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- 続き -
紅茶の香りは 、もう消えていた
代わりに部屋の中には 、夜の温度と 、ふたり分の体温がこもってる
ぺいんとは 、俺の腕の中
ジャージは脱ぎ捨てられ 、メイド服も半分ほど乱れて
今はただ 、安心しきった顔で俺の胸に額を預けている
声を掛けても返事はない
でも 、呼吸がほんの少し乱れてるあたり 、多分寝たふりだな
ずるいよなぁ 、ああいうとこ
強がって 、からかわれるのは嫌がるくせに
こっちがちょっと本気になると 、何も言えなくなる
だから 、つい試したくなるんだよな
何処までなら許されるか
何処までしたら 、ちゃんと俺だけを見てくれるのか
そっと髪を撫でると 、指先が少しだけ汗ばんだ前髪に触れる
勿論 、全部はしてない
けど 、あとほんの少し踏み込んでたら
多分 、もう引き返せないところまでいってた
あの時のぺいんとは 、確かに俺のことだけを見てた
恥ずかしがって 、目を逸らして 、でも逃げなくて
あの柔らかい声で 「 ご主人様 …… 」 なんて 、 震えた声で言うから
堪らなくなって 、唇に触れて
その先は 、もう思い出すだけで顔が熱くなる
誰に見せるでもないのに
肌を這う俺の手を 、ぺいんとはちゃんと受け入れてくれた
無言の 〝 いいよ 〟 って 、あんなに響くんだな …
ぽそっと呟いたら 、ぺいんとの肩がぴくっと動いた
布団に顔を押し付けて誤魔化す姿が 、可愛くてたまらない
こんなぺいんとを 、他の誰にも見せたくない
照れて背中を向けたその隙に 、そっと後ろから抱きしめる
腕の中の体温が 、昨夜よりも近くて 、柔らかくて 、安心する
そう言いつつも 、ぺいんとの声がちょっとだけ笑ってたのを
俺はちゃんと聞き逃さなかった