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あの時の思い出

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あの時の思い出

1 - あの時の思い出

♥

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2019年09月07日

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随分と時間が経つのが早くなった気がする

今高校1年生だけど、入学してからあれよあれよと時間が過ぎて、もう文化祭の季節だ

真奈美

振り返る時間も無かったな…

真奈美

振り返ると言えば、あれからもう1年経つんだな…

1年前

クラスの女子1

でさー、ホントウケるよねー!!

クラスの女子2

分かるー!!

クラスの女子3

そういえば、あれなんだけど、あれとーーー真奈美がさー

ドクン

何気ない女子グループの会話の中に私の名前が出てきた

私は反射的に3人を見つめる

自分がなにかしたのだろうか、私の悪口を言っているのではないか、そういった心配で頭がいっぱいになる

クラスの女子2

真由美さん、どうかした?

クラスの女子1

真奈美

あ…えっと、ごめん、何でもないよ、

ヤバい またやってしまった

何となく教室に居づらくなって逃げるように廊下に出て人気のない奥へと進む

真奈美

はあ…どうしたらこの癖なおるのかな…

不安になった時、つい周りにいる人に大丈夫だよねという意味を込めて相手を見つめてしまう

だから、そのせいでクラスではよく見つめてくる人、睨んでくる人として認識されている

そもそも周りに知らない人がいるだけで上がってしまいまともに喋ることすら出来ない私は友達がいない

自分が今独りである、と思うだけで凄く緊張し、何をしても上の空の状態になってしまうのだ

真奈美

このままじゃいけない、いつまでも根暗じゃ、社会でやっていけない、無理にでもコミユニケーションとって、無理にでも友達作って…無理にでも…勇気出して…っ

何1人でボソボソ言ってんの?

真奈美

うわあああーーー!!!!

っわ!!

真奈美

び、びっくりした!

いや、俺の方がびっくりしたわ!

真奈美

え、ええ、し、俊君?

俺槙だけど

真奈美

あああ!!ごめんなさい!!!顔と名前まだ覚えきれてなくて…

ヤバい、今絶対こいつ何なん?って思ったよねそうだよね!! やってしまった…

お前、普段陰家な顔でずっと1点睨んでるし、ボソボソ声なのにそんなでけー声出せんだな

真奈美

あ、ごめん

っぷ、はははは!!!!

真奈美

へ?

いやー、誰にでもギャップてあるんだなー

普段の仏頂面と引き換えにあの驚いた顔!
あー、腹いてーー!はははは!!!!

真奈美

槙君、よく笑うんだね

そっか?それはお前が原因だな!
あんな驚いた顔今まで見たことねーし!!

真奈美

そ、そう?

ああ!1番の驚き顔だった!

ふっ、お前面白いな!なあ、もっと話してーから、帰り一緒に帰ろうぜ!

真奈美

え、あ、いいけど

今日たまたま部活長期休暇中だしラッキー!
じゃー下駄箱で待ち合わせな!

真奈美

う、うん

ひとしきり話したあと槙君は教室へ戻って行った

信じられなかった 正直何が起きてるのかよく分かんないくらいだった

確か槙君はクラスでも人気者で先生にも好かれているし、友達も多くて、皆から好かれている、私とは本当に真逆の存在がどうして私を気に入るのか

不思議で不思議で仕方ないまま私も教室に戻った

帰路

それでな、大智がボール蹴り損なってそのまま尻餅ついたんだ!

真奈美

ははは!!!なにそれ、面白ー!!

だろー?そん時は部員全員で笑ったわ!!

真奈美

全力でカッコつけた意味ないじゃん!

まじで漫才かって感じだっわー

結局土間で待って帰った まあ、人目につきたくないからトイレにこもって、頃合を見計らって出てきたんだけど

真奈美

あー面白!久々にこんな笑ったかも

確かにお前の笑った顔も見たことないもんな

ギャップありまくり!

真奈美

そう?

にしても、何でクラスじゃ何も喋んないの?

ドキッ

聞かれた 1番答えづらい質問…

どうしよう、言ってもいいのかな、軽蔑されないかな、マジなコミュ障引くわーってならんかな??

真奈美

えっとね…

真奈美

そのー

あー、言いたくないならいいや、ごめんな、何かズケズケ聞いちまうの癖なんだ

どうしよう、迷惑になってる 気まずい雰囲気になっちゃった

真奈美

あ…

意外と俺たちん家近いんだな!

真奈美

そうだね!

どうせだしこれから一緒に登下校しよーぜ!あ、部活ある時は下校は出来ないか

真奈美

いいの?

勿論!じゃーな!

真奈美

ん、ばいばい

そう言って別れる

あの後、一応は言っておいた クラスでどう思っているのか 何で話せないのか

反応は大して大きくなかった ただ、そっかー、じゃあこれから俺が話すからぼっち卒業な!

