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第二十四話 「咲選」

HYDRANGEA本部中枢、かつての「選定ルーム」。

その中央に、人格β(咲良)が立っていた。

七都市が、ついに彼を取り囲む。

東京(β)

……来たな。

東京(β)

咲く者の“頂点”ども。

大阪

頂点?アホか。

大阪

俺ら、ずっと血まみれで咲いてきたんやぞ

北海道

その度に、咲けなかったヤツの声も聞いてきた

宮城

でも……あんたは、聞かないようにしてたんだな。

宮城

“選ばれなかった自分”が、壊れてしまうのが怖くて

咲良は、微笑んだ。

悲しげに。

東京(β)

……うるせえな。

東京(β)

お前らは“咲けた側”の言葉で、俺を許そうとする……

東京(β)

そんなの、優しさじゃなくて、殺意だよ

《最終制御コード、解除》

咲選(さくせん)開始。

システムが共鳴し、咲良の身体が揺れる。

人格α(灯)の声が再び内部に響いた。

東京(α)

咲良。

東京(α)

終わりにしよう。

東京(α)

お前が生まれたことも、

東京(α)

苦しんだことも、全部……

東京(α)

意味があった

東京(β)

意味なんかねぇよ……!

東京(β)

咲けなかった俺には!!

東京(β)

全部“灯”のせいだ!

東京(β)

お前が俺を閉じ込めたから――!!

東京(α)

閉じ込めてなんかいない。

東京(α)

ずっと、二人で……

東京(α)

一緒に咲く方法を探してた

咲良の足元に、氷のような花弁が浮かぶ。

αとβの人格が、分離し始めていた。

別室では、山梨が七都市と対峙していた。

山梨

選ばれた側の言葉に、救いなんてない。

山梨

だから私は……

山梨

自分で“選ばれない者たちの帝国”を築いたの。

愛知が、静かに一歩踏み出す。

愛知

なら、俺は“選び返す”。

愛知

どんなに咲けなくても、誰かがその花を見つけてくれるって、

愛知

信じてるから。

山梨

そんなもの、ただの幻想……

福岡

いいじゃん、幻想でも。

福岡

現実で“踏みつける”よりは、よっぽど人間らしい

広島

俺らは、お前が咲かなかったことを否定せん。

広島

けどな――他人の咲き方を潰してええ理由にはならん

沈黙。

山梨の目から、一滴の涙。

山梨

……羨ましかった。

山梨

あんたたちみたいに、誰かに“見つけてほしかった”

愛知が手を差し伸べる。

愛知

遅くなんかない。

愛知

今からでも、俺たちは“咲けなかったお前”を選ぶよ。

咲良の体が崩れ落ちる。

人格αとβ、ついに融合。

東京

……俺は、もう一度“咲く”よ。

東京

誰かに選ばれるんじゃない。

東京

俺が、俺を選ぶ。

東京

そして、お前らを“咲かせる都市”として、選び直す。

《HYDRANGEAシステム:完全停止》

《すべての選別機構、無効化》

灯と咲良――一つの「東京」が、ようやく本当の意味で咲いた。

山梨が、愛知の隣に立つ。

七都市が、完全に揃う。

宮城

……これが、“咲かせ直した”世界か

北海道

“咲かないこと”にも意味を与える

北海道

……そんな咲き方、初めて見た

福岡

面白いじゃん。

福岡

これからは、“咲けなかった都市”の中にも

福岡

手ぇ伸ばしていくべきだな。

大阪

そんで、そいつらもいつか“咲かせる”と

広島

新しいHYDRANGEA(咲く場所)を、

広島

俺らが作ろう

東京

――“花は血で咲いた”。

東京

でもこれからは、その“血”を、

東京

咲けなかった者の“土壌”に変えよう

北海道

まぁ、その前に、

東京

大阪

おかえり。東京。

愛知

……おかえり

広島

おかえり。

福岡

ふっ、…おかえり、

宮城

おかえり~

東京

!!

東京

…ただいま、

タイトル回収__。

HYDRANGEA後の世界

各都市が見つけた、“咲き方の再定義”

そして、“東京”がもう一度咲かせたものとは――

次回

第二十五話 「咲いたあとに、咲くもの」

next→♡450

次回最終話__。

「花は血で咲いた。」の意味を明かす。

花は血で咲いた。

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コメント

4

ユーザー

はいもう神ッッッッッッ!!(?) 東京…おかえりぃぃ! 最後に皆がおかえりって言うの尊すぎてもう○ぬ(?)

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