ライオ
お前まさか、セレナ・ヴェルメスか⁉︎
セレナ
お久しぶりですわね。ライオ様
レイン
ライオさん、知っているんですか?
ライオ
ああ、あいつは裏社会で有名な売人だ。あらゆる魔法薬や魔法道具を作っては売り捌いている。その殆どが違法のものだ。一年程前、俺は奴を見つけて追跡したんだが、あと少しのところで逃げられてしまってな。まさかこんなところに根城を造っていたとはな
セレナ
立入禁止区域のここならバレないと思ったのですが、やはりうまくはいかないものですね
オーター
貴方が私とレインの弟を攫ったんですか?
セレナ
あら、オーター様とレイン様もいるのね。ええ、その通りよ。あの二人はいい材料になると思ったからね。ちなみに、イーストン魔法学校で爆発を起こしたのも私よ。生徒達の混乱に生じて二人を攫ったの。そのせいで、二人がいなくなったことに気づいたのはかなり時間が経ってからでしょう?
ライオ
そういうことだったのか・・・
レイン
答えろ!何故弟を攫った⁉︎材料とは何のことだ⁉︎
セレナ
まぁ落ち着きなさい。ちゃんと一から説明してあげるわ。
セレナ
先日、魔力濃縮液の注文が入ってね、それもとびっきり強力なものを作ってくれって言われたの。でも強いものが作れるのは稀でね、そう簡単には作れないのよ。そもそも、魔力濃縮液の作るときはまず、人間を一人か二人攫って魔力吸引具で拘束。そこから吸い取った魔力で作るのよ。だからは私は過去に強い液を作れた人間の記録を徹底的に調べたの。そして遂に分かったのよ。どんな人間からなら強い液が作れるのかってね
オーター
その人間とは一体誰なんだ?
セレナ
それはね、たくさんの負の感情を持つ人間よ!
レイン
負の感情・・・?
セレナ
ええそうよ。悲しみ、孤独、苦しみなんかのことをいうわね。その負の感情をお前達の弟はたくさん持っていたのよ
マッシュ
え・・・?そうなんですか?
セレナ
そうよ、アドラのローブを着ているお前達はフィン君のお友達かしら?
ドット
ああそうだ!フィンは俺達の大事なダチだ!
セレナ
・・・・・その様子だと、嘘をついている訳ではなさそうね。だから私、気になって調べたのよ。どうしてフィン君はたくさんの負の感情を持っているのかってね。お前達四人は編入生でしょう?でも、フィン君は内部進学者。中等部の時、どういう生活を送っていたのか知ってるかしら?
マッシュ
・・・・・聞いたことない
ランス
確かに、そんな話はしたことないな
レモン
知りませんね・・・
ドット
フィンはどういう生活を送ってたんだ?
セレナ
あら、なにも知らないのね。じゃあ教えてあげるわ。フィン君はね、かなり酷い虐めを受けていたそうなのよ
マッシュ
え・・・?虐められてたの?
セレナ
兄であるレイン様はとても優秀だからね、フィン君は劣等生だとか出来損ないとか言われていたのよ。当時のルームメイトとも仲が悪かったそうだからね。その上、レイン様もフィン君に冷たく当たっていたから相当辛かったと思うわよ
ドット
嘘だろ、そんなことがあったのかよ・・・
レモン
そんな・・・
ランス
・・・・・・・・
セレナ
あと、ついでにワース君のことも調べたわ。
オーター
!
セレナ
お父様はかなり厳しい人なのね。ワース君はとても努力したのに認めてくださらなかった。その上勘当されることになるなんてね。
オーター
!
オーター
(先程言っていたことは、本当だったのか・・・)
セレナ
お前達は本当に情けないわね。友達が、弟が、こんなにも辛い思いをしていたのにも関わらず、何も知らなかったなんてね。もういっそのこと、ここで死なせてやったほうがいいのではなくて?誰かの役に立って死ねるんだもの。フィン君もワース君も本望でしょう?
死ぬ、その言葉を聞いて、レインの中の何かが切れた。
レイン
黙れ!それだけは絶対に違う!
レイン
パルチザン!
一本の剣がセレナを目掛けて飛んでいく。しかし、セレナは軽々と剣を避けた。
セレナ
おっと、危ない危ない
レイン
俺は絶対にフィンを助け出す!今までフィンに辛い思いをさせてしまったのが罪で、これが罰だというのなら、俺は生涯かけていくらでも償う!
セレナ
カッコいいことを言うわね。でもそれなら早く見つけないと大変よ。あと少しで全ての魔力を吸い取り終わるからね。そうした、フィン君とワース君はすぐに死んでしまうわよ。そうなるように魔法をかけたからね。
レイン
何だと!
ランス
ということは、外にあった大量の人骨は・・・
セレナ
そうよ、過去に魔力濃縮液を作るために攫った人間達よ。魔力を全て吸い取られたら魔法不全になるから、証拠隠滅のためにね
オーター
それなら、すぐにでもお前を倒すまでだ
セレナ
やれるものならやってみなさい!
オーター
サンズコンプレション!
オーターはすぐさま、大量の砂を生み出し、セレナに向けて放った。
セレナ
ローズネット
しかし、突如現れたバラの蔓によって完全に防がれた。
オーター
なっ!
セレナ
これが私の固有魔法、植物を操るのよ。攻撃も防御も可能。お前達に私が倒せるかしら?
オーター
くっ!
ライオ
それなら、この人類最高傑作の俺様が相手をしてやろう。一度逃げられてしまったからな。確実にここで始末してやろう
ドット
よぉし!やってやりましょう!
ライオ
オーター、ここは俺達に任せて、弟を探してこい!レインもだ!時間がないぞ、急げ!
マッシュ
フィン君と先輩を死なせたら絶対許しませんよ
レイン
言われなくても分かってる
オーター
それではここは任せます。レイン、行きましょう
レイン
はい!
セレナ
待ちなさい!
ライオ
ライツ!
オーターとレインを追おうとしたセレナだが、ライオ達によって完全に道を塞がれてしまった。
セレナ
くそっ!
ライオ
ここから先は絶対通さん!