顔を洗っていた要に 相手チームのひとりが近づいた
その次、槍のような言葉が続く
相手チームの人
彼はひとつ間を置き応える
要(兄)
相手チームの人
兄貴のくせに…
相手チームの人
それに対し、彼は淡く笑った
なんだそんなことか
要(兄)
ねっすもん
当然のことのように言いのけた彼は それが彼の弟が言えなかった言葉だと
知っているのだろうか
要(兄)
バッテリーだからって
要(兄)
同等の扱いを受けるんすか?
それは誰に向けた言葉なのか
自分のことを言っているようには見えない
逆に彼が驚いている
そんなこともわからないのかと 失望さえしているように見える
否、これは怒りなのか
要(兄)
煽るようなことするんすか?
相手チームの人
要(兄)
要(兄)
自分の置かれた状況を 理解していない―わからない
だからこそ、強くいられるというのか
要(兄)
要(兄)
最近聞いたくらいですもん
このままじゃ、まずい
相手チームの人
やめたって聞いたときは
全員安心しただろうな
要(兄)
要(兄)
要(兄)
誇らしさもありますよね
要(兄)
すごかったわけでしょ?
相手チームの人
平然と、しすぎている
野球のことがわからなくても 今起きてるこの状況が
一体どんなものかくらい わかるだろ…
相手チームの人
相手チームの人
嘲笑うように言ったそれを 彼は逆に嘲笑う
要(兄)
相手チームの人
相手チームの人
要(兄)
要(兄)
俺にできるわけないんだから
要(兄)
俺にされないわけが
…ないんだから
相手チームの人
要(兄)
要(兄)
顔色ひとつ変えない
怒りも出さない
不満の表情もない
そこにあるのはただ一つ
誰かを、憐れむような、なにか
相手チームの人
相手チームの人
かわいそうだよ
やれやれとばかりに首を降る彼
まだ、そんな余裕が
要(兄)
相手チームの人
相手チームの人
辞めたのが原因だよな
要(兄)
相手チームの人
野球に出会わなければ…!
要(兄)
背筋が凍るとは、このことだ
要(兄)
野球仲間なんすよね
要(兄)
分かち合える戦友…でしょ?
相手チームの人
要(兄)
要(兄)
相手チームの人
要(兄)
要(兄)
図星?いや、違う
俺は、あんなんじゃない
落ちこぼれた…光を失ったような
星屑なんかじゃ
だって今も、野球をやってる
要(兄)
要(兄)
自分で光を拒んで
やめたんですから
要(兄)
まだマシだって
要(兄)
仕方ないんですもんね?
それで
要(兄)
踏み台にして、見下ろして
要(兄)
それで
それは
だから
でも
相手チームの人
要(兄)
相手チームの人
相手チームの人
要(兄)
力、だけが
それ、だけ―?
相手チームの人
言ってんじゃねぇよ!!
相手チームの人
相手チームの人
口出しすんじゃねぇ!
要(兄)
こんな惨め、許せない
相手チームの人
要(兄)
要(兄)
相手チームの人
なんなんだよ、お前っ!
要(兄)
要(兄)
才能をもらった…それだけ
要(兄)
天才だと思います
要(兄)
それから バカな彼からは想像できないような顔で
要(兄)
安心させる天才ですね
要(兄)
ものみたいだけど
その顔が、苛立たしくて
悔しくて
怖くて
相手チームの人
それで
相手チームの人
要(兄)
忘れっぽいんですよね
要(兄)
要(兄)
ありがとうございました
相手チームの人
彼の後ろ姿を見やり、思う
たくましい背中だな、と
頼れる背中だな、と
俺とは、大違いだ…
こんな惨めな姿しかできない 自分自身が許せなくて
見てくださった方、ありがとうございます
どうも、セカイです
なんか短い気がするんですが…
さて、今回はほぼ 相手チームの人が主体
最後まで可哀想な人でしたけど
そこから這い上がるか ただ落ちるだけか…
どうなんでしょうね
そして何より、今読んでいる 小説の口調になってしまった
違和感とか大丈夫ですかね?
今回も見てくださり ありがとうございます
今後とも頑張ります
リクエストも募集中
どうぞよろしくお願いします
セカイ