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第6話 〚予知が告げる最悪の放課後〛
最近、
恒一はマスクを 外すことが増えた。
休み時間。
廊下。
225
放課後の昇降口。
女子クラスメイト
女子クラスメイト
女子たちの声が、 ひそひそと広がる。
女子クラスメイト
女子クラスメイト
その輪の中に、
りあの姿もあった。
姫野 りあ
姫野 りあ
恒一は、気づいていた。
自分が注目されていることも、
評価されていることも。
西園寺 恒一
鏡を見なくても分かる。
昔から、そういう視線を 向けられてきた。
でも――
胸は、まったく動かない。
西園寺 恒一
恒一の興味は、
最初から一人だけだった。
白雪澪。
女子たちの笑顔も、
甘い声も、
全部、背景に過ぎない。
西園寺 恒一
その一方で、 誰も思わなかった。
――この優等生が、
――このイケメンが、
――誰かを追い続けているなんて。
教師も、生徒も、
その可能性を 最初から外していた。
それが、
恒一の“最大の盾”だった。
一方。
海翔は、 静かに状況を見ていた。
澪の隣。
下校時。
放送委員の活動中。
常に、澪の位置を把握する。
橘 海翔
白雪 澪
橘 海翔
澪は、少し驚いてから頷いた。
白雪 澪
海翔の表情は、
もう、迷っていなかった。
人気者でいること。
波風を立てないこと。
――それらは、もうどうでもいい。
橘 海翔
澪が気づかないように、
一歩前に立つ。
もし、誰かが越えてくるなら――
今度は、黙っていない。
その頃、
恒一は廊下の端で、 二人を見ていた。
マスクは、していない。
西園寺 恒一
でも、笑みは浮かべなかった。
まだ、
“その時”じゃないから。
校舎の空気は、
静かに、
確実に張り詰めていく。
仮面が外れ始め、
覚悟が固まり、
――衝突は、避けられなく なっていた。
その日の放課後。
澪は、放送委員の仕事を終えて
一人で廊下を歩いていた。
白雪 澪
そう思った瞬間――
頭が、強く締め付けられた。
白雪 澪
視界が歪む。
足が止まる。
――予知。
夕暮れの校舎。
人気のない階段下。
伸びる影。
恒一の目。
いつもより近い距離。
逃げ道を塞ぐような立ち位置。
「澪」
名前を呼ばれる声。
澪の喉が、ひくりと鳴る。
白雪 澪
さらに映像は続く。
駆け寄ってくる足音。
海翔の声。
ぶつかる感情。
そして――
誰かが倒れる未来。
白雪 澪
澪は、はっと我に返った。
廊下には、
誰もいない。
けれど、心臓が激しく 脈を打っている。
白雪 澪
白雪 澪
澪は、スマホを握りしめ、
急いでメッセージを送った。
――海翔へ。
澪
数秒後。
海翔
海翔
その短い返信に、
胸が少しだけ落ち着く。
だが――
予知は、まだ終わっていなかった。
最後に映ったのは、
恒一の、静かな笑顔。
白雪 澪
白雪 澪
澪は、初めて思った。
――予知を、変えたい。
当たる未来じゃなく、
選ぶ未来にしたい。
その頃、
屋上で。
恒一は、空を見上げていた。
西園寺 恒一
全てが、
計画通りに 進んでいると思っていた。
まだ、
誰も気づいていない。
そして、
放課後のチャイムが鳴る。
運命の時間が、 静かに、動き出した。
放課後の校舎は、静かすぎた。
夕方の光が、長い影を床に落とす。
澪は、胸の奥の嫌な予感を 抱えたまま、
足を進めていた。
白雪 澪
予知で見た場所。
予知で見た時間。
階段下に差しかかった、
そのとき。
橘 海翔
背後から、声。
振り向いた瞬間、
視界の端で――
倒れている人影が見えた。
白雪 澪
海翔が、床に倒れていた。
動かない。
白雪 澪
駆け寄ろうとした、その腕を――
強く掴まれる。
西園寺 恒一
恒一だった。
近すぎる距離。
逃げ道を塞ぐ位置。
予知と、同じ。
白雪 澪
澪の声が震える。
西園寺 恒一
西園寺 恒一
橘 海翔
低く、鋭い声。
恒一の動きが止まる。
橘 海翔
倒れていたはずの海翔が、
立ち上がっていた。
ふらつきながらも、 澪の前に立つ。
西園寺 恒一
恒一の声に、苛立ちが混じる。
村上 えま
村上 えま
えまとしおりとみさとが、 全力で駆け寄ってくる。
さらに――
別方向から、足音が重なる。
海翔の親友
海翔の友達
海翔の親友と、友達。
そして――
校長先生と担任が、そこにいた。
恒一の顔から、血の気が引く。
西園寺 恒一
校長が、静かに、
しかしはっきりと言った。
校長
校長
校長
海翔は、昨日、
自分の親友と友達に、
澪のこと、怪我のこと、
全てを話していた。
橘 海翔
橘 海翔
その言葉に、
澪の目から、涙が溢れた。
担任
担任が、一歩前に出る。
担任
恒一は、逃げなかった。
逃げられなかった。
周囲の視線。
状況。
全てが、揃ってしまったから。
西園寺 恒一
そう言いかけて、
言葉は続かなかった。
澪は、震える足で、 えまたちの方へ下がる。
みさとが、 そっと澪の肩を抱いた。
河野 みさと
河野 みさと
海翔は、澪を見て、
小さく笑った。
橘 海翔
橘 海翔
予知は、確かに現実になった。
――でも。
最後の結末だけは、
違っていた。
澪は、初めて理解した。
未来は、当たるものじゃない。
変えられるものなんだ。