とだけ

正直すごく嬉しかった 友達が出来たのもそうだけど、私の事で引きもせず笑って頼もしいことを言ってくれただけでとても嬉しかった

真奈美

あー、今日も学校楽しかった!!

真奈美

本当、槙君に感謝しなきゃね!

あの日から槙君と毎日登下校した 教室でもよく話しかけてくれて、そのおかげでクラスでも浮かなくなった

他にも友達が出来たし、クラス内でオドオドすることも少なくなり、少し疲れるけどいつも誰かと喋っていて、今まで嫌だった行事もすごく楽しい思い出になった

真奈美

そろそろ勉強勉強ー!

ブーブー

真奈美

真奈美

槙君から?

真奈美

もしもし

槙の母

もしもし、私槙の母ですが

真奈美

槙君のお母様ですか?えと、どのようなご要件で?

槙の母

槙から貴方のことはよく聞いています
大変ですね、色々と

真奈美

は、はあ、それで?

槙の母

驚かないで聞いて欲しいんだけど槙がね、事故にあってしまって…

真奈美

え!?

槙の母

それでね、槙今◎〇△病院にいるんだけど…

嘘…槙君?事故?何の?交通? え、容態は?彼は助かる?私は何をすればいい?分からない、頭が真っ白になってどうすればいいよかよく分からなくなってきた

槙の母

で、その病院に行ってあげて欲しくて、私ら両親もいるから

あ、そうだ、病院、いかなきゃ、とりあいず、それで、とりあいず行かなきゃ

真奈美

あ、ああ、はい、分かり、ました、どうも、ありがとうございます

真奈美

はあ、はあ、っ

ひたすら走った 髪が乱れてボサボサになろうが、気にもならなかった

何も考えず、ただ走った

真奈美

槙、君!!

慌てて病院に着くと、ご両親が説明してくれたのだろうか、直ぐに彼の元へ案内してくれた

部屋に入ると両親がおり、2人とも泣いていた

彼の姿を見た途端、ああ、何もかも終わってしまった もう手遅れなのだと、実感した

両親が話し始め、話を聞くと私もボロボロと涙を零した

軽自動車の運転ミスとのことだった あの時彼を引き止めていればこんなことにならずにすんだのか 私には分からない

最後に両親は封筒を手渡し、退室した

震える手でそれをあける すると、出てきたのは綺麗なピンクの花と一通の手紙

真奈美

あ、あああ…

1度止んだと思った涙が再びこぼれ出した

それは、私宛の恋文だった それには、何とも嬉しい言葉の数々が綴られていて、最後に

お前の全てを受け入れる存在になって生涯ずっとお前を守りたい

そう終わっていた

真奈美

嬉しい、よ…私も、貴方に守ってもらいたいし、私も支えて、あげたい…こんな、コミュ障の、わた、私、でも、いい、の…?

その問いかけに彼が答えることはなく、ただ、気のせいかもしれないけど顔に彼の手が優しく触れた気がした

真奈美

はあ、懐かしいこと思い出したなー

真奈美

もう一度、過去に戻れたら…

ドンッ!

真奈美

うわっ、いったいなーもー

目の前には初めての彼氏がいかっと笑いながらたっていた

悪い悪い

真奈美

ったくー、そーいえば、もう足大丈夫だったの?

おー、もう平気!いやー、あの状況でホント奇跡だわ!まさか、下半身の軽い麻痺だけで済むなんて

真奈美

割と重いと思うけどね…でも、ホントに良かったよ、安心した

心配かけて悪かったな

真奈美

本当に事故って聞いた時はゾッとしたよ
二度と会えないかと、思った

真奈美

本当に、怖かった…

今ここにちゃんといるんだからいーだろー!

それに、もうちょいでサッカーも出来そうだし!

真奈美

はー、元気そうで本当何よりだよ

真奈美

守るのどうのこうの言ったくせに

だから、ちゃんと生きていまここにいるんじゃんか

俺は、お前がどんなでも、全て受け止めてやるからな

真奈美

そういえば、手紙に入ってたあのピンクの花、なあに?

そんなん入れたっけ?

真奈美

入ってた!
あれ何て花?

…あー!あれか!あれなー、何だっけ…えっーとー、鳥みたいな名前だったような…

うーん…く、何とか…く…く…く…クジラそう?あ、違う、くー、クジャ、あ、孔雀草だ!

真奈美

何それ

秋花だよ
丁度去年の今も秋だろ?

真奈美

そうだったね

と、言うわけで、じゃーん!

真奈美

去年と同じ花?

そ!付き合って1年記念!改めて、これからよろしくな!

真奈美

こちらこそ!

晴天の下 男女が笑いあった

その声は静かな周りに延々と響き渡り 彼らの周りにはピンクの花々がゆらゆらと揺れていた

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