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菜月
空が泣いてる
卓郎
泣いてる？
菜月
雨
菜月
降ってるでしょ？
卓郎
そういうことか
菜月
こうやって、物事を人の行動に当てはめるのが好きなの
卓郎
「太陽が微笑んでる」とか？
菜月
そんな感じ
菜月
卓郎もセンスあるじゃん。無さそうなのに
卓郎
最後の一言が余計
菜月
あはははっ
菜月
卓郎といると楽しいな
菜月
楽に喋れるから
卓郎
...あ
卓郎
危ねえ!!!!
卓郎
っ...
卓郎
夢かよ
あいつが死んでから1年が経つ
夢に出てくるのは日常茶飯事だ
卓郎
...おはよ
母
ご飯作らなきゃ...
卓郎
まだ作ってなかったのかよ
母
最近だるくて動きたくない...
母
更年期もあるかもしれないけど
母
あんなことがあったから
卓郎
母さん...
卓郎
散歩すっかな
死んだ人に会うことができるなら
俺は絶対的にあいつと会う
...あいつが俺に会いたいのかは知らないが
卓郎
寒くなってきたなあ...
冬は嫌いだ
あいつが死んだ季節だから...さ
冷たい風が吹き付ける
...寒い
卓郎
上着着てこればよかった...
卓郎
うー、寒い
ふわっとしたものが俺を包んだ
ふわり
卓郎
...ん？
寒そうですね
卓郎
誰
酷いなあ
覚えてないの？
私だよ
菜月
菜月
卓郎
あ？
卓郎
何成りすましてんのか知らんが
卓郎
あいつは死んだ
菜月
今、あんたが包まれてるものは何？
卓郎
え？
卓郎
...なっ
卓郎
羽!?
菜月
寒そうだったんで
菜月
包んであげましたっ！
菜月
どう？私の登場の仕方
菜月
感動の再会って感じでしょ？
卓郎
感動？
卓郎
どこがだよ
菜月
へ？
卓郎
いつか会えるって思ってたよ
卓郎
だから感動はしてない
菜月
照れ隠しが下手なのは変わってないね
菜月
耳まで真っ赤！
卓郎
あ？
菜月
なんもない
菜月
元気にしてんの？
卓郎
まあまあだよ
菜月
私がいなくなってから暇でしょ？
卓郎
まあな
卓郎
家の中でゲームばっかしてる感じ
菜月
だらしない生活してんね
卓郎
うっせえ
菜月
早く成仏しなよ
菜月
こっちも楽しいよ？
卓郎
んまあそうだけど
卓郎
なんか...離れたくないんだ
卓郎
この世から
菜月
この世から離れるのが
菜月
死んだ人へ与えられた、この世への感謝なのかもしれないね
卓郎
この世への感謝...か
卓郎
この世に感謝できるなら
卓郎
俺も行こうかな、お前の所に
菜月
そうしなよ
菜月
私は迎えに来たようなもんだから
菜月
私たち、一緒に死んじゃったんだし
菜月
一緒に行こうよ、私のとこに
卓郎
...おう
卓郎
菜月が言うなら
卓郎
そうするよ
やっと決心がついた
俺、成仏するよ
ふう...
さよなら、世界
電車の中でも寝る前のベッドの中でもサクサク快適に。
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