りん
(私は、昔からピアノを習っていて)
りん
(ピアノを弾くのが大好き!)
りん
(今もずっと、弾き続けているんだ!)
りん
(高校1年生になったけど、音楽室に行ってピアノを弾くんだ!)
りん
(今、向かってるところなの!)
りん
っ!?
りん
(すごい…。もう誰かが、ピアノを弾いてる…。)
りん
(先客がいるんだ…。)
りん
(今までそんなことなかったから、ちょっとビックリかも…。)
りん
(嘘!?男の子がピアノ弾いてる!)
りん
(しかも、すごく上手!)
りん
(私の倍くらいに上手いんだけど!)
よく見ると、顔も整っていて真面目そうだとりんは思った。
りん
あの…。すごく上手だね!
りんがそう言うと、男の子はピアノを弾く手を止めた。
こうた
別に…。
こうた
昔から無理やりやらされてて…
こうた
そんで、癖になっちゃっただけだから
こうた
だから、別に好きとかじゃねーし
りん
いや、でもさ!
りん
こうやって今、自分の意思で弾いてるんだから
りん
好きになったってことじゃん!
こうた
フッ…
りん
(え!?私、なんかおかしいこと言ったかなぁ?)
りん
(急に噴き出すし、ビックリした…。)
こうた
そんなこと言われたの初めてかも…。
こうた
ありがとな
こうた
大事なことに気づかせてくれて
りん
そんな…!
りん
お礼を言われるほどのこと
りん
してないんで!
こうた
あのさ!
こうた
名前!
りん
…?
こうた
名前、なんて言うの!?
りん
私!?
こうた
君しかいないだろ
りん
(そう言って、彼はまた笑った)
りん
(私もつられて笑ってしまった)
りん
私の名前は、りん!
こうた
りん、か…。
こうた
俺の名前はこうた。
こうた
よろしくな
りん
うん!
りん
こちらこそよろしくね!
りん
(それから私達はお互いのことについて)
りん
(話し合った)
こうた
へぇ…
こうた
りんもピアノ弾けるんだ!
りん
失礼な!
りん
私も小さい頃から習ってたし
りん
弾けるよ!
こうた
じゃあ、俺と一緒ってことだな!
りん
うん…。
りん
まあ、そうなるかな…?
こうた
俺さ、男でピアノ弾くのとか気持ち悪いって言われて
こうた
女子からも男子からも
こうた
嫌われてたんだ…
りん
そんな…
こうた
だから、中学とかたまに行かなかったんだ
こうた
ちょっと、それがストレスになっちゃって…。
りん
最低…
こうた
え?
りん
そいつら最低じゃない!?
りん
人の好きなものを馬鹿にして
りん
踏みにじって…
りん
馬鹿みたい…
りん
こうたは、本当にすごいのに…!
りん
っ!?
こうた
ありがとう…。そう言ってくれて。
りん
(私今、こうたに抱きしめられてる!?)
こうた
あ!
こうた
ごめん!
こうた
急でビックリしたよね…。
こうた
思わず抱きしめたくなった…。
りん
何それ…。
りん
いいよ…。別に
りん
私は、嫌とかじゃないから…。
こうた
!?
こうた
それって…。
りん
もう!今のなし!
こうた
フフフッッッッ
こうた
なかったことにしてあげる(ニヤリ)
りん
何ニヤニヤしてんの!?
りん
ばかぁ!
こうた
ハハハハッッッッ
それから、こうたとりんは仲良くしていき昼放課に音楽室に行って
喋るのが日課になっていた。
りん
こうた!!
りん
大丈夫なの!?
りん
無事なの!?
りん
(私は、こうたが事故に遭ったと聞き、急いで病院に駆けつけた)
りん
(意識はあるみたいだけど…。)
こうた
誰?
こうた
ごめん、覚えてないんだけど
こうた
名前言ってくんないかな?
りん
え…?
こうたは事故に遭った時に、頭を強く打ったらしく
記憶喪失になってしまったらしい。
りん
そんな…。
こうた
ごめん、でも思い出せないんだ…。
りん
っっ!
りん
こうたぁぁぁ!!