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咲
というのも、なぜか昔から「男運」ってやつが 変に強い。 何か特別なことをしてるわけじゃないのに、 気がつけば男の子たちに話しかけられ、 勝手に誤解されたり、嫉妬されたり―― 正直、かなり面倒な人生を歩んできた。
だから私はもう、「恋愛とか興味ないし」って、自分の中で線を引いていた。
そんなある日。 教室がざわざわと騒がしくなった。
担任
という言葉とともに入ってきたのは――
哲汰
すらっとした高身長、涼しげな目元に、 どこかあどけなさの残る笑顔。 教室中の女子が一斉に息をのんだ。 中には小さく悲鳴をあげている子もいる。
咲
咲はため息をひとつ、心の中でついた
彼の名前にどこか聞き覚えがあると思ったら、 あとで友達が教えてくれた。
咲の友達
咲
それでも咲の気持ちは変わらない。 有名人だろうが何だろうが、 結局近づいてくる人は「咲」にじゃなくて 「何か特別なものを期待してる」だけ。 そんな人に振り回されるのは、 もうまっぴらごめんだった。
だから哲汰のことも、特に気にしない。 目が合ってもすぐにそらすし、話しかけられても無難に対応するだけ。
――けれど、なぜか哲汰はそんな咲に、 少しずつ興味を持ちはじめる。
それが、平凡を望む咲の日常を、 少しずつ変えていくなんて――
そのときの私は、まだ何も知らなかった。