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それから7年後

あたしは殺し屋になっていた。

最初は嫌だった。

傷口から流れる赤黒い液体、死体の腐敗臭、血の生臭い匂い

全てが嫌だった。

いつからだろうか

ある時から急に、それが楽しくなった。

殺しで人を支配するような妙な支配欲が満たされて快感が得られる

オリビアからは「もう自立して一人で生活できる」と言われていた。

言われなくても、あともう少しで自分は自立する、オリビアの元から離れる予定だった。

だが、ある日

オリビア

ねえ、キャロル。

キャロル

何?

オリビア

ワタシ、7年ぐらい前に、ワタシの昔話をしたじゃない?

キャロル

うん。

オリビア

ワタシ、逃げたって言ってたけど、実は今も逃げ続けてるの。

キャロル

えっ…そうなの?

オリビア

うん。

オリビア

キャロルには心配させたくなかったからずっと黙ってたの。

オリビア

…ごめんなさいね。

キャロル

オリビア

実は今日、アナタが死体を埋めに行った時、ポストに逮捕状が入ってたの。

キャロル

えっ…

オリビア

勿論、ワタシの逮捕状よ。

オリビア

明日の朝7時ぐらいに来るんだって。

キャロル

…!

キャロル

オリビア!逃げようよ…!

キャロル

オリビアは正しい事をしたのに何で逮捕されなきゃならないんだ…!

オリビア

…ワタシは逮捕されない。

オリビア

でも、逃げるわけでもない。

オリビア

いい?キャロル。アナタは明日の朝7時前にここを出なさい!

キャロル

な、何で…!?

オリビア

どうせワタシは死刑よ。だけど、ワタシはプライドが高いから、他の人に殺されるくらいなら、自分で自分を殺したいの。

オリビア

…こんなこと、キャロルの前で言いたくなかったわ。

オリビア

ワタシはキャロルに自分の死ぬ時を見て欲しくない。

オリビア

だから、明日、ここを出て。

キャロル

…そんな…!

キャロル

オリビア…!

オリビア

大丈夫よ。自殺したって、ワタシはもう何回も死んでるようなものだから、本当に死んだって平気なの。

オリビア

じゃあ…おやすみ。

そう言い、オリビアは部屋を出た。

キャロル

オリビア…何で…

あたしは泣いていた。

泣き疲れていつの間にか眠りに落ちていった。

キャロル

じゃあ、もう行くね。

オリビア

待って。

そろそろ出かけるという時、オリビアは止めた。

キャロル

どうしたの?

オリビア

渡しておきたい物があったの。

ちょっと待っててと言い、オリビアは家の中に入った。

数分して、オリビアはひとつの刀を持ってきた。

刀はきちんと手入れがされ、鍔の部分には黒いリボンが結ばれていた。

オリビア

はい。

キャロル

これ、オリビアが使ってた刀じゃない…

オリビア

あげるわ。

キャロル

えっ?

キャロル

いいの?

オリビア

ええ。

キャロル

ありがとう。

キャロル

もう行くね。

オリビア

…ええ。

キャロル

じゃあね。

そういうあたしの目には涙が溜まっていた。

オリビア

新しい土地でも、しっかりやりなさい。

オリビア

さようなら。

そう言って、オリビアはドアを閉めた。

あたしはいつの間にか泣いていた。

涙を右手で拭き、あたしはその場所を去った。

その後、新しい土地、スラム街で殺し屋をしながらあたしはそこに住み始めた。

風の噂で「オリビア・ロージーは、脳を銃で撃ち、自殺していた」と聞いた。

分かってはいたが、改めてその噂を耳にすると涙が零れた。

けれど、形見の刀があったから、あたしはあの後を追わずに済んだ。

キャロル

キャロル

あたしはあれを止めるべきだったのか否か…

キャロル

未だによくわかんないや。

カイラクサツジン

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