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「終焉」の秘宝

第16話 - 願い叶って幸せかい？

182

2023年08月24日

#司類

#ファンタジー

#ホラー

#ミステリー

#冬彰

あかまる🍓🐾໊

司

秘宝よ……俺の願い、叶えてはくれないか？

司

俺は…俺たち4人が、幸せになれる世界を創りたい。

司

この願い、叶えてくれるだろうか？

チカッ

類

…微かに光ったね、

司

これは…叶った、のか？

司

何も変わらないように思えたが…

寧々

司たち、結界張れたかな

彰人

ああ、秘宝のか。

冬弥

彰人…！

彰人

…あー、えっと…青柳冬弥だっけ？

冬弥

…ｯ

寧々

…ごめん、あんたにとっては辛いと思うけど…

ズキッ

寧々

痛ｯ、！！

彰人

草薙？大丈夫か？

寧々

……ｯ、頭が痛い…？

彰人

…おい、お前が何かしたのか？

冬弥

な…俺は何も…

彰人

ｯ、お前……！

ドクン

寧々

ﾊｯ

寧々

何……この感覚…もしかして…

彰人

ｽﾞｷｯ

彰人

痛ｯ……う…

冬弥

彰人！

彰人

……ｯ

彰人

…ん？あれ、冬弥

冬弥

！

寧々

なんで…？突然能力が…

寧々

なんで…発動しないの？ねぇ、なんでよ…！

えむ

待て待てぇ〜！

杏

そ、そろそろヤバいかもｯ！！

こはね

わ、私も…！杏ちゃん、ごめん！！

人形

ﾋﾟﾀ

えむ

あれれ？

人形

ﾊﾞﾀﾝ

えむ

……お人形さん？

杏

え？！

こはね

お、終わった…？

えむ

なんで……お人形さん動かないの…？ねぇ、なんで？！

えむ

「愛情」…！！あれれ？なんでなの…？

杏

な、なんかトラブル？

こはね

どうしたんだろう…

類

ﾊｯ、寧々とえむくんの能力の気配が…

類

ねぇ、司くん。僕が今持ってる宝石…君の能力で奪ってみてくれるかい？

司

ん？ああ

司

「強欲」……！む？

司

何故だ…？発動しない？

類

やはり……僕もどうやら、能力が使えないようだ。

司

何？！

類

寧々やえむくんも同じなんだろう。

司

急に何故だ？こんな事、今まで1度も…

司

……まさか、秘宝か？

司

俺が…願ったからか？「俺たち4人が、幸せになれる世界を創りたい」と…

司

そのために…この能力はいらないと言うことか？

類

そうかもね…今はそう考えるのが良いだろう。

司

……能力なんてなければ、俺たちは幸せになれたのか？

類

それは…違うよ。

類

幸せになりたかったから「能力」に目覚めた。それだけだよ。

司

……

司

なあ類、いい機会だ。聞いてはくれないだろうか。

類

…僕で良ければ。

司

ありがとう。

司

俺……本当はとても臆病で、無欲な人間なんだ。、

類

！

司

俺が6歳の時だったか、両親が死んだんだ。

司

俺には1つ下の妹が1人いてな。少し体が弱かった。

司

俺は、両親の代わりに妹を守り、育てなければならなかった。

類

(6歳の子供に、それは…)

司

だが俺は子供だった。家は貧しく、貯金もない。働こうにも、雇い口がない。

司

明日生きてられる保証もなかった。

司

そんな中、ようやく俺は仕事を見つけた。労働基準法なんてガン無視の、過酷な労働だったが。

司

それでも俺は必死に働いた。そして、僅かにもらえる金で、妹にパンを買い与えていた。

司

俺の妹はとても優しくてな、お兄ちゃんも食べてって、いつも2人で半分こしたんだ。

司

辛い日々だったが、妹のためなら我慢できた。いくらでも。

司

街の子供から嫌がらせを受けようと、ゴミの様に扱われようと、鞭を打たれようと、ずっと我慢してきた。

司

欲…なんて、俺にはなかった。

類

…

司

そんな顔をしないでくれ。

類

…だって、

司

…すまないな、もう少し聞いてくれ。

類

うん…

司

あれは……たしか13歳の時だ。妹の姿がどこにも見当たらなかった。

司

俺は労働に行っていたから、妹は1人だったんだ。俺は、必死に妹を探した。

司

そして……見つけたんだ。路地裏のごみ溜で。

類

！

司

幸い、息はあった。だが、余程殴られたのだろう。痣だらけで、血もついていた。とても、見てられなかった。

司

妹は言ったんだ。「お兄ちゃんのために、パンをあげたかったの。勝手なことしてごめんなさい」って。

司

……盗みでもしないと、パンは手に入らなくなっていたからな。

司

俺の稼いだ金も、雀の涙でパンすらも買えなくなっていたんだ。

司

しかし、俺はなんとかして妹1人分のパンを手に入れ、食べさせていた。

司

妹は優しいから、きっと俺へもプレゼントしようと思ったんだろう。何にせよ、その日は俺の誕生日だったからな。

類

…

類

(耳を塞ぎたいほど辛い過去だ。ああ、まだ僕はきっと恵まれていた。)

