天音
天音
天音
玄関
バタン
場地と別れて家に入った紡。家の中では煮物の匂いが漂っていた。今日の晩御飯だろう。紡の腹が空腹を訴えた。
だが先にやるべき事がある為、靴を脱ぎ洗面所へ向かった。
リビング
洗面所で手を洗いうがいをした後、紡は晩御飯を準備している母さんが居るリビングに入った。
リビングにはオープンキッチンで調理している母さん。ソファに座り携帯を弄っている兄、薫の姿があった。
紡
母さん
薫
紡
母さん
紡
紡はカウンターのとこに置いてあるフキンでテーブルを拭き、薫は米を盛り始めた。
いつも通りの光景。 いつも通りの食卓を作っていく。
お風呂
夜ご飯を済ませた後、紡は風呂に入った。
シャワーで全身にお湯を浴びせる。
ふと、排水口に目がいった。流れるお湯、1日の汚れ、あと、は⸺
紡
キュッ
シャワーを止め頭から洗い始めた。
いつも通りの風呂。 いつも通りヨゴレを落としていく。
紡の部屋
風呂に入り、髪を乾かし、歯を磨き、家族に「おやすみ」を告げる。
これで、今日も終わる。
1日が終わる。
また、朝が来る。
いつも通りの1日が終わる。 その終わりの為に電気を消した。
パチッ
紡の部屋
…終わった、はずだった。
ベッドに横たわらせていた身体を起き上がらせた。
だが、終われない。
紡
わからない。
紡
そう、「今日は」もう、終わりだ。
紡
「今日の」夜だ。 「明日の」朝が来る。
紡
いつも通り告げればいいだけだ。
紡
紡
紡
紡
紡
紡
寝る事だろう?
紡
明日を迎える為だ。
紡
生きているのだから当たり前だろう?
紡
紡
紡
紡
紡
紡
そう、簡単な事だろう?
「生きろ」
紡
何かが切れた。 ヘアゴムが切れるように突然、何かが切れた。
紡は、ベッドから立ち上がり自分の机に1歩、1歩足を進めた。
暗闇に目はとっくに慣れていた。
机の左引き出しを開ける。少し、奥の方に入っていたカッターを取り出した。
普段使う事が滅多に無いカッター。暗闇のハズなのに歯が光って見えるのはきっと、「いつも通り」の紡じゃ無いからだろう。
カチカチ
歯を3分の1程出す。
いつも通りの
持ち手を強く、握り締める。
朝が来る事なんて
握り締めている手と逆の手を自分の前に出す。
もう、いらない
カッターを大きく振り上げる。
「今日」の俺は
カッターを振り下ろした。
○色に呑まれた。
To be continue ♡90
コメント
3件
投稿がだいぶ遅くなってしまってすみません🙇こんなに遅くなってしまいましたが、今回の作品も見て頂けたら幸いです!