随分と時間が経つのが早くなった気がする
今高校1年生だけど、入学してからあれよあれよと時間が過ぎて、もう文化祭の季節だ
真奈美
真奈美
1年前
クラスの女子1
クラスの女子2
クラスの女子3
ドクン
何気ない女子グループの会話の中に私の名前が出てきた
私は反射的に3人を見つめる
自分がなにかしたのだろうか、私の悪口を言っているのではないか、そういった心配で頭がいっぱいになる
クラスの女子2
クラスの女子1
真奈美
ヤバい またやってしまった
何となく教室に居づらくなって逃げるように廊下に出て人気のない奥へと進む
真奈美
不安になった時、つい周りにいる人に大丈夫だよねという意味を込めて相手を見つめてしまう
だから、そのせいでクラスではよく見つめてくる人、睨んでくる人として認識されている
そもそも周りに知らない人がいるだけで上がってしまいまともに喋ることすら出来ない私は友達がいない
自分が今独りである、と思うだけで凄く緊張し、何をしても上の空の状態になってしまうのだ
真奈美
槙
真奈美
槙
真奈美
槙
真奈美
槙
真奈美
ヤバい、今絶対こいつ何なん?って思ったよねそうだよね!! やってしまった…
槙
真奈美
槙
真奈美
槙
槙
あー、腹いてーー!はははは!!!!
真奈美
槙
あんな驚いた顔今まで見たことねーし!!
真奈美
槙
槙
真奈美
槙
じゃー下駄箱で待ち合わせな!
真奈美
ひとしきり話したあと槙君は教室へ戻って行った
信じられなかった 正直何が起きてるのかよく分かんないくらいだった
確か槙君はクラスでも人気者で先生にも好かれているし、友達も多くて、皆から好かれている、私とは本当に真逆の存在がどうして私を気に入るのか
不思議で不思議で仕方ないまま私も教室に戻った
帰路
槙
真奈美
槙
真奈美
槙
結局土間で待って帰った まあ、人目につきたくないからトイレにこもって、頃合を見計らって出てきたんだけど
真奈美
槙
槙
真奈美
槙
ドキッ
聞かれた 1番答えづらい質問…
どうしよう、言ってもいいのかな、軽蔑されないかな、マジなコミュ障引くわーってならんかな??
真奈美
真奈美
槙
どうしよう、迷惑になってる 気まずい雰囲気になっちゃった
真奈美
槙
真奈美
槙
真奈美
槙
真奈美
そう言って別れる
あの後、一応は言っておいた クラスでどう思っているのか 何で話せないのか
反応は大して大きくなかった ただ、そっかー、じゃあこれから俺が話すからぼっち卒業な!
とだけ
正直すごく嬉しかった 友達が出来たのもそうだけど、私の事で引きもせず笑って頼もしいことを言ってくれただけでとても嬉しかった
真奈美
真奈美
あの日から槙君と毎日登下校した 教室でもよく話しかけてくれて、そのおかげでクラスでも浮かなくなった
他にも友達が出来たし、クラス内でオドオドすることも少なくなり、少し疲れるけどいつも誰かと喋っていて、今まで嫌だった行事もすごく楽しい思い出になった
真奈美
ブーブー
真奈美
真奈美
真奈美
槙の母
真奈美
槙の母
大変ですね、色々と
真奈美
槙の母
真奈美
槙の母
嘘…槙君?事故?何の?交通? え、容態は?彼は助かる?私は何をすればいい?分からない、頭が真っ白になってどうすればいいよかよく分からなくなってきた
槙の母
あ、そうだ、病院、いかなきゃ、とりあいず、それで、とりあいず行かなきゃ
真奈美
真奈美
ひたすら走った 髪が乱れてボサボサになろうが、気にもならなかった
何も考えず、ただ走った
真奈美
慌てて病院に着くと、ご両親が説明してくれたのだろうか、直ぐに彼の元へ案内してくれた
部屋に入ると両親がおり、2人とも泣いていた
彼の姿を見た途端、ああ、何もかも終わってしまった もう手遅れなのだと、実感した
両親が話し始め、話を聞くと私もボロボロと涙を零した
軽自動車の運転ミスとのことだった あの時彼を引き止めていればこんなことにならずにすんだのか 私には分からない
最後に両親は封筒を手渡し、退室した
震える手でそれをあける すると、出てきたのは綺麗なピンクの花と一通の手紙
真奈美
1度止んだと思った涙が再びこぼれ出した
それは、私宛の恋文だった それには、何とも嬉しい言葉の数々が綴られていて、最後に
お前の全てを受け入れる存在になって生涯ずっとお前を守りたい
そう終わっていた
真奈美
その問いかけに彼が答えることはなく、ただ、気のせいかもしれないけど顔に彼の手が優しく触れた気がした
真奈美
真奈美
ドンッ!
真奈美
目の前には初めての彼氏がいかっと笑いながらたっていた
槙
真奈美
槙
真奈美
槙
真奈美
二度と会えないかと、思った
真奈美
槙
槙
真奈美
真奈美
槙
槙
真奈美
槙
真奈美
あれ何て花?
槙
槙
真奈美
槙
丁度去年の今も秋だろ?
真奈美
槙
真奈美
槙
真奈美
晴天の下 男女が笑いあった
その声は静かな周りに延々と響き渡り 彼らの周りにはピンクの花々がゆらゆらと揺れていた