エリカ

自分の家庭は普通とは違うこと

それは物心が付き始めた頃から気付いていたこと

帰れば母親が酒に酔いつぶれていて

何かしでかせば体が浮く

深夜に父親が帰ってくれば怒鳴り合い

幼い僕には、どうすることもできなくて

ただ物陰から見つめることしかできなかった

中学生。

気付けば父親は家にいなかった

けれど、

父親が出ていったからといって、僕にとっての家という空間は変わらなかった

むしろあからさまに悪化した

母親の機嫌がいいとき、悪いとき

どんな時でも家にいれば殴られる

家族なのに、息子なのに、両親を引き離してしまった

見守ることしかできなかった僕には、母親を責めることなんてできなかった

高校に上がったばかりの時

母親からの暴力は減った

が、「いってきます」「ただいま」に言葉が返ってくることは一度もない

ドアから1歩外へ出ると、強い日差しがコンクリートを照りつけていた

道の先を見れば陽炎ができていて

長袖の僕には辛い気温だった

日傘がなければすぐにでも倒れてしまいそうな真夏の暑さ

登下校中よく変な目で見られるが、知ったこっちゃない

というより、長袖を着ていても着ていなくても同じだろう

いわゆる「リスカ」というやつはやったことがない

いや、やりたくてもできなかった

する時間がなかった

が、腕はあざだらけで凸凹だらけ

それを隠すために、一年中どんな時でも腕を見せない

～～～！！

～～～！？💢

～～～！！w

あ、ｯ!!おいジェル！！

ﾄﾞﾝｯ

誰かにぶつかられた

よろけたが、足を踏ん張りなんとか転ばずに済んだ

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