警察署へと連れてこられた 私と苑原先輩は、軽く 事情聴取を受けた。
夜ももう遅いので、 明日また、本格的な聴取を 行うという。
苑原
苑原
署の人と話していた 先輩が、私の隣に 腰を下ろし、伝えてくれる。
架恋
苑原
――先ほどから、頭が くらくらとする……。
私は俯き、小さく 息をついた。
苑原
架恋
架恋
苑原
架恋
私はただ、ふるふると 首を振った。
だってこれは、きっと……
架恋
架恋
架恋
苑原
苑原先輩が、心配そうに 覗き込んでくる。
苑原
架恋
私は黙って、自らの体を 両腕で掻き抱いた。
苑原
苑原
苑原
その時。
架恋
ずくりと熱い奔流が、 体の中を駆け抜けてゆくのが わかった。
架恋
私は慌てて手を伸ばし、 立ち上がりかけた先輩の 上着を掴む。
苑原
架恋
勢いをつけて立ち上がり、 署の出口を目指して駆け出した。
苑原
苑原
架恋
引き留めようとする先輩の 手を、必死に振り払う。
――頭の中で、警鐘が 鳴り響いている。
私は焦りに 衝き動かされるまま、 署の廊下を駆け抜けた。
架恋
苑原
騒ぎに気付いた警官が 数人、追いかけてくる。
架恋
私は振り返りつつ、 必死に訴える。
だって、このままじゃ……!
苑原
山名先生に襲われた ばかりの私を、 先輩も、署の人も、
力尽くで止めよう とはしない。
架恋
それを良いことに私は 一目散に走り、
署の表玄関を 飛び出したのだった。
苑原
苑原
背後で、苑原先輩が 叫んでいる。
苑原
架恋
架恋
苑原
架恋
ついに、追いつかれて しまった。
架恋
苑原
架恋
架恋
架恋
苑原
苑原
架恋
架恋
名前を呼び捨てにされ、 ぎくりとして固まった 私の腕を、
先輩は、強い力で掴んだ。
架恋
苑原
苑原
苑原
架恋
先輩に両腕を掴まれ、 私は必死にもがいた。
架恋
腕と腕が―― 先輩の体と私の腕が、
何度も触れ合う。
制服越しのその刺激だけで、 肌が、ぞくりと――
粟立つ感覚がある。
苑原
先輩はついに、私の腰を 掴んでぐっと引き寄せる。
私の体は、先輩の腕に すっぽりと抱きしめられて しまった。
架恋
私は、ひくりと息を呑んだ。
制服を挟んで 触れ合った肩が、
胸が――
架恋
触れ合うたび、擦れ合う たびに体を駆け抜ける、
この感覚は……。
架恋
苑原
もがく私を腕のなかに 閉じ込め、
先輩は声を落とし、 諭すように語りかけてくる。
苑原
苑原
架恋
苑原
架恋
背を屈めて、覗き込まれる。
私の顔の間近で囁かれる 、 その声は……
耳に心地よい涼やかさと、 わずかな艶も含まれて いて――
とても、素敵な声だと思う。
架恋
苑原
目の前で、先輩の 薄いくちびるが上下する……
その、形のいい瞳が 揺れて――
私を――覗き込んで――……
架恋
私は、
衝き動かされるまま、
先輩の、頬に手をかける。
苑原
そして。
苑原
先輩のくちびるに、
自らのくちびるを
押し付けた。
苑原
架恋
架恋
密着する先輩の体が、 緊張したように硬くなった。
直後。
苑原
架恋
力を込めて私を 押し退けようとする先輩に、
私はさらに強く、 くちびるを押し付ける。
苑原
先輩の首に両腕を回し、 必死にしがみついた。
架恋
この衝動は、恋なのか、
それとも、
ただの餓えなのか――
私には、それを思考する だけの余裕はなかった。
架恋
先輩のくちびるを、
ただ、衝動の おもむくままに――、
何度も、何度も、 貪るように味わう。
苑原
――先輩の体の強張りが、 ゆるやかに解《ほど》けて ゆく……。
苑原
先輩は躊躇いがちに 私の背へと両腕を回し、
先ほど、先生に襲われた 私を宥めてくれた ときみたいに、
ただ、やさしく、
けれどもしっかりと、 抱きしめてくれた――。
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よ……き…