司

俺は妹を手当てしたが…駄目だった。12歳の子供に、あんなのが耐えられるわけがなかったんだ。

司

俺は……妹を殺した当人を殺そうと思った。だが、殺せなかった。

司

怖かったんだ。人を殺すという事が。そうだ、あんな事簡単に出来てたまるか。

司

だが、妹の死によって何かが吹っ切れた。こんな目に遭ったのも全部、世界のせいだと。

司

そう、何かのせいにしないと、やっていけなかった。敵がいないと駄目だった。憎しみの対象が必要だった。

司

俺から妹を奪った世界から…全部奪ってやりたいと思った。強く願った。

司

その時だ。俺はいつの間にか、「強欲」の能力に目覚めていた。

司

それからは全て求めた。何もかもを欲し、奪ってきた。けれど、それじゃ足りなかったんだ。

司

奪われたらもう、帰って来ない…

類

…君は、、本当に、強欲な人だよ

司

ああ、そうだ。

類

僕を欲しがって、手に入れたんだから…

司

ああ、そうだな。

類

本当に、君は………ｯ、

司

…類、泣かないでくれ。

類

…違う、泣いてなんか…ないよ、そんな…

司

はは、そうか。だが、俺ならもう大丈夫だぞ。幸いな事に、俺は仲間に恵まれた。

司

お前たちがいるから、俺はもう大丈夫なんだ。

司

だから…笑ってくれ。お前は泣き顔も可愛らしいが、やはり俺は笑顔が1番大好きだ。

類

ん……こう？

司

そうだ、それでいい。お前にはずっと、笑ってて欲しい。

類

…うん、分かったよ。

寧々

司！類！

えむ

大変だよ〜！！どうなってるの？能力が使えないよ！

寧々

て、類…泣いてたの？

類

あ、いや、これは……

寧々

司……もしかして、類泣かせた？

司

む、違……わないか？あれは俺が泣かせた事になるのか…？

類

違うよ、寧々、大したことないから気にしないで。

寧々

そう？ならいいんだけど…

寧々

それより、どうなってるの？急に能力が使えなくなるなんて…

司

恐らく、秘宝の影響だと思う。

えむ

秘宝の？なんで？

司

俺が願ったんだ。「俺たち4人が、幸せになれる世界を創りたい」とな。

司

そしたら…能力が使えなくなったんだ。

寧々

幸せになるには、能力なんか必要ないってこと…？

司

恐らく。

えむ

…じゃあじゃあ、本当にお願い叶うの？

類

ああ、きっと…そうだよ。

司

寧々、試してみたらどうだ？

寧々

そうだね、やってみる。

類

…

寧々

どうしたの？類。悲しそうな顔して…

類

寧々は…本当に思い出したいのかい？

寧々

うん、それが目的だったから。

類

後悔しない？

寧々

分からないけど…思い出してみやきゃ始まんないから。

寧々

秘宝さん、私の願い、叶えて。

寧々

私は自分の記憶を全て取り戻したい。思い出させて！

チカッ

類

また微かに光っただけか。

司

寧々、どうだ？思い出せたか？

寧々

……あ、え、嘘、、

あれ、ここは…類の部屋？

類

…ｶﾁｬｶﾁｬ

作業してる？

なんで類の部屋にいるの？

体が…動かせない。声も出ない…

私、生まれた時の記憶見てるはずじゃ…

類

…よし、これで完成だ。

類

おっと、最後に心と…ギフトを贈らないとね。

ねぇ、完成ってなんなの？

類

うーん…感情移入するように、人そっくりに造ったけど…いい精度だ。

ねぇ、造ったって何？

類

後は魔力を注いで…これで動くはずだ。

類

おっと、まだ初期設定だから、色々いじらないと。そうだな…

類

とりあえず、この子には「忘却ーオブリビオンー」の能力をあげよう。あとは…人を好きになれるような、素敵な心を持つように。

どういうこと…設定って？分からないことだらけなんだけど

類

あとは名前か…名前…

類

……うん、君の名前は寧々だ。

類

よろしくね、寧々。

寧々

……あ

類

僕は神代類。君は草薙寧々だ。

寧々

ねね…るい…

類

うん、動きも声も人間とほぼ変わりないね。成功だ。

寧々

ここどこ？

あぁ…ここからは覚えてる

記憶が消えたんじゃなくて、初めからなかったんだ＿＿

寧々

ねぇ…類、知ってたの？

類

…当たり前だろう。

寧々

私……私、類が造った人形なの…？

司

！

えむ

え？！

司

類、どういう事だ！説明してくれ。

類

これは墓場まで持って行こうと思ってたんだけど＿

類

これには事情があるんだ。

寧々

聞いても、いい？

類

ああ、もちろん。聞いてくれ。

類

僕は「悪夢」と「忘却」の2つの能力に目覚めてしまった。

司

能力が…2つ？

類

