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アイリス

ここがサンゴ礁の入り江……

キャトラ

綺麗なところだけど、
モンスターも多いわね

イリーナ

タビィ、グズグズしないで!
置いてくわよ!

キャトラ

対決なんだから、
置いてってもいいのにね……

カナタ

まあ、それがあの2人の
いいところなんじゃないか

タビィ

足手まといになんか……

タビィ

イリーナ、危ない!!

イリーナ

え?

虚空から突如として、 巨大な岩が飛来してきた

キャトラ

……げほ、げほ、
何が起きたの……?

タビィ

イリーナ!

イリーナ

くっ……!

イリーナの羽が、 岩の下敷きになっている

アイリス

だ、大丈夫ですか!?

イリーナ

……体はね。
でも、これじゃあ身動きが取れないわ

イリーナ

仕方ないわね。
タビィ、私を置いて
先にお行きなさいな

イリーナ

……タビィ?

タビィ

うんしょ、うんしょ……!

タビィは岩を必死にどかそうとしている

イリーナ

……無駄なことはおやめなさい。
あなたの力で
どうにかなるものではないわ

タビィ

やってみなきゃ分かんないよ!

イリーナ

やってみた姿を見て言ってるの。
対決なのだから、情けは無用よ

タビィ

大丈夫、なんとかするから
待っててって

イリーナ

聞き分けのない子ねっ!

アイリス

みんな!周りを!

カナタ

なっ、嘘だろ……!?

いつの間にか魔獣達に 取り囲まれてしまっている

イリーナ

ほら、ご覧なさい、
素直に言うことを聞かないから

イリーナ

私は一人でなんとか致しますから、
とっととお逃げなさい

キャトラ

そんな状態で何言ってるのよ!

イリーナ

私を守ろうとして、
全員やられるよりはマシでしょ!
さあ、タビィ!お行き!

タビィ

……大丈夫だよ

タビィ

大丈夫なんだ!

タビィ

あたしが倒す!岩も壊す!
みんなで行くんだー!

イリーナ

……タビィ……!

タビィ

……大丈夫だったでしょ?

イリーナ

……ええ、
……大丈夫だったわ……

アイリス

でも、羽が……

イリーナ

歩けばいいだけですわ。
羽が鳥人族の全てではなくってよ

アイリス

……ふふふ

イリーナ

さあ、参りましょう!
タビィ、遅れるんじゃないわよ!

タビィ

うん!遅れない!

キャトラ

ここが入り江の一番奥かな?

タビィ

ごーる!

カナタ

………ッ!

カナタ

誰だ!?

ヴァルアス

…………

ヴァルアス

カナタ……

アイリス

ど、どうして名前を……?

ヴァルアス

お前の力を見定めさせてもらう

カナタ

急に現れて、何を……!

アイリス

あなたは……?
いったい何が目的なんですか……?

ヴァルアス

……私はヴァルアス。
私には、闇への忠誠がある。
……それだけだ

ヴァルアス

この先に敵を用意した。
勝てねばそれまでだ

ヴァルアス

カナタ……!
お前の本当の力を見せてみろ

キャトラ

何勝手なこと言って!
さっき岩を飛ばしたのが、
その敵だってんでしょ!?

キャトラ

そのせいでイリーナだって
怪我したんだからね!

ヴァルアス

……怪我?そうか。すまなかったな

イリーナ

え?

ヴァルアスが手をかざすと、 イリーナの羽の傷がみるみる癒えていく

イリーナ

あ……!

ヴァルアス

…………

キャトラ

……消えた……
……何なのかしら……?

イリーナ

……なんて男らしいお方……

キャトラ

こらこら。そもそもあいつのせいで
怪我したんだからね

アイリス

何か、知ってたみたいだったけど……

タビィ

知り合いー?

カナタ

さあ…俺は初めて会ったけど……

アイリス

…………

キャトラ

……今ここで考えてても
何も分からないわね。
とにかく先に進みましょ

タビィ

おー!敵がいるってんなら、
やったったんぞー!

タビィ

カニだー!

イリーナ

皆さん、油断なさらないで!

タビィ

おー!やったったんぞー!

地響きを立てて、巨大ガニが沈む

イリーナ

やったわ!

タビィ

やったった!

二人が固い握手を交わす

サマーソウル

マーベェラァァス!

キャトラ

出たわね

サマーソウル

お互いを助け合いながら、
よくぞ強敵を打ち倒した!

サマーソウル

バカヤロウ!こんな勝負に、
優劣なんかつけられるかよ!

サマーソウル

お前らみんな、大好きだー!!

