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紡は、突然壁に耳を当てた。

奥から微かに、 声が聞こえる。

「とりあえず落ち着いてください。」

「嫌だぁ!寝たくない……寝たく、ない!」

御巫 紡

(さっき聞こえたのは
これか……)

御巫 紡

(微かに風を感じる気がする。)

紡が壁の窪みに手を入れると、 扉のような四角形が開いた。

御巫 紡

開いた……。

御巫 紡

開きました!

加藤 誠吾

……!

御巫 紡

……先に、行きますね。

紡が静かに奥の部屋へ 1人で行くと、

誠吾はその場に座り込んだ。

彩人は冷静にその場に起き上がる。

見慣れすぎたせいか、またこの悪夢かと 呆れているようにも見える。

三鼓 彩人

……どちら様?

突然目があったせいか、 瑠亜は驚きながら綾人の方を向いた。

西瀬 瑠亜

西瀬 瑠亜です……えと、
貴方は?

三鼓 彩人

……三鼓 彩人、
自由に呼んで。

西瀬 瑠亜

彩人さん、ここがどこか……。

三鼓 彩人

分かったら
脱出できるんだけどね。
でも、横で物音がしたって事は、
何かしら空間があるはず。

淡々とした説明に、 瑠亜は納得していた。

彩人は瑠亜をその場に残して立ち上がると、 辺りを見回して音の元を確認し始めた。

右側から微かに話し声がする気がするが、 扉の形が一切無い。

静かに壁を調べる彩人を見て、 瑠亜は自分も何かを手伝おうとするが、

西瀬 瑠亜

あ……彩人さん……。

三鼓 彩人

彩人はその姿を見て驚いただろう。

西瀬 瑠亜

あ、足が……

彼女の足に、触手のようなものが 巻きついている。

それは夢の中で見たような、 ぬちゃりとした自我のある物体だった。

三鼓 彩人

あ……あ……。

不安、恐怖……ともに好奇心。

“作品になるんじゃ無いか”

瑠亜の心の底から湧き出る恐怖とは 裏腹に、彩人は興奮していた。

西瀬 瑠亜

た……助けっ……。

紡が隣の部屋に入ると、 突然足が止まった。

御巫 紡

……何ですか、この状況。

倒れ込んだ男性が一人と、 それを座って眺めながら突っついている 男性が一人

紡からすれば、どんな状況かなんて 判断できそうに無いだろう。

突然の人に驚いた晴人は、 少し考えている様子だ。

磊落 晴人

あー、この人、
起きたら騒ぎ立て
始めちゃったんで、

磊落 晴人

気絶させました。

御巫 紡

良くそんなことを堂々と言えますね……。
尊敬します。

磊落 晴人

そらどーも。

御巫 紡

褒めて無いです。

御巫 紡

騒ぎ立てていたということは、
寝たく無いと言っていたのは
この人ですね?

磊落 晴人

そうです。
夢を見ないようには
したと思うので、
起きる頃には落ち着くかと。

御巫 紡

そうですか、
ありがとうございます。

御巫 紡

この人は私が起きるまで
様子を見ておきます。

御巫 紡

貴方は、隣の部屋にいる男性と話をして来てくれませんか?

紡がそう言うと、 晴人は首を傾げた。

磊落 晴人

貴方が話さないんですか?

御巫 紡

……女性が、苦手なようです。

御巫 紡

私が近寄ると怯えていたので、先にこちらにきました。

御巫 紡

お願いできますか?

磊落 晴人

分かりましたよ。

磊落 晴人

じゃあこの狂った人、
貴方に任せますね。

御巫 紡

ええ、狂った人間の世話は
何よりも得意です。

紡の訳の分からない発言に、 晴人は鼻で笑った。

磊落 晴人

可笑しい奴しか居ねえのか。

赤いワイングラスが優しく揺れ動く。

   

頑張ってるみたいだね、あの人たち。

   

紡さんは冷静に考えて行動できる人だから、瑠亜さんと結託すれば大きな戦力となる。

   

んま、まずは瑠亜さんがそこを抜け出せるかどうか、そこが問題だけどね。

  

……そうだね。

   

どうしたの?
楽しくない?

  

いいや。
なんでもないよ。

   

……そっか、楽しくなくなったら言ってね。

   

君のためにやってるんだから。

突然やってきた晴人に 誠吾はビクッと怯えた。

磊落 晴人

……そんなところで
何してるんですか。

加藤 誠吾

だ、男性……?
さっきの方は?

さっきの女性とは違う人が 入ってきたおかげか 誠吾は落ち着いた。

磊落 晴人

狂った奴の世話してもらってます。
どうにもできなかったんで。

加藤 誠吾

な、成程……。

磊落 晴人

俺、晴人って言います。

磊落 晴人

晴れるって言う字にヒト。

加藤 誠吾

誠吾です……。

磊落 晴人

で、なんでそんな隅っこに?

加藤 誠吾

じょ、女性が、苦手で……。

磊落 晴人

ふーん。

素っ気ない晴人の反応に 誠吾は驚いた。

加藤 誠吾

興味ありそうな反応では
ないですね……。

磊落 晴人

んま、自分がよけりゃ
なんでもいいんで。

磊落 晴人

人間そんなもんでしょうけど笑

加藤 誠吾

そう、ですか……。

少し距離を取って座る晴人に、 誠吾はそのまま俯いた。

琉真は落ち着いて目を覚ますと、 横に座っている女性に驚いて後ずさった

御巫 紡

おや、落ち着いたようですね。
良かったです。

弓芽 琉真

だ、誰⁉︎

御巫 紡

ご挨拶が遅れました。

御巫 紡

私、夢成神社の
神主、御巫 紡です。

弓芽 琉真

紡さん……琉真です。

御巫 紡

琉真さんですね。
よろしくお願いします。

弓芽 琉真

あの、さっき一緒にいた
男性は……

御巫 紡

私のいた部屋に行ってもらいました。

御巫 紡

どうやら同室の方、
女性が苦手そうだったので。

弓芽 琉真

そうですか……。

「はいはーい皆様 お耳をお貸しくださーい。」

突然全ての部屋に響き渡る アナウンスに、全員が驚いた。

その声が夢で聞いた者の声だとも、 全員瞬時に理解できてしまった。

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