それは遥か彼方の事であった。
雲の上でも、宇宙でも、銀河ですら無い。
それらより、更に。
ずっと更に遥か遠くにある、
異次元的空間。
そこで二つの光が生まれた。
黒と白の光が。
銀河を一閃し、
宇宙を駆け、
天を破り、
空を割いた。
そしてーー
佐藤サナ
不知火レモン
二人の少女へと
宿った。
気付けば空洞は埋まっていた。
血を多く失ったはずだが、
むしろ全身からは力が溢れていた。
既に沈んだ太陽が、
静かに二人の背中を照らす。
佐藤サナ
佐藤サナ
不知火レモン
不知火レモン
悪魔の覇気が空気を揺らした。
棘の刺さるように肌が痛む。
静寂すらも狂気と思えた。
そよめく風が葉を運ぶ。
池に飛び込む蛙と、
羽ばたく烏。
学校の鐘の音。
佐藤サナ
二人の肉体は一瞬にして、
悪魔の懐まで潜り込んだ。
佐藤サナの拳には、黒。
不知火レモンには、白が宿っていた。
不知火レモン
同時に撃した二つの拳が、
光の渦を成して突き刺さる。
衝撃が辺りの地を抉り、
爆音が轟く。
佐藤サナ
不知火レモン
視界が回る。
腹、肩、頬、脚。
身体の至る所で激痛が鳴く。
悪魔の身体の中を何かが動き、
突き破って外へ出るように
肩が隆起してゆく。
止まること無く、
伸びてゆくそれは、
腕の形を成した。
六本腕の獣。
それがこの悪魔の本性であった。
刹那。
私は空を舞った。
地面なんてものはどこにもない。
代わりにあるのは雲のみ。
腹に喰らった一撃が、
その中身を押し上げてしまったようだ。
嗚咽が食道を昇り、
口いっぱいに広がっている。
佐藤サナ
佐藤サナ
背中に強力な一撃が入り、
次は逆に、
刹那にして
地に叩きつけられた。
意識は残っているし、
痛みもさほど酷くはない。
だが、身体は動かない。
骨が幾つか、
いや、幾つも折れてしまった。
不知火レモン
不知火レモン
佐藤サナ
佐藤サナ
佐藤サナ
絶望とは何かを
教えられているようだった。
生を諦めた状態で訪れる死ではない。
闘志が残った、
そんな状態で残酷にも
その事実が未来を確定させてしまっている。
無力と孤独のみが支配する時間。
これこそが、絶望であると。
まるで、
そう。
悪魔が死を囁いているようだった。
佐藤サナ
佐藤サナ
佐藤サナ
佐藤サナ
佐藤サナ
佐藤サナ
コメント
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こんなにボコボコにされとったんやな。 やっぱ背景のおかげでわかりやすいわ。