前世の記憶がなくても＿＿＿

前世の記憶がなくても＿＿＿

トウヤ！

俺はもう行かなきゃいけないけど

絶対、絶対立派な騎士になって

大人になったら会いに来る

そしてトウヤが危ない時にはさ

俺が絶対、トウヤのことを

命懸けで守るから＿＿＿

そう言ってアキトは

俺を置いて

月に飲み込まれた

いつ帰ってくるか分からない

訓練と途中で死んだかもしれない

だが俺は待ってるぞ

この昔は大きかった窓から

今も大きい月を見て

いなくなったアキトのことを＿＿

そういえば、アキトの苗字を聞いてなかったね

なんて言うの？

俺の苗字？

俺の苗字は東雲だ

東に雲って書いて東雲！

しの…のめ？

ふふっ、かっこいい名前！

東雲アキトか……！

時間が流れ＿

アキトの部屋

1週間後＿＿

庭

トウヤ

夕方

現在＿＿

……と！

あ…と！

彰人！

冬弥には前世の記憶がない

じゃぁなんで俺はあるかって？

そんなの知らねぇよ

別に知らなくても

前世でも今でも冬弥を守ることは変わんねぇ

前世は俺から先に死んだけど

今回こそは

一緒に死んでやる