キャトラ

暑苦しいなあ……
つまりどゆこと?

サマーソウル

優勝だ……!全員優勝だー!

エーギル

これで50戦50引き分けか

キャトラ

来ると思ってたよ、ぞくちょーズ。
って、全部引き分け?

ガザ

やるのうエーギル、
鳥人族の若いモンも
見事に育っておるわい

エーギル

それはこちらのセリフだ。
獣人族もまだまだ安泰というわけだな

両族長が、がっしりと握手を交わす

キャトラ

やっぱり、獣人と鳥人は
厚い友情で結ばれてるのね

イリーナ

ええ。ですが、
何かあれば張り合ってしまうのも
事実なのですわ

タビィ

だから、毎年本気でぶつかって、
試練を通じてお互いを信じ合うんだよ

タビィ

これからもよろしくね、イリーナ!

イリーナ

こちらこそ、タビィ!

ガザ

では、村に戻るかいのう

キャトラ

やっと全部終わった〜

サマーソウル

まだ夏は終わらないぞ!
試練の後夜祭が待っている!

サマーソウル

さあ、全員村まで、腹筋だー!

キャトラ

腹筋じゃ進まないでしょ!

──そして、一週間後……

キャトラ

……はあ、終わった……!

アイリス

……宴は楽しいけど、
三日三晩からの三日三晩は
流石にキツかったわね……

カナタ

サマーソウルって凄いな……
ずっと暑苦しかったぞ

キャトラ

もう当分夏はいいわ〜……

サマーソウル

元より夏は儚いもの!
一年後までお別れだ!

キャトラ

アンタ元気ねぇ……

サマーソウル

湿っぽい別れはやめておこう

キャトラ

だいじょぶなんないから

サマーソウル

さらばだ!若人達よ!

そう言い残し、 サマーソウルは海へ走ると、 パドリングで消えていった

キャトラ

泳いで行くの……

イリーナ

ああ見えてサマーソウル様は
多忙ですのよ。世界中のお祭りで
大人気なのですから

アイリス

あ、イリーナさん。それにタビィも。
私達、そろそろ行こうと思うの

カナタ

ピレント島での冒険は楽しかったよ

タビィ

そうだと思って来たんだよ!
あたしも行くー!

ガザ

すまんのう、タビィは誰に似たのか、
言い出したら聞かなくてのう

キャトラ

あなたに似たんじゃない?

ガザ

断ってくれてもいいんじゃが、
そしたら、変な空気になると
思うんじゃ……

アイリス

断らないですよ。大歓迎!
ね?カナタ!

カナタ

ああ、もちろんだ!

タビィ

やったー!

イリーナ

行ってらっしゃいタビィ。
島には私がおりますから、
何の心配もありませんわ

キャトラ

あんまりツンケンしちゃ駄目よ

ガザ

大丈夫じゃ、イリーナちゃんは
いい子じゃからのう

エーギル

ガザ、貴様!老いぼれのくせに
私の娘を狙っているのか!

ガザ

なんでそうなるんじゃい!
親友の義娘じゃ、
我が子も当然じゃろがい!

エーギル

……しん、ゆう……?

ガザ

あ……!

キャトラ

はーい!いい歳して
変な空気にしなーい!
モジモジしなーい!

ガザ

すまんすまん。
これを渡そうと思って来たんじゃ

一抱え程の筒のようなものを手渡された

アイリス

これが島に伝わる秘宝……?

キャトラ

もらっちゃっていいの?

ガザ

大丈夫じゃ、作り方も伝わっとるから

キャトラ

ありがたみないわねえ……

アイリス

これはなんの道具なんですか?

エーギル

筒の上部を開け、
果実などを中に入れる。
そしてここを握ると……!

筒の先についた小さな口から、 果汁が適り落ちる

ガザ

なんと!フレッシュな果汁を
絞り出すことができるんじゃ!

キャトラ

……ふ〜ん?

エーギル

これぞ、獣人と鳥人の
エネルギーの源!

カナタ

わー、はは、凄い……

器に受けた果汁を、アイリスが ゴクゴクと飲み干した

アイリス

……美味しい!凄い!夢みたい!
ありがとうございます!

キャトラ

……そんなに喜ぶ程の物かな〜?

カナタ

まあでも、これで
美味しいジュースが作れるよ

ガザ

タビィ、みんなと
仲良くやるんじゃぞー!

タビィ

うん!得意得意ー!
よぉーっし、外の世界でも、
やったったんぞー!

白猫プロジェクト メインストーリー 【大いなるルーン編】

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