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「終焉」の悪魔

悪魔には大きく分けて5つの階級がある。

その中でも2番目に上級なのが「終焉」の悪魔だった。

悪魔と人間は分かり合えない。関わってはいけないというのが、暗黙のルールだった。

兄達は非常に優秀だった。

飛行も上手く、魔術もそつなくこなしていた。

だが、俺は…

何故できないんだ。

冬弥

あ……ご、ごめんなさい…

謝るより魔術の練習をしたらどうだ。

全く……何故お前だけそんな事も出来ないんだ…。

いいか。「終焉」に生まれたからには完璧であれ。この家を守るためにもな。

冬弥

…はい。

父は厳しかった。

いつも叱られてばかりの俺。酷い時は、父に強く打たれた記憶がある。

けど、そういう時は決まって

祖母

あらあら、そこまでしなくてもいいんじゃないの?

…母さん、、だが、この子はこんな魔術も使えないんだぞ。「終焉」の恥さらしだ。

冬弥

…!

祖母

まだいいじゃないの。大丈夫、貴方はまだまだこれからよ。

母さん、あまり甘やかしすぎるのは…

祖母

春道、厳しすぎるのも、逆に才能を殺してしまうこともあるのよ。

祖母

もう少し、ゆったり待ってみましょう?

祖母が、俺を庇ってくれた。

冬弥

おばあちゃん…俺、ダメな子なのかな?

祖母

あら、どうしてそんな事を言うの?

冬弥

だって…いつも、父さんの期待に応えられない。怒られてばっかりだから…

祖母

ふふ、春道もね、まだまだ子供だから。それにね、冬弥の事が大事だから、つい厳しく言いすぎてしまうのよ。

冬弥

父さんも子供?

祖母

ええ。私からしたら、まだまだ子供よ。

冬弥

そうなんだ…!

祖母はとても優しかった。

冬弥

おばあちゃん、あのお話して!

祖母

ああ、人間のお話ね。

俺は、そんな祖母の話が大好きだった。

祖母

おばあちゃん、昔人間界に行った事があるの。禁止されてる事だったんだけど、好奇心から行ってみたわ。

祖母

人間界の「街」というところはとても賑やかで、楽しくて温かかった。

祖母

私はそこで随分長い時を過ごした。けれど、仲良くしてくれた人間はみんなすぐ死んでしまった。寿命でね。

祖母

そんな私にも、好きな人がいたの。とても優しくて、変な人だったけどいい人だった。

祖母

けれど、その人は寿命で死んでしまった。私は、自分の魔力を半分与えて生き返らせようとしたけど…駄目だった。

祖母

なぜ、人間と関わるのが駄目なのかが分かった。共に歩める時間が違うからよ。

祖母

私たちにとっての1日は人間にとって1週間のようなもの。

祖母

それにね、昔私たちは人間と戦争というものをしてしまっているから、お互い関わってはいけないの。

冬弥

……

祖母

でも、悪い人間ばかりじゃない。もちろん、私たち悪魔より悪魔らしい時もあるわ。

祖母

けどね、人間というものを本当に分かれたら…とても、愛しい生き物よ。

冬弥

いとしい…?

祖母

ええ。短い生でも人を愛し、愛され、夢を持って、色々なものを生み出す。私たちには出来ないことをするの。

俺は人間に興味があった。祖母が言う、「街」にも行ってみたいと思った。

そして1度…行ってみたんだ。

冬弥

ここが…街…!!✨️

まだ完全に角と尻尾が隠せなかったから、フードと長めのコートを身につけていた。

冬弥

本当に賑やかで楽しいところだな…魔界とは大違いだ。

子供

あれ、お前見ない顔だな、

子供

本当だ!どこから来たの?

冬弥

!!

冬弥

…えっと、、、

子供

暑いのになんでこんなフード被ってるの?

冬弥

あっ、こ、これは…

子供

よく見たら汗で出てるじゃん。熱中症になったら危ないから、とっとけよ。ほら

冬弥

あっ!!

子供

きゃーーー!!!?!?

子供

ひぃっ!!あ、悪魔だ…!!!

子供

な、何しに来た化け物め!!この街は俺たちが守る!!

冬弥

あっ、ち、違…!

