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これ野いちごで書籍化されてますよね?主様のものですか?
ロマンチックですね💖続き早く読みたいです!
わっ、いい話✨ 拓斗の理由めっちゃ気になる...!!
覚えていますか?
初めて知った恋の色
教えてくれたのは
キミでした.
◇
" プロローグ "
◇
深い深いキスをした.
それまでの距離と時間を
埋めるかのように
互いの体を求め合った.
どうして………。
わたし達はいつの間に
体で愛を確認することが
当たり前になって
しまったんだろう.
「なんで泣くの……?」
彼の動きが止まった.
今度はさっきとは違う
優しいキス. 頬に、そして
涙を拭うために目尻に.
あの頃……
些細なことにドキドキして
毎日がキラキラと輝く
宝石みたいだった.
あの小さな恋をわたしは
今も大事に抱えている.
◇
" color1 桜色 "
◇
憧れは……
少女漫画のような恋.
『いつかこんな風に恋をしたいな』
心の奥でひそかに夢見る一方で
『私なんかには、無理だよ』
って、思ってた.
いつまでたっても
自信が持てない.
そんな自分を冷静に見ていて
最初から予防線張って
諦めるのがクセになってた.
真宮 桜音
そこは北校舎と南校舎を
繋ぐ渡り廊下.
開けっ放しの窓から見える
大きな桜の木に目を奪われて
思わず足を止めた.
手を伸ばすと、はらはらと
風に舞うハート型をした
花びらが一枚……
手のひらに着地した.
真宮 桜音(マミヤ オト).
先週、この学校に
入学したばかりの高校一年生.
わたし達の高校は、町の
北東に広がる小高い山の
中腹にある.
この辺りのサクラは随分
のんじりしているらしい.
市街地より遅れて
咲き出した花は、今日ようやく
満開をむかえた.
キョロキョロと視線を動かす.
放課後の廊下には生徒の姿は
見当たらなかった.
わたし以外誰もいないことに
ホッとして、鞄の中から
いつものモノを取り出す.
それは小さなB5サイズの
スケッチブック.
子供の頃から絵を描くのが
好きでいつの間にか
持ち歩くようになっていた.
いつもの要領でペン1本を
使ってさらさらと
目の前のサクラの木を描く.
スケッチをする時は
鉛筆ではなく、ペンで描くのが
わたしのスタイル.
対象物をジッと見つめる.
目で見たものを頭の中で
もう一度イメージ.
そして、それを一気に
手とペンに伝えて
描きあげていく.
修正できないというこの
緊張感がたまらなく好きだった.
白い紙とピンクの桜に
意識を集中させていると
突然ポンッと肩を叩かれた.
真宮 桜音
飛び上がりそうなほど
驚いて振り返ると、雅ちゃんが
ニコニコ笑って立っていた.
大原 雅
雅ちゃんは同じ中学出身者であり
わたしの親友.
この高校には同じ中学の子は
ほとんどいない.
だから入学式の日に雅ちゃんと
同じクラスだと知った時には
本当にホッとした.
高校に入学する春休み
うちの家族は住み慣れた
マンションから一戸建ての
家に引っ越した.
引っ越すことは1年前から
決まっていたので、私は
家から一番近いという理由だけで
この高校を選んだ.
知り合いがほとんど
いないとこへ行くのは
正直不安だった.
だけどなんとなく新しい環境で
今までの自分を
リセットしたかったんだ.
真宮 桜音
真宮 桜音
真宮 桜音
そう言いながら
スケッチブックを見せると
雅ちゃんは納得したように
ニッコリ微笑んで
大原 雅
と言って背を向けて
去って行った.
もう一度視線を
桜の木に戻した.
この渡り廊下から見える中庭の
景色は、入学して以来
私のお気に入りになっていた.
手入れの行き届いた花壇には
鮮やかな色をした
春の花々が咲いている.
その間を通るレンガの小道と
庭の中央に置かれた
アンティーク風のベンチ.
英国調っていうのかな.
かなり乙女チックな趣味だ…。
でも、こういうのわりと
好きなんだ.
いつか雅ちゃん誘ってここで
お弁当食べたいなぁ.
そんなことを考えながら
ペンを走らせていると、ふいに
風が吹いて髪を揺らした.
アゴ下で揃えられた
ショートボブはわたしの
定番のスタイル.
これはこれで気に入っているけど
せっかく高校生に
なったことだし、ちょっと
伸ばしてみようかなぁ……
なんて考えたりもしてるんだ.
この時はまだ
気付きもしなかったんだ.
これから起こる
出会いのことを.
『人生はすべて
偶然じゃなくて必然』
誰かがそんなことを言っていた.
そうなることは最初から
全て決まっているのだと.
だとしたら、引っ越して
この高校へ入学したことも
この渡り廊下を
通りがかったことも
桜の花に目を奪われて
この場所で足を止めたことも…
全ては偶然ではなく
必然だったのかな.
この日、この時間
この場所で……
彼に出会うことも……。
それは生まれたときから
決まっていたわたしの
運命だったのかもしれない.
◇
" オレの事情 -新竹 拓斗― "
◇
今日のオレは絶不調.
思えば、朝のテレビで見た
星座占いでも最下位
だった気がする.
放課後の廊下をとぼとぼと
歩きながら考える.
俺、新竹 拓斗(アラタケ タクト)は
親の反対を押し切って
この高校を受験した.
中3の夏、俺は志望高校の
ランクをかなり下げた.
周囲は驚き母親と教師は
ヒステリックに騒いだ.
理由を聞かれても「近いから」
としか答えない俺に相当
イラついているようだった.
何度も話し合ったが
俺の意思が変わることはなく
最終的には単身赴任で東京に
住んでいる親父が
仲栽に入ってくれた.
その時出された条件は一つ.
『大学は必ず現役で
国立大に行くこと』
俺はその条件を受け入れた.
なぜか俺にやたらと大きな
期待を持っていた母親は
それでも納得できなかったのか
それ以来ずっと機嫌が悪い.
そしてそれは入学した今も
続いているのだ.
いい加減、機嫌
直して欲しいよ.
ふっとため息をついて
廊下の先をぼんやり眺めた.
俺には親の期待を裏切ってまで
どうしてもここに来たい
理由があったんだ.
♡きたら続き出します!! 読んでくれて📖 ありがとです!!☺︎ ぜひほかの作品も 見てみてください!!☃