もし 私があなた達のことを忘れても あなた達は 私を忘れないでいてくれますか?
もし私が大切なものを見失ったら 思い出させてくれますか?
病院
篠宮 千七
どういうことですか?
医者
篠宮 千七さん、あなたは
若年性アルツハイマーという病気です
若年性アルツハイマーという病気です
篠宮 千七
若年性アルツハイマー?
医者
はい。何もかも忘れていってしまう。そんな病気です
篠宮 千七
私が?待ってください!私まだ高3でやりたいこととかたくさんあるし…
篠宮 千七
治せないんですか?
医者
すみません…治すことができない病気です
篠宮 千七
そんな…
いきなり目の前が真っ暗になる 何も見えない 何も考えられない
いつかは自分のことさえ 大切な人さえ
忘れてしまうんだ
朝 学校
篠宮 千七
おはよー!
高坂 夢歌
千七、おはよう!
篠宮 千七
夢歌、いつも来るの早いよね~
高坂 夢歌
風紀委員の仕事があるからね
篠宮 千七
わっ!真面目~
高坂 夢歌
千七じゃないからね!
篠宮 千七
何それ~!!ひどくない?
高坂 夢歌
だって千七と一緒にされたら困るもの!
篠宮 千七
えーー!!
緒方 みき
おはよう千七ちゃん、夢歌ちゃん
高坂 夢歌
みき!おはよう
篠宮 千七
みきー!聞いて!夢歌が私をいじめるー
田原 みかん
ええっ?
高坂 夢歌
そんなことしてない、千七が言ってること真に受けないでいいよ
篠宮 千七
そんなーー!みきー!
田原 みかん
おっはよーーう!
篠宮 千七
みかーん!
田原 みかん
どしたの?あっまた夢歌が千七いじめたんでしょ?
篠宮 千七
そーなのー!
高坂 夢歌
だからいつも何なのよこのやり取り!
篠宮 千七
夢歌が悪いんだから!ベー
高坂 夢歌
あのねー!千七、あんた取り締まりしようかー?
篠宮 千七
何でー!嫌だー!
高坂 夢歌
待ちなさい!
緒方 みき
ふふっ朝から元気だね二人とも
田原 みかん
確かに~いつもあんな感じ!
篠宮 千七
あっ、そういえば今日の1時限目なんだったっけ?
高坂 夢歌
確か英語だった気がする
篠宮 千七
えー!英語無理~
緒方 みき
千七ちゃん中学の頃から英語苦手だよね
田原 みかん
私英語より国語が無理だなー!
先生
はい!朝礼するよー!皆席着いて
田原 みかん
あっ!先生来た!席着こう
篠宮 千七
ねぇ夢歌!1時限目ってなんだったっ?
高坂 夢歌
また?さっき言ったでしょ?英語よ
篠宮 千七
あっ、そうなのー?
高坂 夢歌
最近千七忘れっぽいよね
篠宮 千七
えっ、そうかな?
篠宮 千七
(どうしよう…私また同じこと聞いてたのかな?でも絶対に病気のことはバレないようにしないと…)
時間は過ぎていくだけ 私は 私の心は
取り残されるだけ
何もかも忘れてしまう 予想がつかない今と未来に
置いていかれるだけ