赤
はぁはぁッ...///
桃
はぁ……ッ///
あのときのことが頭から離れない。
その日初めてあった人と
キスをした。
しかも性別は男で同性。
今考えると正気じゃなかった。
青
赤くんおはよう!
赤
おはよう!
青
あのさ、言語の宿題のところ分からない所があって……
赤
俺も、数学で分からないとこあったんだ。
青
ここはね……
赤
っ!
赤
青ちゃん。
教室の入口を指さす。
黄
おはようございます。青ちゃん。
青
おはよ、黄くん。
黄
赤も。
黄
おはようございます!
赤
おはよ黄ちゃん。
黄くんと青ちゃんは幼馴染。
小学校からずっと同じ学校だ。
赤
どうしたの?
黄
今日の昼休みなんですけど
黄
赤と相談したいことがあって……
赤
ごめん黄ちゃん。
赤
俺今日から一緒にご飯食べる約束してる人がいて。
黄
え、
青
そうなの?!
黄
そう、ですか……
赤
だから放課後話聞くよ!
黄
うん、ありがとう赤。
青
……。
青
誰だろ……
予鈴がなった。
そういえば黄くんも音楽科だから
黄くんと桃くんは同じクラスだ。
黄
じゃあ予鈴なったしいくよ。
黄
また、放課後ね。
赤
うん。
青
……。
赤
青ちゃん?
青
あ、ううん。
青
なんでもない。
赤
席戻るね。
青
うん。
赤
三階の一番奥の空き教室。
赤
ここかな。
桜が風に吹かれて揺れている。
赤
桃くん。
桃
よっ!赤。
本当に学校に桃くんがいる。
桃
てか、赤いつも一緒に食べるやついたんじゃないか?
赤
言ってきたし大丈夫。
桃
見ろよこれ。
赤
オムライス?
桃
コンビニで買ったんだ。
桃
一口食うか?
赤
食べる。
桃くんがスプーンですくった
オムライスを一口で食べる。
赤
おいしい!
赤
あ、まって
俺は購買で買ったサンドウィッチを
袋から取り出す。
赤
サンドウィッチ嫌いじゃない?
赤
貰ったから一口あげる。
桃
さんきゅ。
桃くんもサンドウィッチを
一口かじる。
桃
美味いな!
桃
俺これから購買で昼飯買おうかな。
赤
そんなに美味しかった?笑
桃
美味いって!
赤
……あのさ
赤
桃くんはあのときなんでしてくれたの?
赤
初対面だったのに
赤
断らなかったのはなんで?
桃
俺も寂しかったから、かな
赤
桃くんも?
桃
あの日あの木の上にいたのは寂しさを紛らわすためだよ。
桃
言っただろ?親帰ってこないって。
桃
俺の父さんは社長やってて母親は一応芸能関係なんだよね。
赤
そうなの?
桃
俺が五歳の頃から親は家に帰る頻度が少なくなった。
赤
そんな小さいときから……
桃
家政婦を雇ってもっと帰ってこなくなっていたけど
桃
誕生日や入学式は来てくれていた。
桃
でも中学に入学してから帰ってこなくなった。
赤
……。
桃
父親は海外。母親は港区に別の家があるらしい。
桃
ほぼ家族全員別居してる状態だな。
桃
毎月多いくらい金は振り込んで来るけど
桃
連絡もこないし。
赤
そうなんだ……
桃
だからあのとき赤が来てくれて助かった。
桃
抱いて欲しいなんて言われてこいつ頭おかしいのか?
桃
なんて思ったけど
桃
それでも内心、俺の寂しさを埋めてくれるだなんて
桃
そんなこと思ってた。
赤
そっか。
桃
お前小さいしかわいいしな。
赤
な?!
赤
小さいは余計だって!!
桃
最初はガチで抱いてやろーって思ってたけど
桃
でも時間が経つにつれて、
桃
こいつも俺と同じなんだって分かったから。
桃
本当は俺もお前も
桃
抱きたいわけでも抱かれたいわけでもなかったんだ。
桃
俺たちは
桃
誰かに思って欲しいんだよ。
赤
桃くん。
桃
なんだy(……
俺は軽く。
触れるだけのキスをした。
ほんの一瞬だった。
また涙が流れていた。
桃
お前……
桃くんは俺に
優しくキスを返した。
頭を撫でながら。
俺たちは
まるで
理解者だと言い合うように
何度も
何度も
熱いキスを交わした。