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お疲れ様、最終話まで一気読みしちゃったよ……! 「FINAL」ってタイトルに相応しい、重くて美しいラストだった。菜々美が38人の声を胸に抱えながら歩き続けるシーン、どの色の通路にもそれぞれの記憶が詰まってて涙出たわ。ベルフェゴルの正体と“リリス”という真名――まさかここにきて全てのピースが繋がるとは思わなかった。 菜々美が「みんなは道具じゃない」って叫ぶところ、本当に震えた。あの台詞に、今までの全エピソードが凝縮されてた気がする。心揺さぶられたよ…!🔥
虹色の通路を、菜々美は1人で歩いていた。
赤。
橙。
黄。
緑。
青。
藍。
紫。
進むたび、床を流れる色が変わる。
その光に、通過してきた部屋が浮かんでは消えた。
白い冠。
灰色の床。
黒い壁。
青い夢。
赤い投票画面。
黄色い風船。
緑の蔓。
橙色の優勝カップ。
紫色の影。
胸の奥では、38人分の声が脈打っている。
死にたくない。
助けて。
どうして私なの。
忘れないで。
怒り。
恐怖。
嫉妬。
後悔。
誰かを犠牲にしても生きたいという願い――
そう願った自分への嫌悪――
すべてが菜々美の内側にある。
だが、混ざり合ってはいない。
異なる少女の声として残っていた。
新倉穂乃花
生島菜々美
声が虹色の通路へ反響した。
本当に穂乃花の声なのか――
自分の記憶が再生しただけなのか――
もう、わからない。
それでも菜々美は、歩き続けた。
通路の終点には、銀色の扉が立っていた。
刻まれた文字。
“MALKUTH”。
その下に――
“王国”。
【SYSTEM】
【SYSTEM】
【SYSTEM】
【SYSTEM】
生島菜々美
【SYSTEM】
【SYSTEM】
銀色の扉が、ゆっくり開いた。
扉の向こうには、虹があった。
円形の広い部屋。
天井から降る七色の光。
壁を走る無数の光の帯が、赤から紫へ絶えず色を変えている。
鏡のように磨かれた床に、菜々美の姿と虹色の光が映っていた。
これまでの部屋とは違う。
死を予感させる装置も、試練のための台座もない。
中央には白い椅子が1脚。
椅子というより、玉座だった。
その傍らに、1人の男が立っている。
長い黒髪。
目元を隠す濃いサングラス。
黒いシャツに、同色の細身のコート。
菜々美は足を止めた。
男は口元に微笑を浮かべ、ゆっくりと拍手を始めた。
乾いた音が、“虹の間”へ響いた。
男
生島菜々美
男
生島菜々美
そう言いながら、男から目を離せなかった。
長い髪。
サングラスの奥の視線。
丁寧すぎる話し方。
初対面のはずなのに――
胸の奥の何かが、この男を知っている。
生島菜々美
その瞬間、38人分の声が一斉にざわめいた。
菜々美は胸元を押さえる。
生島菜々美
男
生島菜々美
生島菜々美
生島菜々美
男は拍手をやめた。
男
男
生島菜々美
男
“紫の間”で一瞬だけ現れた文字が、菜々美の脳裏に甦る。
“魂魄復元”を開始――
すぐに訂正され、消された言葉。
生島菜々美
男
生島菜々美
男
男
男
男
生島菜々美
男
生島菜々美
声が“虹の間”へ響き渡る。
生島菜々美
生島菜々美
男
男
男
男
生島菜々美
男
男
生島菜々美
男
男
男
男は菜々美を見つめた。
男
生島菜々美
男
男
男
床に映る姿が揺らいだ。
制服姿の輪郭へ、別の影が重なる。
長い髪。
細い腕。
人間とは思えない白い肌。
影の背後で、大きな翼のようなものが広がった。
生島菜々美
男
男
虹色の光が激しく明滅した。
38人分の記憶が、菜々美の中で開いていく。
その奥に、菜々美自身が経験した覚えのない光景が混ざり始めた。
青い光に満ちた場所――
激しい痛み。
身体ではなく、魂を引き裂かれる感覚。
目の前に立つ、1人の男。
“慈悲”を意味する名を持ちながら、冷徹に自分を排除した“セフィラ”――“ケセド”。
その名が浮かんだ途端、頭に鋭い痛みが走った。
生島菜々美
膝から力が抜け、床へ手をつく。
鏡面の顔が、菜々美ではなくなっていく。
自分は――かつて、別の名で呼ばれていた。
人の心へ入り――
欲望を刺激し――
負の感情を糧とした存在。
ケセドに現世から排除され、魂を砕かれた。
暗闇へ沈む意識の中で、誰かの声を聞いた。
必ず、お戻しします――
何年かかろうとも――
必要な器と、必要な魂を用意して――
声の主が、目の前の男と重なる。
生島菜々美
男の微笑が、わずかに深くなった。
記憶が戻る。
セフィラの裏側に存在する“殻”――
“クリファ”。
その1人――
“ベルフェゴル”。
この男は、ケセドに排除された魂を探し出した。
生島菜々美という少女へ、その欠片を埋めた。
欠けた魂を補うため、世斐羅女子学院と9つの試練を用意した。
38人から負の感情を集めるために。
生島菜々美
ベルフェゴル
生島菜々美
ベルフェゴル
生島菜々美
胸の奥で、38人分の声が叫ぶ。
忘れないで。
生きて。
戻ってきて。
死にたくない。
38人の声が重なった。
だが、混ざり合わなかった。
声は38本の黒い糸となり、菜々美の魂の奥にある空白へ、1本ずつ流れ込んでいく。
1本ごとに違う名前がある。
違う恐怖がある。
それぞれに、生きたかった理由がある。
それらが別々の輪郭を保ったまま、欠けていた魂の形を満たしていった。
菜々美は思い出した。
自分が誰だったのか。
何を求め――
何を奪い――
何に滅ぼされたのか。
生島菜々美
その名を認識した瞬間――
“虹の間”から、すべての色が消えた。
赤も。
橙も。
黄も。
緑も。
青も。
藍も。
紫も。
壁は灰色へ変わり、床も玉座も制服も、白と黒の濃淡だけになる。
38人分の声が止んだ。
静寂。
菜々美は、ゆっくりと立ち上がり、目の前の玉座へと進んだ。
もう胸を押さえる必要はない。
38人の記憶も感情も、菜々美の内側に定着していた。
混ざり合わず、別々の輪郭を保ったまま――
そして、そのさらに深い場所で、別の何かが目を覚ましていた。
菜々美の瞳には、人間とは異なる暗い光が宿っていた。
ベルフェゴルは白い玉座の前で片膝をつき、恭しく頭を下げる。
ベルフェゴル
ベルフェゴル
その名に呼応し、少女の暗い瞳がゆっくりと開いた。
新倉穂乃花
心の最も深い場所で、少女の意識がわずかに震えた。
生島菜々美
けれど、ベルフェゴルを見下ろす唇に浮かんだ笑みは、生島菜々美のものではなかった。
#デスゲーム
こはく
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