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「  な  ぁ   兄   ち  ゃ  ん   。  」

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「 な ぁ 兄 ち ゃ ん 。 」

2 - 溢 れ る 涙 。

♥

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2022年07月27日

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それから俺は毎日兄ちゃんの病室へ足を運んだ。

竜胆

…兄ちゃん、

……

竜胆

今日はな、いつもの先生と車椅子で一緒に散歩してきたんだ。

竜胆

俺1週間も眠ったままだったらしくてさ、w

竜胆

久しぶりに外に出たからすげぇ新鮮…つうか、

竜胆

前より景色が綺麗に見えたんだ、w

竜胆

何か俺らしくねぇけど…w

……

竜胆

…兄ちゃんも、目が覚めたら一緒に散歩しような。

……

その後も色々今日の出来事を静かに眠る兄ちゃんに語りかけた。

…まぁ、それでも返事が帰ってくることは無かったけど、

……相変わらず綺麗な顔で眠る兄ちゃん。

呼吸器や点滴を付けているし、顔に包帯も巻かれているから そんなに顔は見えないけど… それでも、産まれた時からずっと見てきた兄ちゃんの顔だから 想像することは簡単だった。

医者

竜胆さん、診察の時間になりそうなのでその辺で…

竜胆

はい。分かりました。

車椅子が移動する音が静かな廊下に響く。

医者

……竜胆さん、

竜胆

…?はい、

医者

体、大丈夫ですか、?

竜胆

あぁ…全然大丈夫です。

竜胆

ほら、この通り。

そ言って俺は手を握ったり開いたりして何とか元気な様子を見せようとした。

医者

そうですか…それなら良いんですけど、

医者

目が覚めたとは言え、貴方も重症なんですから無理はしてはいけませんよ、?

竜胆

はい…

その通りだ。 兄貴ほどでは無いけど、包帯を巻いていて、点滴を付けている。 他にも色々と手当が施されていて… とても軽傷とは言えない見た目だ。

医者

では診察が終わったら___

竜胆

…分かりました。

正直、病院生活はほんとに辛い。 でも兄貴や、先生が居るからやっていけてる。 でもここで弱音を吐いていたら兄貴が意識を取り戻した時に 笑って「おはよう」が言えねぇ気がするから。 今は我慢だ。

竜胆

(今まで兄ちゃんに守られて生きてきた分、1人で頑張んねぇと…)

医者

……竜胆さん?どうされました?

竜胆

え?あ、いや、なんでもないです。

そう言って笑って見せる。

医者

…いざとなれば私が居ますからね。遠慮なく頼ってくださっていいんですよ?

竜胆

……ありがとうございます、

色々終わり__

医者

お疲れ様です。

竜胆

はい、

医者

今日は特にやる事が多かったので大変でしたよね、…あ、そうだ、

そう言って先生はポケットの中からあるものを取り出した。

竜胆

……これ、

医者

飴です。今日は竜胆さん頑張りましたから。

そう言って先生は微笑んだ。

竜胆

でも糖分はあまり摂取しちゃだめって言ってませんでしたっけ、?

医者

あぁ、それについては最近は糖分を控えてばっかりの食事でしたので、少しは摂取しても大丈夫です。

医者

ぶどう味なんですけど大丈夫ですか?

竜胆

…大丈夫です、…ありがとうございます、

飴を受け取るとなぜだか視界がぼやけてきて、

医者

り、竜胆さん?

竜胆

ぅ…ッぐすッ…うぅ…

先生の前だし、あまり涙は零したくなかったけど 止めようとしても止まらなくて 1人で頑張らねぇとって思ってたから優しくされると涙が溢れてきてしまった。

医者

辛いですよね。大丈夫ですよ。

竜胆

う"ッ…ふ…ッ…

医者

お兄さんもそのうちきっと目を覚ましますから。

竜胆

は…"い、…

先生は俺が泣き止むまでそばにいてくれた。

俺が兄貴の病室に通って 1ヶ月が経とうとしていた頃。

今日もまた兄貴の病室で、今日あった出来事を語りかけていた。

竜胆

兄ちゃん、今日はな?

竜胆

先生と、俺が小さい頃に遊んでた公園を見に行ったんだ。

竜胆

勿論遊んだりはできなかったけど…

竜胆

なんか懐かしかったわ、w

竜胆

兄ちゃんも早く目覚まして遊び行こうぜ?

竜胆

あと俺服欲しいな…兄ちゃんとお揃いの服、

竜胆

2人でそれ着て、遊園地とか行こうぜ?

竜胆

ジェットコースターとかよ。

竜胆

お化け屋敷は俺苦手だから嫌だけど…

そうやって語りかけていると、

……

兄ちゃんの指が少し動いた事に俺は気が付いた。

竜胆

兄ちゃん?!

竜胆

起きたの?!兄ちゃん!!

…ぁ……、

その時、兄ちゃんの瞼がそっと開いて、俺を見た。

涙が止まらなかった。 嬉しかった。 久しぶりに見た兄ちゃんの優しい目。 微かだけど聞こえた兄ちゃんの暖かい声。 いつも守ってくれた兄ちゃんの手。 何もかもが久しぶりで。 全てが愛おしくて。

竜胆

兄ち"ゃ"ん…ッッ

医者

蘭さん!!大丈夫ですか?!

医者

嘘みたいだ…意識を取り戻すなんて…可能性は五分五分だったのに…すごい、

竜胆

良"か"った…ほんとに…

医者

今すぐ蘭さん担当の先生呼んできますね、!

そう言って先生は行ってしまった。

竜胆

兄ちゃん…

俺の涙が、頬を伝って兄ちゃんの手へと落ちる。 呼吸器を付けているため喋りにくいのか無言だけど、兄ちゃんはこちらをそっと少し開いた目で見ていた。 確かに目を覚ました。 そう考えるだけでさらに涙が溢れ出てきて 嬉しくて、嬉しくて、

でも、兄ちゃんがそんな俺に言った言葉で、溢れ出していた涙が止まることになるなんて 思わなかった。

……誰、お前…?

竜胆

え、?

ゆず

お久しぶりですねこの連載…

ゆず

次回もお楽しみに…

ゆず

ばいちゃ((

「 な ぁ 兄 ち ゃ ん 。 」

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