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警察署へと連れてこられた 私と苑原先輩は、軽く 事情聴取を受けた。

夜ももう遅いので、 明日また、本格的な聴取を 行うという。

苑原

架恋ちゃん、ご両親は旅行中なんだってね

苑原

お兄さんが迎えに来るって

署の人と話していた 先輩が、私の隣に 腰を下ろし、伝えてくれる。

架恋

は……い……

苑原

架恋ちゃん?

――先ほどから、頭が くらくらとする……。

私は俯き、小さく 息をついた。

苑原

……大丈夫、架恋ちゃん?

架恋

たぶん……お腹がすいてるんだと思います

架恋

最近、あまり食べてなかったので

苑原

そっか……。
コンビニで、何か買ってこようか?

架恋

……

私はただ、ふるふると 首を振った。

だってこれは、きっと……

架恋

(これはきっと、サキュバスの空腹)

架恋

(カプセル、まともに摂ってなかったし)

架恋

(だって、体が……)

苑原

架恋ちゃん?

苑原先輩が、心配そうに 覗き込んでくる。

苑原

顔が赤いね。息も苦しそうだ……

架恋

……っ

私は黙って、自らの体を 両腕で掻き抱いた。

苑原

熱がありそうだね

苑原

病院はもう、受け付けてないし……

苑原

お兄さんが来るまで、署の仮眠室を使わせてもらおうか

その時。

架恋

……っ!

ずくりと熱い奔流が、 体の中を駆け抜けてゆくのが わかった。

架恋

(だめ……
このままじゃ!)

私は慌てて手を伸ばし、 立ち上がりかけた先輩の 上着を掴む。

苑原

架恋ちゃん?

架恋

私……帰ります!

勢いをつけて立ち上がり、 署の出口を目指して駆け出した。

苑原

架恋ちゃん!
ダメだよ、勝手に帰っちゃ

苑原

夜も遅いし、危険だって!

架恋

嫌! 嫌なの!!
帰る……!!

引き留めようとする先輩の 手を、必死に振り払う。

――頭の中で、警鐘が 鳴り響いている。

私は焦りに 衝き動かされるまま、 署の廊下を駆け抜けた。

架恋

(離れなきゃ……人から離れなきゃ!)

苑原

架恋ちゃん!

騒ぎに気付いた警官が 数人、追いかけてくる。

架恋

嫌! 絶対に帰る、帰ります……!!

私は振り返りつつ、 必死に訴える。

だって、このままじゃ……!

苑原

架恋ちゃん……っ

山名先生に襲われた ばかりの私を、 先輩も、署の人も、

力尽くで止めよう とはしない。

架恋

来ないで!!!

それを良いことに私は 一目散に走り、

署の表玄関を 飛び出したのだった。

苑原

俺が送っていきます!

苑原

お兄さんにも連絡しますから……っ

背後で、苑原先輩が 叫んでいる。

苑原

架恋ちゃん、待って!

架恋

(待てないよ)

架恋

(まだ走れるうちに、少しでも人のいないところへ……っ!)

苑原

架恋ちゃん……!!

架恋

ついに、追いつかれて しまった。

架恋

一人で帰れますから!

苑原

ダメだよ!
こんな夜遅く……っ

架恋

嫌っ!!

架恋

放っといて、私のことは

架恋

放っといてください!!!

苑原

……っ

苑原

架恋!!!!

架恋

……ッ!!

架恋

(あっ)

名前を呼び捨てにされ、 ぎくりとして固まった 私の腕を、

先輩は、強い力で掴んだ。

架恋

は、離して、
離してください……ッ!!

苑原

ごめん

苑原

怖がらせてごめんね

苑原

でも、具合の悪い女の子を、一人でなんて帰せないよ

架恋

嫌……嫌ぁ……っ

先輩に両腕を掴まれ、 私は必死にもがいた。

架恋

……っ

腕と腕が―― 先輩の体と私の腕が、

何度も触れ合う。

制服越しのその刺激だけで、 肌が、ぞくりと――

粟立つ感覚がある。

苑原

落ち着いて、架恋ちゃん!

先輩はついに、私の腰を 掴んでぐっと引き寄せる。

私の体は、先輩の腕に すっぽりと抱きしめられて しまった。

架恋

――……っ

私は、ひくりと息を呑んだ。

制服を挟んで 触れ合った肩が、

胸が――

架恋

(だめ……っ)

触れ合うたび、擦れ合う たびに体を駆け抜ける、

この感覚は……。

架恋

(私、サキュバスの発作を起こしてる……!)

苑原

架恋ちゃん、聞いて

もがく私を腕のなかに 閉じ込め、

先輩は声を落とし、 諭すように語りかけてくる。

苑原

署にいるのが、嫌だったんだよね

苑原

どこか、ほかに休めるところを探そう

架恋

――……っ

苑原

息が荒い……、
苦しいんだね?

架恋

せん……ぱ

背を屈めて、覗き込まれる。

私の顔の間近で囁かれる 、 その声は……

耳に心地よい涼やかさと、 わずかな艶も含まれて いて――

とても、素敵な声だと思う。

架恋

(ああ――私、先輩に)

苑原

ね、架恋ちゃん?

目の前で、先輩の 薄いくちびるが上下する……

その、形のいい瞳が 揺れて――

私を――覗き込んで――……

架恋

――ッ

私は、

衝き動かされるまま、

先輩の、頬に手をかける。

苑原

!!?

そして。

苑原

かれ……んっ

先輩のくちびるに、

自らのくちびるを

押し付けた。

苑原

――っ!!

架恋

(――私、先輩に)

架恋

(先輩に
欲情してる――)

密着する先輩の体が、 緊張したように硬くなった。

直後。

苑原

……ッ

架恋

(――いやだ、離れないで)

力を込めて私を 押し退けようとする先輩に、

私はさらに強く、 くちびるを押し付ける。

苑原

~~……っ

先輩の首に両腕を回し、 必死にしがみついた。

架恋

(――先輩、先輩……)

この衝動は、恋なのか、

それとも、

ただの餓えなのか――

私には、それを思考する だけの余裕はなかった。

架恋

ん……はっ

先輩のくちびるを、

ただ、衝動の おもむくままに――、

何度も、何度も、 貪るように味わう。

苑原

…………

――先輩の体の強張りが、 ゆるやかに解《ほど》けて ゆく……。

苑原

――……

先輩は躊躇いがちに 私の背へと両腕を回し、

先ほど、先生に襲われた 私を宥めてくれた ときみたいに、

ただ、やさしく、

けれどもしっかりと、 抱きしめてくれた――。

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