テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
次の日の放課後
夢と昇降口を出て、並んで歩いていた
鈴木 夢(すずき ゆめ)
風林 燐音(かざばやし りんね)
夢と笑い合うと、心がゆるむ
風林 燐音(かざばやし りんね)
だけどそのゆるみは_次の瞬間にふっと緊張に変わった
校門の近くに町田くんが立っていた
風林 燐音(かざばやし りんね)
その隣には、知らない女の子がいた
長い黒髪をなびかせた、少し大人っぽい雰囲気の子
制服は、私達の学校じゃない
鈴木 夢(すずき ゆめ)
私は何も答えられなかった。足が止まる
風林 燐音(かざばやし りんね)
町田くんにしては珍しく、口元が少しだけゆるんでいる
その子が笑った時、町田くんも笑った
風林 燐音(かざばやし りんね)
あんな柔らかい雰囲気、知らなかった
風林 燐音(かざばやし りんね)
鈴木 夢(すずき ゆめ)
鈴木 夢(すずき ゆめ)
夢が冗談っぽく言ったけど、私は笑えなかった
胸の奥がモヤモヤする
風林 燐音(かざばやし りんね)
その瞬間、町田くんがこっちを見た
風林 燐音(かざばやし りんね)
風林 燐音(かざばやし りんね)
胸の鼓動が早くなる
でもすぐに目を逸らされて、その子との会話に戻った
......それだけのはずなのに
風林 燐音(かざばやし りんね)
自分の声がぎこちなかった
鈴木 夢(すずき ゆめ)
鈴木 夢(すずき ゆめ)
夢のその言葉が、真っ直ぐに刺さった
風林 燐音(かざばやし りんね)
私は小さく唇を噛んで歩き出した
背後では、まだ2人が話していた
朝のホームルーム。先生の声がやけに遠く聞こえる
頭の中は、町田くんの笑顔と、あの女の子の顔でいっぱいだ
風林 燐音(かざばやし りんね)
誰かに見せる顔があって、それは私の知らない顔で
それを「知ってしまった」事が、ザワザワして引っかかってる
昼休み、夢が私の机の上にプリンを置いた
鈴木 夢(すずき ゆめ)
風林 燐音(かざばやし りんね)
風林 燐音(かざばやし りんね)
鈴木 夢(すずき ゆめ)
鈴木 夢(すずき ゆめ)
風林 燐音(かざばやし りんね)
すくって、一口食べた
甘い...けど、胸の奥はまだ苦い
鈴木 夢(すずき ゆめ)
風林 燐音(かざばやし りんね)
鈴木 夢(すずき ゆめ)
私もずっとそれが知りたい
でも、知ったらもっと嫌な気持ちになる気がする
風林 燐音(かざばやし りんね)
風林 燐音(かざばやし りんね)
鈴木 夢(すずき ゆめ)
風林 燐音(かざばやし りんね)
言葉にされた瞬間、自分の気持ちが少しだけ見えた
風林 燐音(かざばやし りんね)
誰にも見せない顔を、自分だけに見せてくれたらいいのに、って
でもそれって......『好き』に近づいてるって事...?
風林 燐音(かざばやし りんね)
鈴木 夢(すずき ゆめ)
風林 燐音(かざばやし りんね)
夢は少しだけ笑った
鈴木 夢(すずき ゆめ)
鈴木 夢(すずき ゆめ)
風林 燐音(かざばやし りんね)
風林 燐音(かざばやし りんね)
私はプリンをもう一口すくった
さっきより、ちょっとだけ甘かった
その日の放課後
昇降口で靴を履いていると、町田くんが数歩前に立っていた
何気なく背中を見つめていたら、町田くんが少しだけ振り返った
風林 燐音(かざばやし りんね)
視線が合う
_でも、今日はすぐに目を逸らさなかった
風林 燐音(かざばやし りんね)
思わず聞いたのに、町田くんは首を横に振った
町田 琉依(まちだ るい)
それだけ言って、町田くんは校門へ歩いて行った
”なんでもない”
その言葉が、逆に興味ありげに聞こえるのは...私の心が揺れているから?
風林 燐音(かざばやし りんね)
私はまだ、町田くんの隣にいたあの子の事を何も知らない
でも、それでも、
知らないままでいたくないって、思い始めてる