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運命の日
激しい戦いのあと 夜の空だけが残った
陸は、瓦礫のそばに腰を下ろし 肩で静かに息をする
そこへ、影を踏まないように近づく足音
アメリカ
アメリカだった
陸は顔を上げて かすかに笑う
陸
アメリカは何も言わず 陸の隣に腰を下ろす
しばらく二人とも黙りこむ
やがて陸が静かに口を開く
陸
アメリカ
陸
それを聞き 陸はまた、立ち上がろうとした
アメリカ
アメリカに 止められることに驚きながらも あげようとした腰をそっと下ろす
アメリカはぎゅっと手を握る
アメリカ
陸は少しだけ笑う
陸
陸
アメリカ
陸
陸
アメリカの喉がかすかに鳴る
アメリカ
陸は、空を見上げたまま答える
陸
一秒
二秒
それから静かに陸が言う
陸
アメリカ
陸
陸
陸
アメリカはすぐには答えられなかった
アメリカ
やっと、それだけを絞り出す
陸は満足そうにうなずいた
陸
しばらくして 陸はゆっくりと目を閉じた
その静かな横顔を アメリカはいつまでも見つめていた
アメリカ
返事はない
だがアメリカは その約束を胸の奥に強く刻んだ
あいつが目を閉じてから やけに夜の音が聞こえるようになった
風の音、遠くの足音 崩れた瓦礫のかすかなきしみ
全部が 「あいつがもう、そこにはいない」 ってことを
何度も
何度も
突きつけてくる
アメリカ
軽く吐き捨てるように言っても 胸の奥は少しも軽くならない
畑、俺が見に行ってやるよ
あの時は 勢いで言っただけかもしれない
でも、今はそれが 唯一の"残された約束" となって
やけに重く心に残っている
しばらくして
廃それた村の外れに 小さな畑を見つけた
誰もいない
でも、丁寧に手入れされていた 跡だけは残っている
アメリカ
土を指で掴んでぎゅっと握る
戦いのためじゃなく、 "生きるための手"で触れる土
陸はこんな場所を 夢見ていたんだろうか
アメリカ
誰もいないのに話しかけてしまう
アメリカ
土は何も答えない
ただ、 風が少しだけ優しく吹いた気がした