっちゃ怖いし切ないです。それに、角名のクールな視点と、しずの優しさが対照的で、この世界の空気が一層際立ちますね。設定の使い方、すごく巧いです。伏線として「〇〇の過去」がまだ見えないのも気になります。続き、絶対読みたいです!