そう。だけど、2つの能力は強大であるが故に、僕の身じゃもたなかった。

類

そこで、能力の依代になる人形を造ることにした。それが寧々だ。

寧々

能力の依代…

類

しかし、思いのほか成功してしまってね。本当に人間そっくりの思考、行動をとるようになったんだ。

類

そして、自分が人間だと思い込んでいた。感情まで完璧だった。

類

だから…寧々が消えた記憶を取り戻したいと言った時は、少し焦った。

類

だって君にはそんなものないから。そして、知ったらショックを受けると思ったからね。

寧々

でも…あの時は、異議なしって、

類

その時までに、記憶を取り付ければいいと思ったんだよ。普通の家族の記憶をね。

類

けど、それもこれも全部偽物だ。

寧々

…私…人間じゃなかったの…？類が造った、ただの人形…？

寧々

そんなの…、そんなの…ｯ

司

…類、、なぜ、俺たちにも言ってくれなかった？

類

…このまま、寧々を人間として生かしてあげたかったから。だから、知ってるのは僕だけでいいと思ったんだ。

えむ

……でも、でも、やっぱり、悲しいよ…

類

…本当にすまない。

寧々

……私、本当に人間だと思ってた。人形だなんて、思いもしなかった。

寧々

本当にｯ、私は、好きも、嫌いも、嬉しいも、楽しいも、悲しいも、怒りも、憎しみも…全部知ってるのに！

寧々

知っちゃったのに…

類

…僕が憎いかい？

寧々

……ううん、憎くは無い。

寧々

だって私はみんな…好きだから。もちろん、類の事も好き。

寧々

司もえむも好き。だから、仲間を憎むなんて出来ない…

類

…そうか。

寧々

…えむ、ごめんなさい…ｯ、私…人形なんだって…人間じゃないんだって…

えむ

お人形さんでも、寧々ちゃんは寧々ちゃんでしょ？

えむ

それに、私お人形さん大好きだよ！

寧々

えむ…

司

そうだ！人形だとしても、お前は俺たちの仲間である事には変わりない。今までも、これからもだ！

寧々

司、、

寧々

みんな…ありがとう…

類

…いい仲間に恵まれたね。

寧々

うん。だけど、類にも感謝しなきゃ。

寧々

私を造ってくれて、ありがとう。

類

それは…製作者として嬉しい言葉だね。

彰人

おい、冬弥…ちょっと離れて欲しいんだけど

冬弥

嫌だ…もう離さない

彰人

歩きにくいんだよ！

杏

彰人ーっ…て、え、何してんの？

彰人

あー、杏。コイツどうにかしてくれ

こはね

2人とも仲良しだね…！

杏

私達もやっとく？

こはね

え？！は、恥ずかしいよ…！

彰人

それより、秘宝はどうなったんだよ

冬弥

結界を張られてしまい、入れないんだ。

杏

冬弥でも無理なの？作ったんでしょ？

冬弥

大罪の器は作ってない。俺の力であのの結界を解くのは厳しい。

こはね

そんな……

杏

絶望的だね…もし、世界が滅んじゃうような願いだったら…

杏

なんとかして守らないと！

彰人

だけど、どうすんだよ？流石に入れねぇぞ

こはね

大罪の器の結界を解くには…

冬弥

厳しいが、出来ないとは言ってない。

冬弥

少し工夫すれば、破れる。

司

これで俺と寧々が願ったから、あと2つか。

類

えむくん、先どうぞ。

えむ

私？

えむ

私…なんだっけ、本当はね、みんなみんなお人形さんになればいいって思ってたの。

えむ

でもでも、そんなの寂しいよね！

寧々

えむ…？

えむ

秘宝さん！私のお願い叶えて！

えむ

私…ずっと、みんなで楽しく笑顔で過ごしたい！

チカッ

類

おや、今回は光ったね。

司

これで…この世界は変わっただろう。

司

最後は類、お前が＿

類

僕……僕の願いは…

彰人

おい！！待ちやがれ！

寧々

！！

えむ

ほえ？！

類

君たち…結界は？！

冬弥

大分魔力を消耗しましたが、なんとか破れました。

類

…本当に厄介な子だね、！

司

秘宝は渡さんぞ！

えむ

そうだよ！最後は類くんの願いだもん！

杏

もう3つも…！

こはね

あと1つしか残ってないんだね！

彰人

ﾁｯ、何としてでも守るぞ

冬弥

ああ、

えむ

…ダメ、

続く

「終焉」の秘宝

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うう…みんなの願いはなんなのかな…？

ワンダショの想いを知ってくれたら、もしかしたら仲良くなれるかもしれない…！！対立してるのは寂しいけどワクワクするよね☺

あかまる🍓🐾໊

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