TellerNovel

テラーノベル

アプリでサクサク楽しめる

テラーノベル(Teller Novel)

タイトル、作家名、タグで検索

ストーリーを書く

雨雪を翔ける二つの剣は。

一覧ページ

「雨雪を翔ける二つの剣は。」のメインビジュアル

雨雪を翔ける二つの剣は。

9 - 第七話 単独任務

♥

100

2023年10月04日

シェアするシェアする
報告する

"俺はここを出ていきます"

彼方さんの口から出た言葉は、信じ難いものだった

真冬

(出ていく…って、この組織を…?)

   

な、何を言い出す!彼方…

そこからの会話は、声が小さくてよく聞こえなかった

ただ一つ分かったのは、この話を聞いて統率者の方が物凄く焦っていたこと

そして、彼方さんは組織を抜けてもいいと言えるほどの用事があったこと

その用事が何なのかは、分からなかった

しばらくして、彼方さんが部屋から出てきた

彼方

っ……

珍しく、かなり怒っているようだった

真冬

…か、彼方さ……

彼方

っ!真冬……

真冬

あ、あの……

彼方

もう立ってて平気なの?

真冬

はい、もうあまり痛くないので…

彼方

そっか、よかった…

そういった彼方さんは、怒った様子はなく、いつもの優しい彼方さんだった

彼方

……さっきの会話、聞いてた?

真冬

えっ?

真冬

えぇと、少しだけ……

真冬

…でも、怒鳴り声しか聞こえてません

彼方

…分かった、ごめん遅くなって

真冬

大丈夫です…

そう言葉を交わして、二人で部屋に戻る

真冬

(嘘を、ついてしまった…)

真冬

(本当はちゃんと聞こえてた、彼方さんがここを出ていくほどの事情があることも、全部……)

彼方

…真冬、休んでいいって

真冬

…?

彼方

今少し話してきて、真冬がもう仕事に戻れるって思うまで休ませてくれるって

真冬

あ…ありがとうございます

真冬

(彼方さん、僕のお休みをとるためにそこまで…)

真冬

(……"僕が戻れる時まで"、か…)

彼方視点

真冬があの任務から帰ってきて、三日経った

真冬は寝る時、いつもあの時の夢を見てしまうようで、凄く落ち込んでいる様子だ

真冬

…………

今だって真冬は、光の灯っていない虚な目で外を眺めている

あんなに大切にしていた赤色の柄の刀も、部屋の隅に置かれたままずっと放置している

彼方

真冬

真冬

……あ、はい

真冬

どうしました?

彼方

…いや、何でもない

話しかけても薄い反応しかせず、最近はまともにご飯を食べていない

一応今は仕事を休んでいるとはいえ、こんな生活をしばらく続けるようであれば俺も休んで付いててあげたいとも思う

でも、そこまで許してくれるかは分からないから、こうして仕事がない時くらいはせめて一緒にいようと思っている

彼方

(時間が解決、ってわけにもいかないよな……)

彼方

(じゃあどうしたら…?)

   

おーい一ノ瀬、新しい任務だぞ

彼方

あ、はい

真冬

……?

俺のところに何か任務が来た時は、興味があるのか静かに近寄ってくる

こんな時でも仕事に興味が向くなんて、俺も見習いたいところだ

任務内容

我らの組織に所属していた人物が反逆を起こした。直ちにその人物を捕らえて、屋敷まで連れてくる事。

尚、生死は問わない物とする

彼方

『反逆者』か……

真冬

…この人、僕知らない人

そう言って真冬が指をさしたのは、その追われている人物の名前

彼方

俺は、名前だけどこかで見た気がする…

真冬

知り合いとかですかね?

彼方

さぁ…会ってみないとわからない

そう会話を交わしながら、俺は外に出る準備をしていた

真冬

……彼方さん

彼方

何?

真冬

…その人、生死は問わないって書いてありますけど……

真冬

彼方さんには、殺さないで連れてきてほしいです

彼方

…!

俺に自分と同じ思いをさせないと思ってのことなのだろう

真冬は小さくつぶやいた

彼方

…分かった

少し安心させようと、真冬の頭に手を置いた

真冬

っ…!

真冬

…いってらっしゃい、彼方さん

彼方

うん、行ってくる
loading

この作品はいかがでしたか?

100

loading
チャット小説はテラーノベルアプリをインストール
テラーノベルのスクリーンショット
テラーノベル

電車の中でも寝る前のベッドの中でもサクサク快適に。
もっと読みたい!がどんどんみつかる。
「読んで」「書いて」毎日が楽しくなる小説アプリをダウンロードしよう。

Apple StoreGoogle Play Store
本棚

ホーム

本棚

検索

ストーリーを書く
本棚

通知

本棚

本棚