男の娘な君

ポンッ！（肩）

まだあまり彼のことは 知らないけれど

｢ほんと！？*.+ﾟ｣ と、パッと顔を輝かせたり

「そっか…」と シュンとなったり

コロコロ変わる表情が 可愛い人だなと思った

午前最後の授業が終わり、 教室が騒がしくなり始めた頃

約束通り、りうらが 教室にやってきた

…ぎゅっ（手）

屋上に行くと決まった途端 ないくんが りうらの手を握って 走り出す

細いけど筋張った手に 自分の右手が包み込まれる

好きな人にいきなり そんなことをされたため 顔も手も一気に熱くなる

1年前のあの日から 変わらないかっこいい顔

優しい声、 薄く筋肉のついた体

もう全部が大好きで こんな、ないくんは 何とも思ってないだろう行動だけで 想いが溢れ出そうだった

ガチャッ…ぱたん

照れて へら、と笑うないくん

嬉しいとか可愛いとか 嘘みたいとか 色んな感情がごちゃ混ぜになって リアクションがとれなかった

その間にないくんが動き出したため 慌ててついて行った

そう言いないくんが 何かを渡してきた

りうらの手にのる 上品なデザインの 可愛いパールピン

スッ

りうらが俺のネクタイに 持っていたヘアピンをさす

にこっ

…びっくりしていた

こんなに優しい人が 身近にいるんだと知って

何故か、すごく、すごく この人のことを もっと知りたいと この人と もっと仲良くなりたいと 思った

ぼとっ！！

りうらの箸から きれいな色の玉子焼きが落ちる

そう答える彼は どこかぼーっとしているように見えた

‐赤side‐

え？

なんて？

ないくんなんて言った？

てぃっしゅ……？

そう言って、 差し出されたティッシュを すぐに受け取る

ぱあっ！✨

…全然目が合わない

ないくんが視線をどんどん 下げていっているせいで

そんなに怖いのだろうか 女装の話題を人とすることが

人にどう思われるか考えると 怖いのだろうか

確かにそうだ りうらは何も強制していない

俺が的を射た発言に焦って ついカッとなってしまっただけで

ぎゅっ

そうだこの人は

はじめから俺の趣味を 理解してくれた人 否定しないでいてくれた人

信頼していいんだ

堂々と好きなものの話を していいんだ

…嬉しい、なぁ…

ぎゅ、と抱きしめた体は 意外と小さかった

集中して感じようとしないと 分からないぐらい 微かに震えるないくん

さっきの発言を 反省しなければいけないのに

伏せられた長い睫毛 揺れる瞳も

とてもとても 可愛いと思ってしまった

バッ！！！（離れる）

ダッッッ！！

かぁあ〜…//////

さっきりうらに 抱きしめられた時

ただのハグなのに 自分でもびっくりするぐらい 緊張してしまって

なんでか少しだけ 嬉しくなってしまって

動けなかった

先程密着した時 鼻をくぐったいい匂いが 頭から離れない

ぶわああっ/////

たったったったっ

今日一日で ないくんに関することが 起こりすぎてて 未だに情報が整理しきれていない

朝会えた お昼一緒に食べれることになった 手を繋いだ 「遊びに行こ」って 向こうから誘ってくれた

嬉しそうな顔が めちゃくちゃ可愛いことを知った 抱きしめてしまった

かああああああっ///

…もっともっと大好きになった