子供

で、出てけっ!

冬弥

痛ッ、

子供

嫌ッ!早く帰ってよぉ!

子供

もう人間だって負けないぞ!!

今思えば、当然の事だったんだろう。

帰ったら人間界に行ったことがバレ、父に酷く叱られた。

なぜ人間界に行った…!

冬弥

ご、ごめんなさい…!

なぜかと聞いている!

冬弥

あ…えっと、街がどんなのか気になって…

街?そんな言葉どこで覚えた

冬弥

お、おばあちゃんが…

…はぁ、全く…もう二度と行くんじゃないぞ。

もう、分かってるだろう。人間と俺たちは分かり合えん。

冬弥

…はい

それから、祖母と話さなくなった。

相変わらず大好きだったけれど、父さんに会うのを禁止された。

そして数年後…祖母は死んでしまった。

まだこんな事もできんのか

冬弥

…ごめんなさい、

兄さん達を見習え。お前はまだまともに飛ぶことすらも出来ていないんだから…全く、とんだ落ちこぼれだ。

冬弥

……

もう、励ましてくれる祖母はいない。庇ってくれる人はいない。

俺は…酷く、寂しくなった。

冬弥

…あぁっ!!出来ない…ッ!

冬弥

なんで…なんで俺は駄目なんだ…

冬弥

俺は……

そんな日々だけが淡々と過ぎていった。

だがある日、偶然聞いてしまった。

冬弥

(ん?話し声…父さんか?)

どうしたら冬弥は「終焉」が使えるようになるんだ。

うーん…でも、冬弥頑張ってたよ。

頑張っても結果が全て。お前が1番知ってるだろう。

父さん、少し厳しすぎるんじゃないかな?もし、冬弥がこのまま「終焉」が使えなかったとしても、他にやりたい事やらせてあげればいいんじゃない?

駄目だ。俺たちは「終焉」の悪魔。そんな事許されない。

それに…冬弥は、お前たちよりも才能を秘めているはずだ。母さんがそう言ってたから間違いないだろう。

お祖母様がそんな事を?

ああ。だが…どうしたものか、

俺は驚いた。

自分には才能がある。それがまだ開花していないだけなんだと。

そう思うと急に、自信がついてきた。

そしてとうとう、その日はやってきた

冬弥

……あ?

冬弥!

冬弥

あ…父さん、俺…

これは…たしかに「終焉」の能力…お前がやったのか?

冬弥

うん…なぜか、俺の部屋が灰になったんです。何故でしょう?

……お前、自分の部屋だけではない。家一体が灰になったぞ。

冬弥

え?

ケホッ、ケホッ、わぁ…すごいな。俺たちでもここまでは出来ないよ。

冬弥さん!一体何が…!

冬弥

やっと出来たんです。これで、俺も立派な悪魔になれましたか?

…冬弥、お前…

冬弥

けど…分からないんです、、なぜ、家が灰になったのですか?

冬弥

「終焉」の能力とは、何なのですか?

…終焉の、能力は、、

その後は覚えていない。

俺は動揺のあまり、理性が保てなくなった。

更に、俺にはまだ能力が使いこなせなかったのも相まって、気がついたら_

冬弥

…父さん?

みんなみんな、死んでいた。

冬弥

兄さん?母さん?

冬弥

どうして…返事をしてくれないんですか…?

冬弥

どうして…出来たのに、誰も褒めてくれないの?

冬弥

……あ、あああぁぁ…

俺は、俺自身の力の大きさを知らなかった。そして、制御が出来なかった。

俺が未熟なせいで、大好きだった家族を壊してしまった。

冬弥

……

俺はもう、限界だった。

心にポッカリと穴が空いた様だった。

彰人

おい、お前大丈夫か?

冬弥

……あ、ここは…?

彰人

お前、どっから来たんだ?

冬弥

…分からない、俺は…誰だ?

彰人

んー、記憶喪失…か?とりあえず、俺は東雲彰人。お前は?

冬弥

…冬弥だ。

彰人

苗字とかってないのか?

冬弥

苗字……?

苗字という概念は悪魔には無かった。だが、俺は自分が悪魔という事すらも忘れてしまっていた。

冬弥

…青柳?

きっと昔読んだ本の人物の名前だろう。咄嗟に口から出たのがそれだった。

彰人

青柳冬弥…へぇ、いい名前じゃん

冬弥

…!

彰人

お…そのペンダント、綺麗だな。お前もしかして貴族か?

冬弥

…ペンダント?

よく見ると、俺は祖母がいつもつけていたペンダントを身につけていた。

冬弥

これは…大事なものなんだ。とても、とても…

彰人

そんなに大事なものなのか?……いいな。

彰人

とりあえず、謙さんとこ行くかあ…

こうして俺は彰人に連れられ謙さんに出会い、白石たちに出会った。

心にポッカリと穴が空いたその時から、俺は「虚空」の能力に目覚めた。

そして俺は、自分が人間だと思い込んでこうして秘宝を探した__

彰人

……って事は、ここってもしかして、

冬弥

ああ、俺の家があった場所だ。

へぇ…なるほどね。驚いたな。

……そうか、そんな事が、、

冬弥

この秘宝は、俺が家族の魂を鎮めるために閉じ込めたものです。

冬弥

それが時を経て、願いを叶える力に変わったらしいですが…

秘宝って…冬弥の家族のお墓みたいなものってこと?

冬弥

ああ、そんな所だ。

そんな事言われたら奪いづらくなるねぇ

……だが、俺達も必死なんだ。すまないが、この秘宝はいただいていく。

駄目っ!!

すまない…だが、仕方ないんだ。えむ、寧々、頼む。

えむ

はーい!

寧々

任せて。

こはね

…!

寧々

ごめん…ちょっと、秘宝の事については忘れてもらうよ。

え?

能力「忘却ーオブリビオンー」発動

こはね

杏ちゃん!!

あれ…こはね?え、ここどこ?!

こはね

ここは魔界!秘宝探しをしてたんだよ!

魔界…秘宝…探し?何それ…

こはね

え…嘘…

彰人

マジかよ…おい、杏!大丈夫か?!

彰人!ねぇ、秘宝ってなんなの?!なんで私魔界なんかにいるの?!

冬弥

忘却の能力…!

草薙寧々 能力「忘却ーオブリビオンー」

発動すると相手の記憶を一時的に消し、上書きすることができる。だが相手が矛盾に気づいた途端に無効化する。

寧々

私の能力は消す事も出来るけど上書きすることもできる。例えば、こんな風に…

能力「忘却ーオブリビオンー」発動

冬弥

彰人!!!

彰人

……あ?

彰人

お前…誰だ?

こはね

え?!?!

彰人

なぁ、草薙。アイツら誰なんだ?

冬弥

…彰人に何をした…ッ

寧々

記憶を上書きした。今の東雲は、あんたらの知る東雲じゃない。

寧々

私たちの仲間、って設定だから。

嘘……

えむ

えへへ〜!彰人くんがお仲間だぁ!

えむ

わんだほーい!

彰人

わんだ……って、何やらせんだ!

こはね

あ……そんな…

彰人が…あんな仲良さそうに…

冬弥

……ッ、草薙…!

寧々

悪いとは思ってる。けど…私たちだって、必死なの。邪魔しないで。

えむ

そうだよ〜!司くん達が頑張ってるから、私もいーっぱい頑張るね!

えむ

さー!お人形さん達〜!!みんなで鬼ごっこだ〜!

えむ

逃げろ逃げろ〜!!

人形

⸜( ॑꒳ ॑ )⸝🔪

可愛い顔して包丁持ってるしッ!!

人形

(っ'-')╮ =͟͟͞͞🔪ブォン

こはね

きゃあッ!あ、危な…!

冬弥

白石!小豆沢!その人形を頼めるか?

い、いいけど冬弥は?!

冬弥

草薙を止める…そして、彰人の能力を解く。

こはね

き、気をつけてね…!!

冬弥

ああ!

よし、結界が張れた。

これで、秘宝に触れても大丈夫なはずだ。

類、本当に感謝する。

いいんだよ。君のためなんだから。

…本当にありがとう。

なんだい?急に。

いや……すまん、言いたくなったんだ。

ふぅん。…願いは4つだったよね。

どうぞ、司くん。これなら1人1つ叶えられるね。

ああ…!

スゥ__

続く!

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